新・闘わないプログラマ No.297

矛盾


先日、「大量トラフィック禁止に乗り出したプロバイダーの矛盾」という記事を読んだのですが、要するに、いわゆる「P2Pソフト」なかでも「Winny」が大量トラフィックを生んでいる、それによってプロバイダが「大量トラフィック禁止」をし始めた、ということですね。
その記事にもあるASAHIネット、私自身、先日予備回線(メインは地元のCATVインターネットサービス)としてフレッツADSLを導入したときに、その接続プロバイダとしてASAHIネットを利用しましたので、他人事ではありません。早速、約款を調べてみようと、件のASAHIネットのサイトをあちこち探し回ったのですが…どうにも見つかりません。「もしかして約款は見せないつもり?」と思いつつ「おお、そうだ。入会の時に『この約款を了承するかい?』と聞いてくるはずだから、入会の手順を追っていけば見れるはず」と、やってみたところ、やっと見つかりました、「ASAHIネット会員規約一覧」というページ。そこを見ると、

ASAHIネットでは、入会の際にご承諾いただく規約で「会員の禁止行為」を定めています。この規約に基づいて、たとえば下記のような行為を禁止しています。(中略)

万一、上記のような行為があった場合は、ホームページの公開停止やID利用停止などの措置をとらせていただくことがありますので、あらかじめご承知ください。

最初に挙げた記事のなかでも言及されていますけど、「平均的な利用を著しく上回る大量の通信量」というのが具体的には何も示されてないですね。いったい何を基準に「平均的な利用」をすればいいのでしょうか。世間一般で言われている、いわゆる「いんたーねっとやいーめーるやほーむぺーじ」の範囲内ってことでしょうか? 私自身は世間一般で言われているところの「P2P」とは縁が無いのですけど、ビデオのストリーミングや、FTPによるファイル転送なんかはやらないわけでも無いし、LinuxのインストールCDのイメージファイルをFTPで取ってくるとギガバイト単位のトラフィックが短期間にあるわけで、そういうのはどうなんだろう、と。
あと「平均的な使用」でないものとして、もしかしたら常時トラフィックが発生するような利用方法が入るかも、などとも思ってしまいます。通常、善良な一般市民(?)が「インターネットを使う」と言った場合は、パソコンの前に座って操作してる、その時間にしかほとんどトラフィックは発生しないだろうな、と思います。それから外れるような24時間トラフィックがあるような利用法は、もしかしたら「平均的な利用」を逸脱している、と取られるかも…。
うちでも、いわゆる「ファイル交換ソフト」は使ってないとは言え(使いたくても、常時稼動しているのがLinuxなので使えないわけですが…)、常時起動しているサーバがあって、あれやこれや処理をやっている関係上、常時トラフィックが発生しているわけで、もしかしてこういうのもやばかったりするかも知れません。まあ「大量の通信量」は無いとは思うのですが、目をつけられる可能性は高いかも、とか思ってしまいます。

いやまあ、プロバイダ側の辛い立場もわからないでもないですが、と言っても「超高速○○Mbpsで快適なインターネットを!!」「ブロードバンドになれば○○も○○も快適に!」とか宣伝しておきながら「大量のトラフィックはダメよん」というのは…ねえ。別にWinnyを悪者にしなくたって、みんながストリーミングでビデオでも見出したら、帯域をあっという間に使い切ってしまうような(それも長時間にわたって)気がするのですけど、その辺はどうなのよん、とも思うわけです。
Winnyをどうしても悪者にしたいのなら、Winnyが使っている(TCP/UDPの)ポートに対して帯域制限でも加えれば…と思ったら、Winnyが使用するポートは自由に変えることができるんですね。ポートによる帯域制限を回避するためにこういうことになっているのでしょうか。となると、Winnyに対して制限を加えようとするなら、Winnyで使われているプロトコルを解析して(公開されていないようですね)、もしそうなら…とやらないといけないでしょうけど、ここまでやると「通信の秘密」とかなんとか、その辺で法(電気通信事業法?)に触れそうな気もします。

まあ「平均的な利用を著しく上回る大量の通信量」などというあいまいな表現で利用者を脅しておいて、できるだけ大量のトラフィックを発生させないようにしようというプロバイダ側の意図は、どうもずるいような気がします。警告するかどうか、契約解除するかどうか、というのは向こうの判断一つなわけで、もちろんプロバイダ業をやっている会社は数多存在するわけですから、別の業者に変えればいいのは確かですが、それはそれで面倒なわけで…特にそのプロバイダのメールアドレスをメインで使っていたりする場合などなど。
やはり一番いいのは、たとえば月間の転送量の上限を定めるやりかたでしょうか。それも、その制限を越えそうになったらそのユーザの帯域を徐々に絞っていくような方法。私が見たことがあるのは、スピードネットというところがやっている無線アクセスサービス。これの料金プランを見ると、例えば「プランI」は、

となっています。こんなのが理想なのかも知れません…ただ、こういう仕組みがADSL等でも可能なのかというと、その辺は調べたことが無いので詳しいことは知りませんが、現状のハード・ソフトでは簡単にはできないのかも知れません。
私も多少特殊な使い方をしている部分もあって、カタギの人間のやる「いんたーねっとやいーめーるやほーむぺーじ」以外の使い方もやっているので、プロバイダに目をつけられたりするんじゃないかな、と思ったりもするわけでして…

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