新・闘わないプログラマ No.300

アホでマヌケな…


もうすでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、こんな本を書いちゃったりしたわけなんでして…ちなみにいくつかの書店ではもう置いているらしいのですが、正式な発売日は10月2日です。
内容としては、この「闘わないプログラマ」のプログラマ・プログラミングに関する文章をベースに、それに肉付けして再構成して、「プログラマになりたいなあ」と思っている若い人にも理解できるように文章を工夫したり、注釈をつけたり、と言う感じの本です。
本の最初の方に、こんなことを書きました(13ページ)。

「闘わないプログラマ」というサイトでコンピュータ関連の雑文をいろいろと書いているせいでしょうか、ときどき中高生くらいの若い人から「プログラマになりたいんですが、どうしたらいいでしょうか?」というメールを貰います。この本はそんな若い人たちにもすんなり読んでもらえるよう、また直接的ではないにしろ、その「プログラマになるには?」の答えがこの本の中から見つかれば、筆者としてはこんなに嬉しいことはありません。

もちろん、プログラミングはかじったことがある、将来プログラマになってもいいかなあ、プログラマとして仕事をしている、そんな人たちでも興味を持てるような内容にしたつもりです(著者の力不足……という話は置いておいて)。

最初に出版社からお話を頂いたのが4月の初め、そのときに編集者の方から「10月頭には出したい」と言われて「へ? 10月頭? もしかして来年の?」とか思ってしまった私なのですが…まさかそれから半年で形になるとは思ってもみませんでした。そして、内容をどうするかいろいろと検討・打ち合わせを行って最終的に書くことになったのが5月の中旬、執筆は5月の終りから7月の終りまでの、たったの2ヶ月。「闘わないプログラマ」にある文章をベースにしなければ、週末しかまともに時間の取れない私としては、とてもとても間に合わないスケジュールだったわけですが、なんとか予定どおりに仕上げることができました。その後、8月はほぼ校正にかかりきりになり、9月の初めに全てを出版社の方にお渡しして、あとは出来上がるのを待つのみ、となったわけです。
「闘わないプログラマ」にある文章をベースにする、とは言っても、そこにある文章は種々雑多なテーマが順不同で並んでいるは、同じような内容が重複して存在するは、もちろんそのまま1冊の本にできるような形態にはなっていませんから、それを手直しして、再構成して、新規に文章を書き足して(半分以上は新たに書いた部分のはずです)、またここを読まれている方が本を読んでも楽しめるように、いろいろと悩みつつ書きました。
もともと「技術書のようなやつなら書いてみてもいいかなあ」とは思っていたのですが、まさかこんな読み物系の本を書くことになるとは思ってもみませんでした。「文章、特に柔らかめの文章を書くのが苦手な自分が、こんなん書いて本にしちゃっていいのかいな?」と思いつつ、また執筆中は「うぁぁぁん、こんなん書けねーよー」とのたうち回っていました。
章の数が8つで、執筆期間が2ヶ月ですから、毎週1つの章を仕上げないといけないし、出来上がった章からメールで送って組版にまわす、という感じだったので死ぬほど大変でした。編集さんからは「多少遅れても…」とおっしゃっていただいたのですが、私のような「週末著者」(?)としては、2〜3日の遅れというのは基本的にありえず、遅れるとすれば1週間単位になってしまうので、とにかくスケジュールを守ることだけは厳守しました。

本の中身ですが、私の方で書いたのは、基本的には見出し(3段階)と本文だけで、あと「こんな写真を入れて欲しい」という要望をだしました。本文中にある強調文字等は、「ぱっと本を開いたときに目に付く」ように編集者さんの方で考えていただいたものです。イラストも、編集者さんとイラストレータの方のアイディアで、私はタッチしておりません。
さて、そのイラスト、私は大変気に入っておりまして、校正のときにも「自分の書いた文章にどんなイラストを描いてくれるのだろうか」とゲラ刷りが届くのを楽しみにしていたほどです(章ごとにばらばらに送られてきたので)。イラストレータの水野真帆さん、ありがとうございました。
次に表紙ですが、これはイラストではありません。イラストを描いていただいた水野さんが作られたオブジェを写真撮影したもの(だそう)です。バレリーナの部分だけ光沢がある面白い印刷になっています。全体が赤が基調ですが、これに水色の帯が付きます。帯の文面は筆者には感知しないところで決められるわけでして、とりあえずノーコメントということにしておきます。

そんなこんなで、出来上がった本が先週末に送られてきました。こうやって一冊の本まるまるを書いた経験というのは初めてのことだったりするわけで、こういう場合はやっぱり感慨にふけるべきなのでしょうか。
過日亡くなった紀行作家の宮脇俊三氏が「最初の本が出たときは嬉しくて抱いて寝たほどだった」とおっしゃっていたのを思い出しました。氏は中央公論社で編集の仕事を長年やってきて、編集者としてたくさんの本を送り出してきたわけですが、その宮脇氏でも自分の処女作が出たときにはそういう感情を持つものなんだなあ、と。
そんなわけで、私も寝るときにこの本を抱いて寝ようとしたのですが…そうすると表紙の写真にあるバレリーナのオブジェを抱いて寝ているような格好になってしまうわけでして…傍から見たらこれではまるっきり変態ではないか。やっぱり本を抱いて寝るのは止めとこっと。

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