愚行連鎖   ギターメインテナンス§1-d


弦の張替えの実際

ブリッジピンの扱い
ブリッジピンの使い方
最近見た初心者用雑誌の説明で「ブリッジピンの先端にボールエンドを引っかけるように図示」したものがあった。
(図、真ん中の×印)
実際にギターを弾かない絵描きさんが書いて、それをろくにチェックしないで編集が通してしまったのだろうか?
このままでは弦の張力により、ピン先端からボールエンドが外れて、チューニングが一気に狂う危険があるばかりでなく、楽器本体の破損などが起りかねない。
ブリッジピンにも異常な力が掛かり、ピンそのものが変形してしまう。
正しくはの様にきちんと収める。
左端の図には「溝に弦を合わせる」とあるが、溝のないブリッジピンもあるので注意のこと。
(ブリッジ木部側に切れ込みがある場合は、溝のないブリッジピンを使うことが多い)
この時点でブリッジの弦穴に溝があるタイプなら、ボールエンド側の弦の巻き戻し部分(少し太くなっている)が見えるはずである。

私の場合は。弦交換は全て一気に外して普段手が入りにくい指板や表板の掃除も一緒にやってしまうことにしている。
弦穴からボールエンドを差し込んでピンを入れたら、サウンドホールから手を入れて、ボールエンドがきちんと収って、表板裏側のブリッジプレート部分に固定されていることを確認してから弦を張り始める。
ストリングポスト側の扱い
チューナー側の巻き方
図は低音側(4.5.6弦)をギターに向かって右側から見たもの。
これは、俗に言うマーチン巻きと言う方法である。
「マーチン巻き」はマーチンギターが出荷時にこの巻き方をしているからそう呼ばれているようだ。
「巻き返し」と言う言い方もあり、俗語っぽい「マーチン巻き」よりも品がある様な気もするので、できるだけ「巻き返し」と言う表現を使いたいと思う。
  1. ストリングポストに通した弦(先端側)を、一旦巻き取り側と反対に半回転巻き付け
  2. ナット側の弦の下を潜らせ
  3. 穴の部分で上にぎゅっと引く
  4. 下を潜った先端側の弦の上にナット側の弦を載せて締め、後はきちんと並べて下方向に巻き取る
要するに巻き始めの部分で先端を押さえてしまう方法。
巻き付ける回数は楽器や弦のゲージによっても異なるが、余り少なすぎてもゆるみの原因になるし、×印の様にストリングポストから外れてはみ出しては正確なチューニングが出来なくなる。
一般的には、プレーン弦で6〜8回、巻弦で4〜6回くらいが適当であろう。

これは少々面倒だが、弦を張った後のチューニング狂いは劇的に少なくなる。
私は全部の弦をこの方法で巻いているが、かなり面倒なので、狂いやすい1.2.3弦だけをこの巻き方にする、と言うのも効果的である。
巻き上がってポストから余った弦は危険なので適当に切除しておくこと。
弦を切るための道具はごく普通のニッパーを使うが、楽器店で販売する物は高価である。
100円Shopで売っている物でも充分である。

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