新・闘わないプログラマ No.298

隔離


知り合いから「何かいいOCRソフトないかなあ」と尋ねられました。そんなこと言われても、私だってそういう方面のソフトには全然詳しくないし、以前買ったイメージスキャナの付録として付いてきたエー・アイ・ソフト「読んde!!ココ」という製品を試しに使ってみて、「ま、こんなもんかな」と思った程度ですから、「私にそんなこと聞くな!」と思ったりもしたわけです。
OCRソフト、その知り合いの勤めている会社で導入するらしいのですが、なんでOCRソフトなどというものが必要なのか聞いてみたところ、驚愕の事実が判明しました。

その知り合いの会社、いまいち何をやっている会社なのかよく知らないのですが、そこの大阪支社だか名古屋支店だか福岡営業所だか(詳しくは知らない)で、先日ウィルス騒ぎがあったんだそうです。そのせいで、取引先にまで多大な迷惑が及んでしまったんだそうです。そして、それが全社的な騒動になり、「即刻なんとかせい」という社長命令が下りました。
コンピュータ関連の企業では無くても、一人にパソコンが一台与えられて、それらがインターネットに接続されている環境があるのは、いまどきかなり当たり前になってきたわけで、その会社も当然そうなっていました。そしてこういう環境ですと、それなりに注意しないとウィルスが蔓延しがちですから、アンチウィルスソフトやWindows Update等でウィルス蔓延を防ぐ必要があるわけです…とは言っても、数百台・数千台のPCを漏れなく予防するのはかなりの手間です。
そこで、その会社の取った措置と言うのが…

とまあ、時代に逆行しているような気もしないでもない規則が出来上がったそうです。そして近い将来これを実施に移すべく話が進んでいるそうで、予定では、数百人が働く本社では会議室を1室潰して、そこに「インターネット接続PC」を5〜10台程度置くということになるらしいです。
しかし、いまどき外部との連絡にメールを使うな、というのもかなり時代錯誤というか、相手にかなり迷惑がかかるような気もするのですが、その辺はどう考えているんでしょうね。数年前には、
「では、その件の詳細につきましては、のちほどメールでお送りさせていただきますので、メールアドレスをお教えいただけませんでしょうか」
「あ、すみません。私のところ、メールが使えないんですよ。すみませんがFAXで送っていただけますか?」
なんていうやりとりがあったりしましたが…。

さて、ここでOCRです。メールでのやりとりには、短い内容もありますが、長いものも当然あります。例えば自席で作った(または既に存在している)長い資料をメールで送ろうとした場合、自席でそれをプリントアウトして、それをインターネット接続PCのところに持っていって、プリントアウトしたものを見ながら再度打ち込む、という作業が必要になります。何せ、そのPC間はネットワークで繋がっていないし、フロッピー等の外部記憶メディアで持ち込むことは禁止だし、基本的にどんな方法を用いてもデータの形で持っていくことができない仕組みなのですから。
そこで、スキャナとOCRソフトを導入して、自席でプリントアウトしたものを、インターネット接続PCに付けたスキャナで読み取らせて、OCRでテキストデータ化する、ということらしい(もちろん逆もある、メールで届いたものをプリントアウトして自席でOCRを使ってテキストデータ化する)のですが、ううむ…。

まあ何と言いますか、本当にこんなのが導入されたとしたらかなりの騒ぎになるような気もするのですが、実際にどうなるか見てみたいような気もします。もし、私の職場でこんな規制をされたとしたらどうなるか想像してみると…メール禁止(に近い措置)なんてことになったら、そして連絡は電話とFAXということになったら、ちょっとやってられないですね。それに、いまどきメール以外にも、ウェブで情報を探すことは頻繁にありますし、仕事の効率が著しく下がりそうな気がします。
あ、でもウェブで仕事と全然関係無いページを見て仕事をサボっていることができなくなりますから、逆に効率が上がったりして。

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