新・闘わないプログラマ No.227

PS2で


ある人がオークションで、キーボード(インターフェースはPS/2)というのを出品して、それをある人がが落札したところ、落札者が出品者に「『インターフェースはPS/2』となっているのにPS2(PlayStation 2)につなげられないぞ、ゴルァ」とクレームを入れたとかいう話を聞いたことがありますが、それは実話なのかどうかは知りません。
そういえば、2年前の「PCうおっち」(←インプレスのやっているニュースサイト「PC Watch」のエイプリルフール版)で「PS/2徹底解析 〜内部写真を公開〜」とかいう記事があってウケたことがありますが、まあ似たようなもんでしょう。

というような話はどうでもよくて、かなり前に注文していたPlayStation 2用のLinuxキットが週末に届きました。内蔵ハードディスクと、LANインターフェースと、キーボード(PS/2じゃなくてUSBのPS2対応キーボード ←ややこしい)と、マウス(これまたPS/2じゃ…以下同文)と、ディスプレイケーブルと、あとはソフトウェアのDVD-ROM2枚。
まあ、詳しいレポートは、去年β版が出たときにあちこちでなされていますし、正式版が出た今回も、私が中途半端にレポートすることもないと思いますので、一般的な話は止めておきます。
そもそも、私がこのLinuxキットを手に入れたのは、前にも書いたように、PlayStation 2にLinuxを入れて家庭内サーバに出来ないかなあ、と思ったからです。PlayStation 2なら消費電力もPCに比較して少ないだろうし、騒音も小さいのではないか(たぶん)、と考えました。
ということで、「PlayStation 2を家庭内サーバにする」という視点で、どんな利点と欠点があるか、ということについてちょっと書きなぐってみようか、と思ったわけです。とは言え、金曜日にインストールしてまだ2日くらいしか使っていないので、分からないこと、誤解していることもあるかも知れません。と、最初に言い訳しておきます。

さてさて、さっそくハードウェアのセットアップをして、PS2 Linuxをインストールしてみたのですが、さすがに特定のハードウェア専用のLinuxということで、何の問題も無くインストールは完了しました。インストールするまで、私自身、このPS2 Linuxの素性は知らなかったのですが、これは明らかにredhat系ですね ←そんなんすぐに分かるって。
いまのところ、うちや会社で使っているLinuxは全部redhat系(Vineが多いかな?)なので、馴れているし、それはよかったのですが…。
では、インストールも済んだことだし、動作確認でもしてみるか。ええと、ネットワークは正常かな。「ping 192.168.1.1」と。ん? 「ping: Command not found.」だと? へ? 何故? なんで? なんでpingが無いの? もしかしてpingコマンドはsbinの方に入っているのかなあ。そういやそういうUNIXもあったっけ。んじゃsuしてping…と。ほよ? やっぱり無いよ、ping。
いろいろディスクの中を漁ってみたのですが、ping、無いですねえ。何故なんでしょ? もしかしてpingの入っているパッケージのインストールに失敗したのか、とCD-ROMにあるRPMSまで探ってみたのですが、それらしいのは見つからず。結局、謎です。
仕方が無いので、代わりにtracerouteを使って、ネットワークの確認をしました。あとはXも立ち上げてみましたが、家庭内サーバにするのならX serverはここで立ち上げる必要も無いし、だいたい32MBしかメモリの無いPlayStation 2でXでごりごりやるのも、ちょっとためらわれるわけでして。しかし、メモリが32MBしかない、というの、Linuxをインストールして初めて知りました。まあハードウェア自体が2年前のものですから、そんなものなのかも知れませんが。

