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SIGMA(Martin)SEC・42
ずっと欲しかった小型ボディのギター。
型番のECはかのエリック・クラプトンの意味で、彼がアンプラグトで使って有名になったモデルのレプリカだとか。
(定価150,000.だそうな)
本物は00045と00028の間に挟まれて中途半端のモデルと言う事で非常に生産台数が少なかったらしい。
ポジションマークはスノーフレイクで5フレットから、ボディ表のみのバインディングに貝インレイ、ネックにセルバインディングが入っているのが特徴。
ブリッジは左右まで長く突き出たオールドタイプ。
このモデルはヘッドはローズウッドツキ板仕上げでトーチインレイが入っているが、オリジナルではネック木地木目で、通常の横書きのMartinロゴが入っている。
本家MartinからもECシグネチャーモデルと言う事で復刻版が出ている。
一寸弾きこんでみて、音はかなり気に入ったのだが、しかし、どうにもチューニングが甘い。
本物のオールド(ビンテージ)Martinが買えれば一番なんだが…
100万円台からのプライスでは家庭持ちにはちょいと手が出ないぞ!!
かのクラプトンの使った00042が万一オークションに出たら(出ないだろうが…)始まり値は1,500万円を下らないだろうと言うこと。
Martin製の復刻モデルがケース付100万円。
ちなみに新しいモデルにはあまり興味が無い。
(でも、復刻版のジョーン・バエズ シグネチャーモデルはとっても欲しいぞ!約160万円 糞っ!)しっかし、凄い世界だよなぁ…。
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Gotoh Open back PEG(Butter Bean)
本体は満足出来る域に仕上がっているのだが、コストの関係だろう、チューナー(ペグ・ヘッドマシン)がトンでもない安物。
ツマミだけは通称“バタービーン”と呼ばれる菱形の角を丸くした様なオールドクルーソンオープンと同じ形に仕上げてあるのだが、肝心の本体は安物のギターによく使われるgotoの一番廉いカバードタイプのカバーを外して若干表面を奇麗に仕上げただけの物。
この価格帯(10万円台)のギターでは、選択肢の多いロトマチックなら結構良い物が使われているようだが、オールドタイプのオープンペグは選択肢が非常に少ない。
うんと安物か超高級品かで、そこそこの製品が無いと言うのが問題である。
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Gotoh Coverd
Applause VoyagerのPEG
これはApplause VoyagerのPEG。
3万円台位の廉価ギターにはこの手が付いている事が多い。
ギア比の関係で調弦はピシッと決まらないし、回転部分のガタは多いしで、弾いている最中にどんどんチューニングが狂って来たりする…
廉いギターは合板で鳴りが悪い (でも弾きこめばそれなりに良い音は出てくる。単板は良いに決まっているが合板だから品質が低劣とは一概に決め付けられない) 以前にこのチューニングペグの悪さが大問題である。
入門用ギターを買って練習を開始した初心者が、調弦を上手く出来ないでつまづくのは、なにも耳が悪いからではなく、ペグの品質にも責任があるのではないだろうか。
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Gotoh SGE
Applause VoyagerのPEG交換
結局上のPEGは、あまりに精度が悪いので結局交換してしまった。
たまたま部品箱に使っていないGOTOのType-SGE PEGがあったのでそれを使った。
ノブがレギュラーサイズだったので、使えなくは無いが少々重く大き過ぎるので、小さな物を注文したらちゃんと部品扱い取り寄せ可能であった。(流石世界のGOTO)
12弦や片側6連のエレキなどに使うタイプ6個で1,000円は廉い!
