2001-2002 シーズンの新演出  
 2001-2002 シーズンに観た作品  
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2001-2002 シーズン新演出

2001-2002シーズンの新演出と主な出演者は次の通りである。

Composer Title Conductor /
Director
Singers
Bellini Norma Carlo Rizzi
John Copley
Jane Eagan, Dolora Zajick / Daniela Barcellona, Richard Margison / Antonio Barasorda, Carlo Colombara / Hao Jiang Tian
Verdi Luisa Miller James Levine / Joseph Colaneri
Elijah Moshinsky
Marina Mescheriakova / Sondra Radvanovsky / Barbara Frittoli, Denyce Graves / Wendy White, Neil Shicoff / Martin Thompson, Nikolai Putilin / Reberto Frontali, Carlo Colombara / Hao Jiang Tian, Phillip Ens / Paul Plishka
R. Strauss Die Frau ohne Schatten Christian Thielemann
Herbert Wernicke
Deborah Voigt / Sue Patchell, Gabriele Schnaut / Adrienne Dugger, Hanna Schwarz / Wendy White, Thomas Moser / John Horton Murray, Wolfgang Brendel, Eike Wilm Schulte /Harry Dworchak
Prokofiev War and Peace Valery Gergiev / Gianandra Noseda,
Andrei Konchalovsky
Anna Netrebko, Ekaterina Semenchuk, Elena Obraztsova / Larissa Shevchenko, Gegam Grigorian, Dimitri Hvorostovsky, Vassily Gerello, Samuel Ramey
Wolf-Ferrari Sly Marco Armiliato
Marta Domingo
Maria Guleghina / Cynthia Lawrence, Plácido Domingo, Juan Pons, John Fanning / William Stone

これらの中で、ヴォルフ-フェッラーリの「スライ」は特に注目に値するだろう。 ドミンゴ、マリア・グレギーナ、ホアン・ポンスなどの競演で、4月1日から5月4日まで9回の公演がある。 そしてプロコフィエフの「戦争と平和」だ。 こちらは2月14日から3月19日までの10回公演だ。 どちらもメット初登場の作品である。
その他再演される作品は、「ファルスタッフ」、「アラベッラ」、「セビリアの理髪師」、「ラ・ボエーム」、「ドン・カルロ」、「オイゲン・オネーギン」、「ザ・グレート・ギャツビー」、「ヘンゼルとグレーテル」、「イドメネオ」、「ルル」、「蝶々婦人」、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、「真夏の夜の夢」、「フィガロの結婚」、「リゴレット」、「トスカ」、「ラ・トラビアータ」、「ヴォツェック」とフレンチ・ミュージック・シアターの一晩とサブタイトルされる「パレード」。 2001年9月24日の「ガラ・イブニング」で始まり、2002年5月11日の「トスカ」で終幕するまで、日曜日を除くほぼ毎日、土曜日はマチネーとイブニングの2回、週7本を上演する。