前置きが長くなりましたが、PS2 LinuxでPlayStation 2をサーバにする上で気付いたことを挙げておきます。
まず、いい点。デスクトップPCと比較して小さいこと。サーバにするので、最初のインストールを除けば、キーボードもマウスもディスプレイも不要で、本体(と、ゲームパッドは必要)だけがあればいいので、置き場所にあまり困らないのでは、と感じました。
あと、消費電力が少なくて、発熱も少ない(はず)ということですね。消費電力を測る手段が手元に無いので正確なことは言えないのですが、せいぜい50W程度のようで、PCと比較して半分以下にはなるかな、と。例えば平均100Wの機器を常時稼動させていると、一ヶ月で1600円程度の電気料金がかかるので、出来るだけ消費電力は下げたいなあ、と思ってるところだったので ←最近、毎月の電気料金が高くて辛いのです。

じゃあ悪い点はと言うと、まず、うるさい。PlayStation 2自体、後ろにファンが付いていて、それなりに音がしたのですが、ハードディスクを付けたらかなりうるさいです。ハードディスクの回転音の他にも、なぜかファンの風切り音自体も大きくなったような気もするのですが、気のせいでしょうか。とにかく結構うるさいです。そこいら辺のデスクトップPCなみに。
それからブート時に「Runtime Environment」というDVD-ROMが必要なこと。ということは、このDVD-ROMを傷つけて読めなくしてしまったり、紛失してしまったりしたら、Linux自体をブートできなくなってしまう、ということです。で、このDVD-ROM自体だけを容易に購入することが出来るか、というとそれも現状では大変そうです。バックアップも取れない(仮に可能だったとしても、ライセンス上問題?)し、困ったものです ←何か、裏技でもあるのでしょうか。
また、電源を入れただけではLinuxが自動的に起動せず、キーボードまたはゲームパッドからの操作が必要、というのも…いつでも私が家にいるわけじゃないですから、たとえば停電後に自動的に起動してくれないと困るなあ、と感じました。
それから、細かいことと言えば細かいことなのですが、PS2 LinuxをDVD-ROMのカーネルを読み込んでブート(通常はメモリーカードからブートする、メモリーカードが壊れた等の場合にDVD-ROMからブートすることも可能)する場合、ルートパーティションを、ハードディスク上で最大サイズのパーティションに置かないといけない、という制限(バグ?)があります。ルートパーティションは、あまり変更の発生しないようなディレクトリ・ファイルだけを置くのが通例なのですが、この制限だとルートパーティションを大きく取らざるを得ないことになって(変更のあまり無いディレクトリだけをルートパーティションに置くなら、そんなに大きなサイズは要らない)かなり辛いです。
まあ、いずれにしても、特にサーバとして使いたいので、障害が出来るだけ発生しないような、そして障害時でも出来る限り自動的に復旧してくれる、また通常の手段でLinuxがブート出来なくなっても、他の手段でデータは速やかに救える、という観点からするとちょっと、という感じですね。

散々文句言ってしまいました(PlayStation 2をサーバにすることの可否はこの際置いておいて、文句だけ言っています)が、当面はNetNewsのサーバとして運用してみて様子を見ようか、と思っているところです。都合のいいことにPS2 Linuxには「Leafnode+」という小規模なニュースサーバ用のソフトのパッケージも付いてきていたので、これをインストールしてます。
というわけで、PS2 Linuxは、この土曜日からニュースサーバとして常時起動の耐久テスト中なのですが、実は、このPlayStation 2をサーバに使うことについて、重大な障害を発見してしまいました。この障害は致命的なもので大変困っています。
それは、何かと言いますと……うちのPlayStation 2をサーバにしてしまうと、ゲームも出来なれば、DVDを見ることも出来ない、折角の連休だというのに。


2002.4.29 15:00追記
「ping」コマンドが無い件について、フルインストールされた方より「/bin/ping」というのがインストールされているという情報を頂きましたので、「rpm -qf /bin/ping」で、当該ファイルがどのパッケージに入っているか調べていただきました。
結果は「iputils-20001011-2」というパッケージでした。私が先日インストールしたときには、フルインストールにはしなかったのですが、かと言ってネットワーク関連の必要なパッケージを抜かしたような記憶は無いのですけど…なぜ入らなかったのか不思議です。とりあえず、「ping」コマンドが無い件は「iputils-20001011-2」をインストールすれば解決する、ということで私も早速インストールしました。

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