2010 12/20〜12/26
12月26日午前5時半過ぎ、関空上空。 ハノイ現地時間0時半に関空へと飛び立ったVN944便、徐徐に高度を下げてきた。 まだ夜明けに遠い暗闇、チカチカとガラス片をまき散らしたかに見える陸地が、視野の 領域を広げていく。帰ってきた、又・・・ 見慣れているせいなのか、風の色も香りも希薄に感じる日本。高層ビルと鉄塔、張り巡 らされた電線、そこここにお馴染みのコンビニの看板、高速道路沿いの茶色い松。 今回は関空解散後もバスに便乗させて頂いて奈良まで同行。 雪が舞い始める。 奈良の景色が目に入り出す頃、ホッと吐息が漏れる。日本だ。寒い。冬だった。 遡る事6日前 <12月20日 月曜日> VN945便10時30分 on time で takeoff! ベトナム ハノイまで約5時間15分の空路 慌ただしい日本の生活からの脱出。贅沢の極み。些か疲れの溜まっていた身体、シート に深く沈み込むといつしか一時まどろみの世界・・たった一杯のカンパリソーダの効用 現地時間午後2時過ぎ(時差2時間)ハノイ上空。 すっぽりと雲に覆われている。ズォ〜ンと背骨にかかる重圧は高度を下げている証拠。 随分低空飛行しているにも関わらず陸地は見えない。 その葛色のかたまりは、執拗に絡まり不安を誘う。突然の衝撃と共に着陸。その空気は 湿度が高い のだろうか重く沈んでいる。ベトナムは雨期の最中。 バスに乗り込み移動中に初めて見るベトナムの街並。まだどんよりとした空気の中、黄、 緑、桃色の小ぶりの建物が縦長に立ち並び、蜜柑色の屋根などカラフル。小さな綺麗な 四角いカンテンが浮かんでいる葛菓子の中に溶け込んだかのよう・・・ バスが目的地に着く頃には、風が雲を遠ざけ、幾分明るさも増す。 バクニン省ファティック寺!ベトナムの風情が漂い、旅人の心を満たし始める。 王様の靴を模した昔ながらの寺院の屋根の形。掘り出された絆創膏だらけの仏様。建設 中の新しい大仏。戦争の傷跡と復興、人々の祈りをそこに見る。 夕食交流会、ベトナムの精進料理、紹興酒のようなお酒も進み、初対面のツァーのメン バーとの交流もほぐれ始める。 その後ホテル日航ハノイにチェックイン、3連泊は珍しく落ち着けそう・・・ < 21日 火曜日 雨 > 7時半 出発 バチャンへ 陶器の町 まだまだ旅は始まったばかり、目を肥やすべく今はしっかり 見てるだけ・・ 次ぎは3時間超のバス旅程、ハロン湾までひた走り・・・ ベトナム添乗員の話に耳を傾ける。バイクの多さ、事故の多さ、事故の対処の仕方など 現地ならではの話、へぇー聞いて見なくちゃ解らない!土日は信号お休みだって・・・ ハロン湾に到着、観光客の多さ(欧米人がかなりいる)、観光船の多さに息を飲む! 奇妙な岩、島々が点在する不思議空間、船上でのランチ、次々と運ばれてくる料理。 何に満喫していいのか甚だ、混迷! あの洞窟は何だったんだ?カラフルな洞窟・・完全に観光ルート! ハロンのえびには気をつけろと、経験者のアドバイスを気にしつつも、何のこともなく、 帰路のバス、腹痛もなく無事ハノイに戻る。 ワイルドロータスでの夕食。根っからの小食を嘆く・・・ その後 水上人形劇の見学 何とまぁ、形容し難い雰囲気!どうやって動かしてるのか 探っている内に The end < 22日 水曜日 > 8時半バスで出発 今日は歴史博物館などハノイ市内を巡る。 ベトナムの公共施設など大きな建物はすべてと言っていいほど、黄色に塗られている。 フランス統治下の影響だというが、当のフランスで黄色い建物の印象は余りなかったの だけど・・・ 歴史博物館も黄色。ベトナムの鶴亀は亀の上に鶴が乗っている・・な〜ぜ〜? その後 ベトナム国立交響楽団リハーサル見学。やっぱり生音はいい!完成形を聞きた いものです! 親睦昼食会の後、市内見学 一柱寺 ホーチミン博物館 パナソニックRisupia ココシルクでショッピング! 