メールありがとう
前田 清毅 さんからのメール
ヤイリのNewYorkerタイプのギターについて教えて下さい。 私は指が短いもんでフルスケールのギターはきついのと、12フレットジョイントの ギターが欲しいので小さなギターを探している最中なのです。
値段はいくらくらいでしょう?
スケールはどれくらいでしょう? どれくらいの期間で手に入れることができたのでしょう?私のギター(Cat's Eye CE-2000は20年くらい前にカワセ楽器で000-28のオールドと弾き比べて購入したもので、20万円でした。
ホームページをご覧頂いた方から手に入らないギターなのだというメールを頂いたこともありました。
Cat's Eyeを買おうとして買ったわけではないので、どれくらいのレベルのものかはわかりませんが、先日ギター関係の雑誌を立ち読みしていたら40万円近い値段がついていて驚いてしまいました。
う〜む。前田さんのCat's Eye 000はやっぱり気合いの入ったギターだったんですね。
東海楽器のMartinレプリカは当時から評判が高かった物ですものね。
更に20年前の国産20万円クラスのギターと言ったらこれはもう最高級の部類で、そんじょそこらの舶来ギターには負けないものですよね。
それが20年近く弾きこまれているんだから、これはもう、ちょっと値段の付けようも無いでしょう。
間違っても40万円なんてハシタ金で手放してはいけませんよぉ!さて、ヤイリのNewYorkerです。
私も手が小さく、指が短いので(身長は174程あるのに150cm台のカミさんよりもずっと掌も指も小さい!)1弦1フレット4弦4フレットなんてぇ指使いが出てくると本当に困ってしまいます。(前田さんのアレンジにも出てくるぞ!)。
Oタイプはショートスケールですが、ナット幅は広く、ネックも決して薄い方ではないので000の方がずっと弾きやすいのですよ。
しかし、12フレットジョイントとコンパウンド弦、軽いマホガニーボディの魅力は弾きやすさを超越しているかもしれません。
(000に比べて、と言う意味であって、O16は決して弾きにくいギターではありません。誤解なき様)
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K.Yairi Oシリーズ 今年の紙のカタログには載っていますが、 ヤイリギター のホームページ上のカタログでは見つかりませんでした。
右から
塗装はラッカーです。
Top Back/Side Neck 指板/Bridge 仕上げ NY-O16 スプルース:単 マホガニー マホガニー ローズウッド サテン NY-O21 スプルース:単 ロースウッド マホガニー エボニー グロス NY-O21H スプルース:単 ロースウッド マホガニー エボニー グロス
型番に“H”の付いたモデルは14フレット仕様ですが、なにも“O”モデル(コンサートタイプ)でわざわざ14フレットを選ぶのもナンじゃないでしょうか?
Topの仕上げが赤みの強いオールドフィニッシュでなかなか雰囲気はありますが…
型番末尾に“B”が付いた物もあり、こちらはボディ(Back/Side)が合板製でエボニーの部分(指板/ブリッジ等)がローズウッド、塗装もウレタンになります。定価が
これだけの価格差だったら、買うならやっぱり単板、ラッカー仕上げの“B”じゃない方ですよね。
NY-O16 130,000. NY-O16B 80,000. NY-O21 150,000. NY-O21B 90,000. NY-O21H 170,000. NY-O21HB 100,000.