2001-2002 シーズンに観た作品

2001年12月12日 ヴェルディ 「ラ・トラヴィアータ」
  Violetta June Anderson   Alfredo Frank Lopardo
Giorgio John Avey Annina Diana Elias
指揮 Maurizio Benini 演出 Franko Zeffirelli
美術 Franco Zeffirelli 衣装 Raimonda Gaetani
2002年2月18日 プロコフィエフ 「戦争と平和」
  Natasha Anna Netrebko   Andrei Dmitri Hvorostovsky
Pierre Gegam Grigorian Anatol Kuragin Oleg Balashov
Napoleon Vassily Gerello Kutuzov Samuel Ramey
Sonya Ekaterina Semenchuk Platon Nikolai Gassiev
指揮 Valery Gergiev 演出 Andrei Konchalovsky
美術 George Tsypin 衣装 Tatiana Noginova
この作品を観るのはこれが初めてであったが幸いなことにシアトル歌劇場1990年公演のビデオを持っていたので、まず予習だ。 このオペラは力強い合唱によるエピグラフで始まるが、このシアトルの公演では複雑な濁った和音が聞きづらい。 ボリショイのCDでも最初の合唱に違和感がある。
7時半、幕が開きこのエピグラフが大合唱で歌われるが、なんとすばらしい響きだろう。 ゲルギエフの指揮はMETでは「ボリス」、そして「オランダ人」を聞いたことがあるが、このオペラの出だしは今まで聞いたものとは全く次元の異なるすばらしさだ。 最初の1音から魅惑されてしまった。 場面がオトラドーノエのロストフ家の領地に変わると、今度は対照的に静寂の世界に移り、夜アンドレーが寝付かれず戸外を逍遥していると、ナターシャとソーニャの声が聞こえてくる。 アンナ・ネトレプコとエカテリーナ・セメンチュク、そしてディミートリー・ホロフトフスキーの誰もががすばらしい。 第二場の貴族の邸での舞踏会の場も舞台は美しく、演出は秀逸できめ細かく一部のすきもない。 第二部に移り、シーン9の大砲が両陣営から発射される時の音がまたすごい。 そして12場、ボロディノの包帯所でアンドレーは「ピティ、ピティ、ピティ」という静かな音を聞きつけ、自身でも口ずさむ。 これとそれに続く、かけつけたナターシャとの再会と許しの場面の2人がまた良い。 そしてフィナーレでクトゥーゾフがロシヤは救われたと宣言して幕となる。 主役級の歌手の誰もがすばらしい歌唱を聞かせてくれたのだが、彼らの体型、容姿も役にぴったりと言うのも大成功の要因だ。
総勢350名が舞台上に乗るというマリインスキー劇場とのこの共同制作の当作品だが、クトゥーゾフを歌うサミュエル・ラメイ以外は主役のほとんどがマリインスキー劇場の歌手で固められている。 これらの歌手の大半が2003年の日本公演にも参加するようだ。 ネトレプコ、ホロストフスキー、ゲ-ガム・グリゴリアン、ヴァシーリー・ゲレロなどだ。
通常このような超大作のオペラ化では中身のないつまらないものになりがちだが、プロコフィエフとミラ・メンデルソンはナターシャとアンドレーの恋愛を中心に、すばらしいリブレットを完成させた。 プロコフィエフの曲には随所に親しみ深い旋律がちりばめられており、一度気に入るとこの作品の中毒から容易に抜けられなくなると言うような作品だ。
終演は11時45分近くになり、ニュー・ジャージーのホテルに帰ると2時近くなる。 しかし余りのすばらしさに、2月21日にもう一度この作品を見てしまった。
2002年4月5日 ヴォルフ=フェラーリ 「スライ」
  Sly Plácide Doningo   Dolly Maria Guleghina
Westmoreland Juan Pons John Plaka John Fanning
指揮 Marco Armiliato 演出 Marta Domingo
美術・衣装 Michael Scott 照明 Daune Schuler
2001-2002シーズンで私が1番注目していたのがこの作品だった。 この2002年にはワシントン・オペラの引越し公演での同作品の公演も計画されており、アメリカでも人気急上昇中の作品ではないかと、早めに予約を入れておいたのだが、METのホーム・ページからも売れ行きが余りよくないことがわかった。
今までドミンゴの出る公演はチケットの入手に苦労していたのだが、少し様子が違う。 しかも「ナブッコ」でニューヨークでも大成功しているマリア・グレギーナとの共演である。
劇場内はMETでもこれほど席の埋まらない公演があるのかと驚くほどの入りの悪さであったが、公演を見終わると理由はすぐにわかった。 まずヴォルフ=フェラーリの作品そのものが、ひょっとすると指揮者の責任かもしれないが、インパクトがないのである。 そうそうたる歌手をそろえてはいても心に残るような歌唱は残念ながら聞かれなかった。

2002−2003 シーズン新演出

Composer Title Conductor Singers
Bellini Il Pirata Bruno Campanella Renée Fleming, Marcello Giordani
Bolcom A View from the Bridge Dennis Russel Davies Catherine Malfitano
Janácek Jenufa Vladimir Jurowski Karita Mattila, Deborah Polaski
Berlioz Les Troyens James Levine Deborah Voigt, Ben Heppner
このシーズンのプログラムは余り魅力的に感じられない。 新演出では、以前の公演が良かった「トロイアの人びと」をフランチェスコ・ザンベッロがどのように料理するか。 指揮はレヴァインで変わらないが、歌手人はベン・ヘップナーのアエネーアス、デボラ・ボイトのカッサンドラ、ロレーナ・フント・リーバーソンのディードー、エレ−ナ・ザレンバのアンナ等である。
カンパネッラ指揮のベッリーニの「海賊」も面白そうである。

2002−2003 シーズンに観た作品

2002年12月11日 ヴェルディ 「イル・トロバトーレ」
  Manrico Franco Farina   Leonora Sondra Radvanovsky
Luna Carlos Alvarez Azucena Elena Zaremba
指揮 Frédéric Chaslin ステージ Peter McClintock
激しい雨の中を、韓国人の同僚を連れて観たこの「トロバトーレ」はアズチェーナを歌ったエレーナ・ザレンバのすばらしい歌唱でまあまあ楽しめた。 友人の購入したボックス席はパーシャル・ビューとあるが案外良い席のようであった。 バルコンやファミリー・サークルより舞台に近い席もあるので、次回にでも試してみよう。