市内を巡るバスからの眺め。一番驚くのは、やはりバイクの多さ。道を覆い尽くす程の 数、車すれすれに横行し、車のほうが遠慮しているように見える。ふたり乗りは普通、 3人乗り、4人?幼児まで挟まれるように乗っている。 その道路を渡る時の困難さ、みんなで渡れば怖くない?いや怖い!一人で渡る時の方法 を伝授してもらう。走ってはだめ、日本人はすぐ走るって・・バイクを見ずにゆっくり 前を向いて歩けばバイクの方がよけてくれるらしい。 信頼感がなければ無理でしょう・ ・・やってみる。なんと渡れた! 三角の傘をかぶり、天秤棒を担ぎ、バイクが往来する道をゆったりと行き交う商人。こ れこそベトナムの象徴と見た! そんなベトナムに浸りつつ、夕食は越風フレンチだって!ワインが美味っ!もう少し飲 みたかったねっ! ハノイのホテルも最後の夜。商店街をぶら歩き、下町風の街並みに好奇心も最高潮! 最後におしゃれなラウンジでお茶して打ち上げ。ごちそうさまでした。 明日は朝3時出発ですよ〜! 2時にモーニングコールでしたっけ? < 23日 木曜日 > 脳は興奮状態!わずかにまどろんだだけでコール前に起きだし、チェックアウトの準備。 ベトナム航空国内線でフエへ。 7時半頃にはフエ到着。観光客になる。カイディン帝廟、ドゥドゥック帝廟。ティエン ムー寺、フォン川クルーズ・・・足の運びが重くなっている。些か疲れが出てきたのか? 寝不足か?少し情けない・・・午後からの王宮観光には参加せず、しばし休憩。 部屋の居心地がすこぶるよく、窓からフォン川を眺めながら、ひとりゆったりと数時 間過ごす。ジャスミンティーと少しのまどろみと共に・・・ 今宵は宮廷料理とか・・油料理に胃が少しギブアップ気味。 < 24日 金曜日 > 6時からの朝食時、ダイニングから続くベランダガーデンに降り注ぐ太陽光線。あた りを美しく浮かび上がらせる光の乱舞。眼下にはかわいらしい学校が・・そういえば、 昨日、子供達の元気な声が聞こえていたなぁ・・・光が私を励ましてくれてるよう! 6時30分出発 ダナンへ 3時間ぐらいのバスの旅、相変わらずのたくさんのバイクとの走行。街並みも見慣れた 光景に・・・行き交う人も多い、なにかゆっくりと時が過ぎる感じ。 チャム博物館到着。日差しも暑さを増し、細長いベトナムを随分南下してきた事を実感。 館内見学もそこそこ早めに外へ。木陰に座し、南国の柔らかい風を受ける。 白い花の香りに誘われて・・・心身共にほぐれ出す。 再度、バスに乗車。目的地は五行山 三台寺 渡された黄色い菊の花束を手に、石段を登る。80段余りと聞く、だが一段ごとがかな り高い!でも今日は元気! 御宝前にて参拝、華厳洞の観世音像など数カ所での般若心経。身体に染み渡る低周波。 観音様に新しい命の無事を祈る。優しいお顔!感謝の思い、熱きものが全身を満たす。 下山時、展望できる高台に上り、五行の山々を見渡す。雄大なる拡がり・・いつもこの ような視点から、見ていれば、心、波立たずにすむだろうにと・・心洗われる思い。 参拝後 又バス シートに落ち着く暇もなく2分足らずで観世音寺に到着! 思わず絶句、大歓迎の様子!差し掛けられるピカピカの天蓋。両側から美女による生花 の散華。菊の黄色い花びらが舞う。その中を御宝前へ・・菊と同じ黄色の法衣の僧達。 彼らの祈りの中身をのぞいて見たい。生活も価値観も違う人々が同じ方向を向き拝む、 懇親会とはいえ不思議な世界。その先に飾られた仏の光背はピカピカネオンサイン、虚 像に祈る人間の姿、計り知れないものを感じる。 昼食は歓迎会。飲み物、食べ物大判振る舞い。歌に踊りに大歓迎。テレビにも放映され るらしい・・・ハエさんも大喜びで大乱舞。追う手休む暇なく、コーラに蓋。 皆様ご苦労様でした! 予定より随分おして、ホイアンに向けて出発。 着いたホテル スイス・ベルホテル ゴールデンサンド リゾート&スパ 海に面しプールもあるホテル。