ちなみに現在Martinのカタログには“O-21”と言うモデルは載っていません。
K.YairiのO-16NYは材質(材質グレードは知りませんが…)も含めて、Martinの物のフルコピーと言う事になります。K.Yairiはオーダーシステムもあり、最低4ヶ月(じゃ一寸無理みたい。半年以上の覚悟はいるかも)で殆ど自由自在のオリジナルギターを作ってくれるそうです。
前にも書きましたが、例えばヘッドのK.Yairiデカールを省いてヘッド裏にメーカーロゴを焼き印して貰うと+5,000.。塗装カラー変更や、サテン仕上げをグロスに変更で+10,000.等々。金と時間に制約が無ければ00045オリジナル等の再現も可能でしょう。
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Martin Oシリーズ 左側が件のO・16NY、右はO・18T(テナーギター)です。
お値段はO・16NYが438,000.。O・18Tが470,000.だそうで。
どちらも“Special Order”と言うことなので楽器屋の店頭で新品を見る事はまず滅多に無いですね。
Martinカタログより
クォーター・ソウン・マホガニーボディの真価を心ゆくまで堪能させてくれるO-16NYこのモデルは、今日あるマーティンギターの中では最も古い歴史をもつギターです。O-16NYのNYとは“New York”の略で、ニューヨーク創立当時のマーティンギターの面影を現代に継承しています。華飾を省いた、あくまでもシンプルで端正なボディデザインとマットラッカーフィニッシュによるトラディショナルな風格、コンパウンド弦による温かさとデリカシーあふれるサウンドなど、まさにオーソドキシーなマーティンの傑作品です。
Martinのネック幅(At Nut)はD、000(14・12F共)
0000(M)が全く同じ1-11/16"[42.9mm]。00(12F)と0(12F)が1-7/8"[47.6mm]。
Oの14FはD等と同じ1-11/16"[42.9mm]です。スケールはD、0000(M)が25.4"[645.2mm]
000、00が14.12Fとも24.9"[632.5mm]となっているようです。
Yairiのネック幅は実測で47.6mm、Martinのワイドネックと同じでした。
スケールはカタログ公称63cmで実質的にはMartinの24.9"[632.5mm]とほぼ同じと見ていいでしょう。
但し、ネック断面までフルコピーとは限りませんから(お手本があるから近い物を作るでしょうが…)弾き心地が同じとは断定できませんね。Yairiの14フレットのモデルはスケール64.5cmとカタログ記載があります。
こちらはDやMのスケールですね。
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K.Yairi O16バインディング MartinのO・16NYはカタログスペックで“●BINDING:Black”となっています。本物を見たことがないので詳しく分かりませんが、恐らく、D-18の様な真っ黒のセルバインディングなのでしょう。
K.Yairiの方は鼈甲模様バインディングです。
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K.Yairi O16ブリッジ ブリッジはローズウッド製で、サドルがスライド式に取り付ける、左右に突き出たオールドタイプ。
MartinのO・16NYは普通の埋め込みサドルですからK.YairiはオールドO16のコピーなのかも知れません。
このブリッジは通常のものより小さいのでやはり弦はテンションの弱い物を使う前提の設計であることがわかる。
サウンドホールから手を入れて中を探るとブレイシングはスキャロップになっています。このことからも弦は弱いテンションでと言うことになります。
NY-O21の方は普通の形のブリッジなので弦指定はコンパウンドでなくてもいいかも知れません。
でも、Oタイプの魅力ってコンパウンド弦による所も大きいんだよなぁ…
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Dタイプブリッジ これは普通のドレッドノートのブリッジ。
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00042オールドタイプブリッジ これはオールドレプリカの00042ブリッジで、やはりサドルをスライド式に取り付ける、左右に突き出たタイプ。
このギターもサウンドホールから手を入れて中を探るとブレイシングはスキャロップになっています。K.Yairiには何も注意らしきものは無かったのですが、こちらにはボディ内に“USE MEDIUM OR LIGHTER, STRINGS ONLY”と焼き印が押してあります。
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K.Yairi O16ヘッド ヘッドの形そのものはMartinと全く同じ。
ブリッジはオールドタイプなのにヘッドスロットはオールドの様に穴の角が直角の物ではなく、最近の丸くくり抜かれたタイプ。
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goto ペグ 国産ギターではクラシック以外にはスロッテッドヘッドをあまりみかけない。
故に6連のスチール弦用のマシンヘッドも選択肢が殆ど無い状況。
ある程度の性能を有し、本体コストと見合った物というと、結局このGoto製しかないと言う事になる。
TakamineのNYタイプもこのペグを使っていますね。(但し、TakamineのNYはエレアコで14フレットジョイントのみ)
金メッキしかないし、デザインもクラシックギターならまだしも、ちょっと趣味的に許せない部分ではあります。