薫風 チョット 見聞録 !  in 上海  D

2007七夕

  季節は、春、夏、秋、冬と移り変わり、そして一年が過ぎて行く。年を重ねると一年が速く感じられるとよく聞く。それは、経験を積むことで概念が既成され感動しなくなるかららしい。すでに周知のことばかりだというのだ。相変わらず知りたがり見たがりの私は、未だ好奇心は衰えず、肉体的老化は多少気にしながらも、荷物引きずりわっせわっせと出掛けて行く。成長しきれていない・・?まだまだ知らない事ばかりだよ!
  一年があっという間に過ぎる。この時間の感覚とは不思議なもので、随分前の事が、このあいだチョット前だと感じたり、つい最近の出来事が遠い過去の様に感じたり。自分の年齢にしても、信じられない・・・やっぱ成長してないんだ!
  今回、上海の旅は旧友との旅。それも若かりし頃、共に励んだ舞台修行。汗し涙し稽古に打ち込んだ日々、懐かしき青春を共有する、旧知の友との珍道中。上海に赴任中の友を訪問がてらの3人旅。皆しっかり五十路旅なれど、顔を合わせた瞬間から気持ちはすっかりあの頃のまま!なのは、私だけ?一緒にヨーロッパに公演旅行したのが30年前、そんなに経ったなんて、信じられない・・・         

  上海の空、水分をたっぷり含み重そうな雲に迎えられ、11:10定時に到着。飛行時間2時間余り、時差1時間、1時間のもうけ・・・ 迎えの車でホテル直行。  
  揚子飯店(ヤンヅーファンディエン)1934年創業の老舗ホテル こじんまりとしたホテルながら、大理石のロビー、アンティーク調のシャンデリアなど雰囲気はなかなか、でもさすがアンティーク、通された部屋の薄暗さ、かび臭さ。床のきしみ、壊れそうなエキストラベッド。おまけに窓の下、夜通し鳴り響く道路工事の炸裂音。二晩我慢してルームチェンジ。騒音からは逃れられたが、今度の部屋はバスルームが大洪水・・・アーア・・後日の笑い話、語りぐさ・・・
  上海の歴史は春秋時代(BC770〜BC403)に遡ると言われるが、三国時代(240)お寺や庭園が数多く創建され、今、観光名所古刹として残っている。1842年のアヘン戦争後南京条約で開港し商業活動の拠点となり、外国人の居留地等、西洋建築物などその当時の街並みも残されている。激動の歴史の目撃者たる石の建物はより重厚に見える。それに比べ新しい建物は、背比べと独創性を競い、色々なデザインの屋根や形に唖然、、夜ともなればさらにネオンで彩られ、なんと賑やかな事!人の多さと蒸し暑さも加えて、すさまじい状態!古い物と新しい物の混雑、それに加えていたる所で道路工事。2010年の万博の準備らしいが・・・
   翌日、雨雲にラップされ湿気と熱気ムンムンの中心都市をのがれて、世界遺産の庭園巡り。ガイド(櫃「ひつ」君24歳)付きライトバン!オプションの日帰り観光。他に参加者なく我らが貸し切り。どしゃ降りで濡れた靴下を干しながらバスに揺られ蘇州へ・・留園、寒山寺、虎丘、刺繍研究所・・・贅を尽くした庭園はかつて文化人の優美さを伝え、独特の雰囲気が漂っている。池と築山、回廊のある建物。庭を巡る道かしこ、敷き詰められた小石で花や蝶の絵を描き、池の端には柳がそよぐ。美しき夫人が庭をめぐり、優雅に涼をえて香しき茶など所望したに違いない。そんな風情が感じられるが、最後はしっかりお買い物コース付き、さすが中国!そして、ここも観光客がわんさか・・   
  次の日は我らだけで市内散策。博物館そして豫園商城、おっとその前にチェンジマネー!言葉の壁に銀行探しも一苦労。観光地の人の多さ、売り込む商売人のバイタリティーには驚愕。事前に盗難などに注意を促されていたせいか、皆カバンをしっかり抱え緊張!そのせいか、蒸し暑さのせいか、慣れない異国に少々くたびれる・・・江南式庭園(豫園)穴ぽこだらけの銘石と屋根の軒が反り上がっている独特の古い建造物。それぞれ名を持つ名建築らしいが、数の多さにみな同じに見えてくる。中華料理と等しく量の多さは些かまいった!中国では残しても失礼にはならないらしいが、やっぱり勿体ない気が・・・   