なんとリッチな雰囲気! あたかもクリスマスイブ!真夏のクリスマス!最高のプレゼント! ウエアーも夏のリゾートに着替え、裸足で砂浜へ・・・気持ちい〜い! その後 改めて市内観光。人混みも苦にならない。たどり着いた路地のような一本道、福建会館、 海のシルクロード博物館、来遠橋、両側に連なる店店。日が傾くぐらいまでぶらり歩き で散策。楽しい思い出も、おみやげもたくさんため込んだけど、もう少し時間が止まっ て居て欲しいと思う。 夕闇迫り、夕食はホーホイツーでホイアン料理。おしゃべりも花盛り、酒盛りも盛り上 がり、上気したままホテルへ。 夜のホテルはイルミネーションも美しく、昼間とは違った華やいだ様子。なんたって クリスマスだもの・・・私は仏教徒だけどなんだか楽しい! 私はロビーを抜け海へ、美しい月も顔を見せ Wellcome!! 気分の良いところで、明朝は日の出を見ようと心に決め、お部屋へ・・・ < 25日 土曜日 > 今日の午前中の予定をすべてとりやめ、このホテルでゆっくりすることになる。 5時すぎには目覚める。まだ暗い。ほんのり白み始めた頃、測道を海へ! 思った程寒くない。海の水も冷たくない。次々と変化する空の様子、雲の色。 思わずカメラのシャッターを押す頻度が増える。明かるい方へ明かるい方へと誘われて いる内、防波堤を越え、さらに崖っぷちまで・・日の出とその波間への照り返しの美し さに目を奪われる。打ち寄せる波形、二度と同じ形はない。何度シャッターを押して も撮り尽くせない・・・電池わずかの表示。 小一時間ほどの朝の散歩。足下には1センチほどの小さなカニさん。無数に蠢く小さな 命。生きている。おはよう!お陰様でいい朝・・・。 旅も終盤、残りわずかな時を、今日一日心残りなく過ごしたいもの。 数時間ひとり海と戯れ、服のままプールで泳ぎ、非日常空間、身も心もリフレッシュ! 12時には身支度も済ませ出発。昼食後 ミーソン遺跡を巡る。 草むらに佇む遺跡群、遥か昔の息づかい、砕ける年月の重み。そばに地面が直径5メー トル程ですり鉢状に陥没してい場所があった。ベトナム戦争の爆弾の後。水が溜まって 池になっている傷跡がまだそこかしこに有るという。 ほんの少し前、心痛んだ記憶にある出来事。 草深くどこからか聞こえてくるコオロギの声。日本のと同じなき声。 道端のオジギ草。触れると、はにかんだお辞儀を返す。自然が優しく癒してくれる。 ベトナムの景色の中に立派なお墓を何度か目にした。死者は土葬し数年後に掘り出し、 骨を綺麗に洗って壷に入れ又埋葬するという。祖先をとっても大事にするらしい。 チベットでは鳥葬、インドでは河原で灰にしガンガーに流し、ブータンでは灰で小さな 塔を作り自然の岩場に置く。国によって様々あるものの・・・。 いずれは我が身・・・どうなる?これからの日本では・・・? 四苦八苦、この世を苦だと解いた釈尊。しかし苦痛を背負って旅の最中、末期の言葉は 広い大地を見て「この世は美しい」とつぶやいたと言う。「人の生命は甘美なものだと・ ・・ この仏陀の教えを仰いだ空海は「生の始めは暗く死の終わりもまた冥い」と闇を綴った 浅学で全てを理解できない私だけど、端の方が少しだけ見えてきた年齢になって、自然 と手を合わせる事が多くなったように思う。果たして私は何と言って人生の終演を迎え るのだろう?まだまだお呼びはかからないと思うけど、いつ何が起こるかも解らない。 これからの生き方次第、現実、納得した日々を積み重ねるしか! 「あ〜おもろかった!」って終わらせるために・・・! お陰様で、今回のベトナム仏跡巡拝の旅は、他ではできない面白い経験をたくさん積ま せて頂きました。数々の出会いに感謝!! 最後の夕食をホイアンのレストランで済ませ、ダナンから空路ハノイへ。 乗り継ぎ帰国の途へ・・ハノイ現地時間0時30分関空に向け ー Take off ー 2011,1,9 記 Kun |