付いていた物はGOTOの廉価版カバードタイプ(IDC41)だとばかり思っていたのだが、ばらしてみたら実はどうも模造品の様だ。
ブッシュなんかプラスチックでガタガタ、あまりに酷い精度であった。本物のGOTOに交換して弾いてみると…PEG一つでギターの音はこんなにも変わるのだな。
もちろんチューニングが決まるのは気持ちいいが、音もしっかり落ち着いてきちんと出るようになった。
今までは不要な共振や逆にPEGのガタの為の振動の阻害があったようだ。
超小型のトラベルギターだからといっていい加減ではいけないのだ。
まぁ、アコースチックでは唯一と言えるハードウェアだし、一番簡単にコストダウン出来るのがPEGだから仕方は無いのだけれど…
この携帯ギター、次はコンタクトピックアップを入れてエレアコ化を目論んでいる。
ナイロン弦のStafford SSC-1000Xは高音域よりも低音域を重視したかったので一寸重めでも敢えてSharler Classicに交換したが、000ボディの場合、重いペグを付けると持ち味が死んでしまう危険がある。
(オリジナルの戦前モデル000でも重たいグローバーロトマチックを使っている物はあるが…)
用途、好みから、高域を奇麗に出す為にもどうしても軽くて精密なチューナーが欲しかった。
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Kluson Coverd
さて、SIGMA SEC・42のPEGである。
候補はクルーソンカバードタイプ (写真は6連タイプ) か、Martin純正ロゴ入りのオールドオープングローバーレプリカ(goto製)、銘品Waverly(オールドオープングローバーレプリカ)位になってしまう。
クルーソンカバードタイプはツマミ部分が一般的な楕円形、goto製ならツマミが“バタービーン”形の物や象牙もどきの楕円ツマミもあるらしい。 これらは実売価格が5,000〜10,000.程度。しかし、デザインはともかく基本的な構造からして、精度的には今付いているgotoの廉価製品と大きな違いはない様に思われる。
Martin純正のロゴ入りのオールドレプリカ(goto製)、は形はオールドオープングローバーと同じ物。
goto製なら性能・精度的にはオリジナルのオールドグローバーよりは良いだろうが、仕上げがあまり良くなく、価格に応じた物には見えない。
(3万円前後のプライスが付いていた。高過ぎるぞ!)
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Waverly W16 Gold
と、言う事は定評ある銘品ウェヴァリー(Waverly)と言うことになるが、こちらは割引でも3万円以上。
ショップで迷って相談してみたら、円安により次回入荷分から定価5万円以上になるとの事。現価格は店頭展示品のみ。
焦って即決で手に入れてしまった。
新しいMartinのオールドレプリカを買ってその場で、純正ロゴ入りのgoto製からこのWaverlyに交換してしまう人もかなりいるそうで、その精度、仕上げ、材質の優秀性は伝説的ですらある。
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Waverly W16 Gold
仕上げは流石に奇麗である。
単体で持った時にも軸ガタ等が全く感じられない高精度。材質も抜群である。gotoの方は外した状態では軸がブラブラする程、ブッシュと糸巻き軸の間も遊びが多い。(弦の張力がないと安定しない)
ブッシュの6角仕上げも美しく磨かれて、値段は伊達じゃなさそう。(gotoのはただの丸ブッシュ)
ブッシュと糸巻き軸の間にも殆どガタらしき物が無い程精度の高い仕上げである。ロトマチックではヘッドに10mm程度の穴を開けて表からナットでペグ本体を固定する仕掛けだが、オールドタイプは8mm程度の穴で表面のブッシュを打ち込んで止める。
gotoのブッシュは8.3mmだったがWaverlyは8.6mm。加工も最低限で済んだ。
※、正確には、オープンタイプのペグホール11/32インチ(約8.7mm)、ロトマチックは3/8インチ(約9.5cm)
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Waverly W16 Gold
裏面も幸いにして(Martin純正やWaverlyへの交換を意図した設定だったのか?)、gotoの台座はWaverlyよりも小さかったので取付痕が殆ど隠れて目立たなかった。
もちろんこだわって元のネジ穴は細木で埋め、一応色合わせ仕上げをしたが…Waverly取付後はそれらも、元の痕跡も見えないのは嬉しい。デザインもバッチリで、雰囲気最高。
見ためだけでも大満足である。PEGの手触りも重厚で、廻した時の適度な抵抗が何とも言えない。
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〔結果〕ギア比1:16と驚異的に大きく、微妙なチューニングも見事にぴったり決まる。
とても合いにくかった3-2弦ハーモニクスチューニングも一発。音叉チューニング後クロマチューナーで確認しても殆ど修正チューニングが要らない位。
また心なしか音質も落ち着いた物になった様に感じる。
なによりチューニングが決まる事と演奏中に狂いが出て来ないのは精神衛生上非常によろしい。
150,000円(中古だったのでそんなに出していないが…)程度のギターに超高級PEGを取り付ける事に多少ためらいはあったが、気持ち良く使う為にはやはりこれは大正解だったと思う。
Martin純正ロゴ入りのgoto製も決して悪くは無いのだが、確かにWaverlyと比べてしまうと明らかに見劣りがする。
総合部品メーカーgotoとしては、その製品にWaverly程思い切った価格設定ができないというのが苦しいところだろう。結果コストの絡みで現状の程度の製品になってしまっているのではないだろうか。
でも、天下のMartinロゴの為せる技か、店頭販売価格はWaverlyと大差が無い。世界のgotoにこの(Waverly)程度の製品が作れない事は無いと思う。
カタログには載っていないので、本来はリプレイスメントパーツとしてMartinのルートでMatinユーザーにのみ売られ、一般に販売されないのが原則なのだろう。Martinロゴがなければもっと廉く売れるのかも…