  散策三日目は南京東路をひたすら歩き浦東地区まで・・ 突然の土砂降りの雨にも、今日は上海在住の友の随行なので余裕余裕! 南京東路は中国きっての繁華街、上海の銀座通りだって?観光の目玉、ご自慢のコース、観光隧道(イルミネーション付き海底トンネル)東方明珠塔(アジア1位の高さ468m)、1900年代初頭の洋館が多く残る、外灘(わいたん)。夜はピカピカにライトアップされ、ガイドブックを必ず飾っている場所。夕食はそんな夜景を見ながら、ワインで乾杯!なぜだかイタリア料理!そういえば昼食は日本料理だった!もちろん中華料理もいただきましたよ!おいしく・・でも二日続けばもいいかっ・・・そういえば豫園での夕食の時、普通のレストランでのこと、冷や奴を注文した友、不思議な味だったらしい、「ソイソース、そいそーす!」って叫んでいたなぁ・・・もちろん出てこず・・・   

   散策最後の日、今日もガイドなし三人で新天地へ・・・19世紀末に建てられた煉瓦造りの住宅群をモダンな街並みへとリニューアルした、アミューズメントスポット。あまり広くはない敷地だが、内容が掴めぬままウロウロ・・・とにかくお茶しよう・・一番上等なウーロン茶、菊の花茶、ジャスミンティー、それぞれオーダー。かわいい女の子に入れてもらって、ゆっくり堪能!たっぷんおなか一杯・・・それでも又次いでくれる!シェーシェー・・とにかく満腹なので、昼食もとらぬまま予約していたマッサージへ・・・60分全身コース!私は恰幅のいいお姉さんが担当、痛みこらえている内に終了。少々もみ返しあり・・その後、夜は、友人のお薦めで一緒に上海雑伎団へ・・・中国健在。     

  盛りだくさんの旅、いよいよ明朝、帰国の途。 気心しれた友との五泊六日、何をやっても、おかしく楽しく笑い放しの珍道中! 異世界での非日常。日本では当たり前に飲める水、安心して食せる食べ物。不信感など余り抱かずに暮らしている。飛行機で2時間余りのすぐお隣の国なのに、随分違う世界。すれ違う大勢の人々。外から推察するしかないが、偽物の横行、盗難、取り替え詐欺(偽札との取り替えが横行)拝金主義の根底には、当然歴史と環境が大きく関わっているとは思う、が、やはり水の存在が人間性に大きく関わっているようにも思う。水道の水ではうがいも出来ず、生野菜も洗えないから食べられない・・買った水も中身は水道水!色々だまされるのは、お金を持ってる日本人観光客が一番多いらしい。疑うことなく水を使い暮らしている日本人は、危機管理の緊迫感が余り無い。日本はまだまだ恵まれた環境にある。でも決して慢心してはならない。この頃日本でも、色々信じられない事件を耳にする。物に振り回され、精神が荒みつつあるのはなぜ?・・もう一度自分の心に問いかけてと私も言おう・・日本の四季の美しさを日本らしさを子供達に伝えよう・・安心して水が飲める国は誇らしく、これからも決して水を汚してはならない!心と水を澄まして、美しい日本を・・そんな思いが溢れた帰国路。
さぁ、又それぞれ日常の生活に戻っていく。
どこへ行っても日本語で通したさすがの坊守、住職夫人。
トラブルでもいつも泣き寝入りしてしまう日本人、でも断固としてクレームをし続けた心強い同胞。
慣れない地でご主人を支え、たくましくエンジョイしているお姉さん。 それぞれ人生の試練を乗り越え、成長した姿。そこにある価値観の違いも笑って包み込む大人の余裕。そして若き頃の面影も充分残し、かわいらしく憎めない面々。 帰国時の関空の風はさわやかで、ほっと一息。 かわいいお孫さんのお出迎えに特別の笑顔!母の顔。これが現実なんだと思わず引き戻され、この数日間が夢の様に感じられる・・・お疲れ様!ありがとう! 又いつの日か、この思い出を語り合う時、随分昔と感じるのでしょうか、ちょっと前の話と感じるのでしょうか?   
  我が愛すべき旧友たち、心より永久に幸あれと祈ります! 再会(サイツェン)上海! 
                                                    薫

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