私の「コンピュータ」履歴書 No.5

プログラミング電卓にはまる


大学は物理学科に行きたい、と私が宣言したとき、周りの人間たちは一様に驚きの目で私を見ました。周りは当然、工学部あたりに進むものだと思っていたようですが、天の邪鬼の私としては、もっと基礎的なことをやりたいなぁ、などと思ったわけです。
地元の大学の物理学科を志望したのですが、現役のときにはあえなく玉砕(^^;) まぁ、高校時代、ぜ〜んぜん勉強しなかったのですから、まぁそんなもんでしょうね。というわけで、なんか知らんけど1年間、暇が出来たわけなんですね(ちがうだろ)
まぁ、とにかく勉強が大嫌い、試験が大嫌い、そのうえ「明日できることは今日しない」人間ですから、予備校にもほとんど行かずに、一日本を読んだりぶらぶらしていました。さすがにこの時期はコンピュータとは無縁・・・・のはずだったのですが(^^;)

ある日、予備校仲間の友人が「これ知っているか」と出してきたのが、なにやら電卓らしき物体。YHP(横河ヒューレット・パッカード)という聞いたことの無いメーカーの製品でした。話によると、プログラミング電卓なんだそうで、けっこういい値段(確か、6〜7万円くらい)のものらしいです。CASIOあたりの日本製電卓とは一線を画する無骨なデザインながら、話によればかなりの高性能のようです。
私も、古いCASIOのプログラミング電卓を持っていたのですが、これの最大の欠点は電源を切るとプログラムが消えてしまう、また動かすときには、一からプログラムを入力し直す必要がある、というところでした。いまから考えるととんでもない仕様なのですが、安価な記憶装置が無かった当時としては仕方ないことなのかも知れません。
ところが、彼の持っているYHPのやつは、電源を切ってもプログラムが消えない、というのです。しかも私のやつと比較してかなりいろいろなことが出来るようなのです。「もう、これは買うしかない!」と思ったのですが、そんな金、ある分けないんですね。指をくわえて見ているしかありませんでした。
そんなころ、CASIOが新しいプログラミング電卓を出す、という情報を得、カタログを取り寄せてみると、これが結構いい。プログラムは電源を切っても消えないし、しかもアダプタを取り付けると、プログラムをカセットテープに録音することも出来る。値段もそこそこ(2万円代だったと思う)だし、思わず親に借金して買ってしまいました。(「これがあると、受験勉強がすすむ」とかなんとか、嘘八百並べ立てて)

これが、一部で有名なFX-502Pという電卓です。普通の関数電卓の機能に、プログラミングの機能が追加されていて、当時としてはかなり遊べるものでした。なにより、プログラムを保存しておけるため、こころおきなくいろんなプログラムを作ることが出来ました。
これで、YHPのを持っている件の友人と、競っていろんなプログラムを作ったものです。難しい処理をさせて、処理速度を競ったり。
カセットテープにプログラムを保存するアダプタは、音楽を鳴らすことも出来て、楽譜とにらめっこしながら、音符を打ち込んだり、とかもしました。
結局、受験勉強はどうなったか、というと、ご推察のとおり、そんなもんそっちのけでした(^^;)

一夜漬けで勉強して、まぁ、なんとか地元の大学の物理学科に合格はしましたけど、結構危なかったのではないか、といまさらながらに思っています。
このFX-502P、まだ実家のどこかにあると思いますが、私が所有した「コンピュータ」の中でも一番愛着があるものです。今度、実家に帰ったときにでも、久しぶりに動かしてみようかな。

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