新・闘わないプログラマ No.61

気にしない


パソコンを使っていると、いろんなトラブルに遭遇しますよね。
ところが、これらのトラブルの大部分に対処可能な解決法、というのが実は存在します。それは「気にしない」。この手法さえ用いれば、パソコンを使っていく上で遭遇するトラブルの90%(当社比)が解決可能です(嘘)。

友人で、3年くらい前にMacintoshを買った人物がいるのですが、これがもううるさい。何がって、もうどうでもいいようなことで頻繁に電話をかけて来て、聞いてくるんですよね。その「どうでもよさ」というのは、たとえば
「立ち上げ時の『ジャーン』って音が、買った時と比較して、ちょっとこもったような音に聞こえるんだけど、どこか壊れたんじゃないかな」(そんなん気のせいだよ)とか
「(あるソフトを使った後に、どうでもいいところが)文字化けするんだけど、とんでもないことが起きたんじゃないだろうか」(別にどうでもいいところなんだからどうでもいいじゃん、気になるなら再起動すれば)とか
「いくつか、画像ビューアを使ってみたんだけど、○○ってソフトは上からすーっと表示されるのに、◇◇ってソフトはちょっと待ってから一気に表示される。どっちかのソフトにはバグがあるんじゃないか」(んなもん、ソフトがそういう風に作られているんでしょ)とか
「立ち上げ時のハードディスクの音が、最近までは『カラカラ、カラカラカラ』だったのが、『カラ、カラカラ、カラカラ』になった。これはもしかしてディスクが壊れる兆候じゃないのか」(知るか、んなもん)とか
ほかにも沢山あったのですが、いいかげん、もう覚えてもいません。
この友人、最近PCの方にも興味を持ち出したらしく、部品を集めて「自作PC」を作るぞー、なんて言っているようなのですが、非常にヤバイです。Macintoshですら、こんだけ聞いてくるんですから、「自作PC」なんてことになったら、少なくともこの10倍くらいは質問攻めに会いそうな気がする。「Celeron 300Aは450MHzで動かしても全然問題が無い、って知り合いから聞いたから、そうするつもりなんだ」なんて恐いこと言ってましたけど、止めとけって。
でも、不思議なのが「ソフトは最悪入れなおせばいいし、それは気にしないんだけど、データが失われるのが恐いから神経質になっているんだ」なんて言っているわりには、私がどんだけバックアップの重要性を説いても、絶対にバックアップを取ろうとしないことなんです。ディスクの「カラカラ」って音を気にするくらいなら、バックアップを取れよ、なんて思ってしまうのですが、他人の思考回路はよくわからんです。←でも、どうせディスクが壊れたら「なんとかしてくれ」って泣き付かれるんだろうな ←泣き付かれてもどうしようもないよ、と今のうちに宣言しておいた方がいいな。

昔と違って、機能は沢山あるけど、品質・信頼性の低い製品(特にソフトウェア)を組み合わせて使って行かざるを得ない現状だと、あんまり細かいことを気にしていても仕方が無い、とりあえず使える範囲内で使っていきましょうね、という風に割り切るしかないですよね。
私なんか、システム開発はメインフレームから入った「古い」世代の人間なんで、たとえばOSのAPI(「supervisor call」なんて呼んでいましたけど)に不審な動きをするところがあれば、そのOSのメーカーのSEに調べてもらって、バグならバグで、パッチがあればパッチを当てて、なければ直してもらう、なんてことやってました。
でも、今の時代、そんなことは不可能に近いので、バグがあっても、そのバグが重大なものでなければ「気にしない」、どうしてもそれじゃ困るという場合には、それを避けて通るようにする、というのが普通のやりかたになっているわけです。たとえば、WindowsのAPIが不審な動きをする(←非常にありがちですが :-p)なら、一番いいのはそのAPIを使わない(避けて通る)ことだったりします。そういう不審なAPIを無理して使おうとすると、新しいservice packを当てたりすると(バグ修正と称して)動きが変わったりする可能性がありますし、そのAPIをだましだまし使うのは非常に危険だったりします(でも、そういうわけには行かないことが多いんだよなぁ)。
まあ、ほかにもプログラミングレベルの話じゃなくても、Windows NTをサーバーとして使っていると、だんだん不審な動きが多くなってくるから、一週間に一度は無条件でリブートしちゃえ、なんてのもありますね。それまでは、「ごめんね、ちょっと変かも知れないけど、気にしないで使っててね」って感じで。
ところで、この「Windows NTは、週に一度はリブートしないと使い物にならない」というのが、巷(どこの「巷」なのかは不明(^^;))ではまことしやかに言われてますけど、必ずしもそうじゃないです。まあ、そうした方が安全なのは確かですが、私のところでも、「Windows NT Server 3.51 + SQL Server 6.5 + SNA Server 3.0」で1年間連続運用の実績がありますし。年に一回、建物の電源の検査による停電の時だけしか電源を落とさないという。

うーん、なんか話がずれちゃったなぁ ←いつものことではありますが。
とにかく、この「気にしない」というわざは、非常に重要なのではないか、と思う今日このごろだったりします。ただ、中には、あまりにも「気にしな」すぎる人もいて、それはそれで恐いのですが、それはまた別の機会にでも。
ところで、私の書いたコラムにも、結構バグ(誤字・脱字、勘違い、等々)がありますが、これらについても、「気にしない」という手法で乗り切って頂けますようお願い申し上げます。m(_ _)m

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