新・闘わないプログラマ No.299


家でデスクトップPC用に使っていたCRTディスプレイが壊れました。このディスプレイ、去年の夏にも85Hzのリフレッシュレートで表示が乱れたりする不具合があった(とりあえずリフレッシュレートを下げて様子を見ていたところ、涼しくなったら自然治癒した)のですが、今回はそれとは別に画面の台形歪みの調整が出来なくなってしまいました。いやまあ、写らないわけじゃないのですが、台形になった状態の画面を見るのは非常に気分が悪いわけでして、さてどうしようか、と思ったわけです。
このディスプレイ、往年の名機、ナナオのT560i(実際には、それをマイナーチェンジしたT560i-J)という17インチのやつで、20万円くらいで買った記憶があります。買ったのは10年以上前だったような気がして、いまごそごそと棚をあさってみたら出てきました、保証書。それを見ると「'93.12.19」となっていて、まだ10年経っていなかったようです。まあ、「約10年使った」ということで。
これを買ったのは、その頃に買ったMacintoshに接続するためでした。当時のMacintoshは(純正のディスプレイを使う範囲内では)画面上の解像度が72dpiに固定されていて、自動的にディスプレイのサイズにあわせた縦横のドット数が選択される、という仕組みでした。要するに「WYSIWYG」(死語?)がなにもせずに実現できる、と言うのが売り文句だったわけです。逆に言うと、たとえば17インチのMacintosh純正ディスプレイなら832x624以外のドット数は選べないことになって、「WYSIWYGなんかどうでもいいからもっと細かい表示が見たい」と思ってもできなかったわけです。
なもんで、純正じゃないディプレイで何かいいのは無いかなあ、と思って見つけたのが、当時の私は聞いたことも無い「ナナオ」というメーカの製品でした。ここの製品をMacintoshに接続するためのケーブルというのがオプションであって、このケーブルには途中にスイッチがついていて、それを切り替えれば表示が72dpiでは無くなるとはいうものの、種々のドット数が選べる、というものでした(このオプションのケーブルだけでも1万円以上したような記憶が…)。

そんなわけで、それ以来、約10年にわたって使い続けてきたディスプレイなのですが、治して使うというのも…そもそもまだ治せるのかどうか、ということもあって、新たに買うことにしました。で、CRTもいいところはいっぱいあるけど、いまさらCRTでも無いかなあ、デカいし、消費電力は大きいし。ってなわけで液晶一本に絞って探してみることにしました。
サイズは、1024x768はどうも狭く感じてしまうので、1280x1024くらいは表示して欲しいなあ、でもあまりデカいのは邪魔になるから17インチ程度かな、と。それから、入力は2系統は欲しいな、スピーカも付いててくれると面倒が無いかも。USBハブはあっても邪魔にはならないけど、とりたてて必要はなし。
こんな条件で調べてみたのですが、一番の難関は「入力2系統」というところでした。最近の液晶ディスプレイ界(?)の動向に全く疎い私だったのですが、調べてみたところ、入力の規格の主なものとしては、

の3種類があるようです。うちにはいまのところ2系統をアナログで接続する予定なので(今後はわからないですが)、

  1. アナログ x2
  2. DVI-I x2
  3. アナログ x1 / DVI-I x1

のどれかのディスプレイである必要があることになるわけです。このうち1番目の「アナログ x2」という製品は存在しないみたいですし、今後デジタル入力が必要になった場合に使えないので、そもそも問題外。
2番目の「DVI-I x2」というのが一番汎用性が高いのですが、高級品などの一部に採用されているだけで値段も高いので没になりました。で、3番目の「アナログ x1 / DVI-I x1」というのを探してみたのですが、これもかなり製品自体が少ないのですね。「アナログ x1 / DVI-D x1」という製品はいくらでもあるのですが、これだとアナログ2系統は取れないので…。
というわけで、最終的にはシャープのLL-T17D4という製品にしました。まあシャープならいいだろう、とあまり調べずに通販で発注したわけですが、その後でいろいろ調べてみたら、この製品ってシャープの液晶パネルを使ってないらしい…ううむ。まあ、実際に「だから何だ」というわけでも無いのですが。

さて、実はここまでは前置きでして、ここからが本題(おい)。
前々から、家で液晶ディスプレイを買ったら、それを机の上に置くのではなく、可動式のアームを使ってそれに取り付けたいなあ、と思っていました。以前、「液晶用アームの導入は『リビングルームPC』を後押しする?」という記事を読んだのがきっかけです。机の上に直接ディスプレイを置くと邪魔だし(CRTよりははるかにマシですが…)、机の端に置くと落としそうだし、地震などで落ちそうだし…そういえば先週あたり首都圏で大地震が、というアレはどうなったんでしょうか、震度4くらいの地震はありましたがあれがそうなんですか…と思ったわけです。
今時の液晶ディスプレイはVESA標準フリーマウントとかいうのに対応しているものがほとんどだそうで、もちろん私の買ったシャープの製品もこれに対応しているわけですが、これならメーカに関係なくアームに取り付けが可能なんだそうです(ただし、取り付け用のねじ穴のピッチが75mmと100mmの2種類があることと、アーム自体が何キロまでのディスプレイを支えることができるか、というような制限はあります)。
液晶アームの製品自体は何社からか発売されていますが、いろいろ調べた結果、値段に惹かれてアルファーテックという会社のPS-4Bという製品にしました。このページには「VESA 75mm仕様」と書いていますが、私が買ったときには100mm用のプレートも同梱されていまして、値段は約15000円。
さっそく取り付けてみて、使ってみました。さすがに机は広々です。画面の細かいところを見たい場合にはディスプレイをずっと前の方に持ってきて、キーボードをその下に置いて使うことができるのも便利です。気になった点としては、結構ぐらぐらする(と言っても、マウントが外れたりする不安は無いですが)のと、重量を支えるために仕方ない面もあるかとは思いますが上下の移動がかなり硬いです。値段の高いアームならこの辺の動きもスムーズらしいのですが、さすがにディスプレイ本体価格に迫るような金額をアームには出せません、ということで。1.5万円ならかなり満足の行く製品だと思います。

それはそうと、このアームを取り付けるために、壊れたCRTディスプレイをラックから降ろそうとして腰をいためてしまいました…なんたって30キロ近くあったからなあ、あのナナオのCRTディスプレイ。

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