素人が出来るメインテナンス範囲
- 第5段階
- ネック(トラスロッド)調整
アジャスタブルネックの場合、ヘッドのカバー内部かサウンドホール内部に調整用のボルトが入っています。このボルトを回す事によりネックに湾曲して仕込まれたトラスロッドがしなってネックの反りを多少は修正することが出来ます。
しかし、トラス調整には経験が必要であり、まず通常は思った通りの調整は難しく、最悪トラスロッドが折れたりする事もあるので専門のリペアマンに任せるのが得策です。
- フレット調整・交換
フレットの調整には専用のフレットヤスリが必要です。これは楽器店に注文すればセットで1万円少々で入手可能ですが、トラス調整と同じように経験が必要なのでリペアマンに預けるのが安全です。
フレット交換は、まず素人の手におえる作業ではありません。
- ピックガード交換(塗り込みタイプ)
これもまた木工塗装にかなり自信がある方以外はリペアに出しましょう。
- チューニングマシンの交換2
異なる形式のチューニングマシンの交換
- 開放型→密閉型はヘッド取付穴の拡大が必要なのでそれなりの技術と道具が必要となる。
- 密閉型→開放型はヘッド取付穴の穴埋めと再穿孔が必要となるため高度な技術が必要となる。更に穴埋め後を修正する塗装技術も要する。
チューニングマシンの交換の意味は、
が考えられます。
- 部品の消耗、不調
- グレードアップによる精度、使用感の向上
- グレードアップによる外観の向上
- タイプ変更による音質の調整
1.は単純に機構にガタが出てチューニングに差し支えが出た場合など。
前述したようにチューニングマシンそのものは基本的に修理は出来ないと考えた方が良いものなので、不調が生じた場合は交換ということになります。
2.3.は楽器本体には不満がないがチューニングマシンが気に入らない場合。
楽器の販売価格は、材質、本体装飾、仕上方法(当然これらは工程数に関わってくる)等で調整されますが、生ギターでは数少ない外注部品であるチューニングマシンのグレードもかなり大きなファクターを占めているようです。チューニングマシンには一般に楽器店で手に入る交換用部品では数百円〜数万円と言う広い価格帯のものがあります。
もちろん楽器メーカーに納められる時の価格は我々が楽器店で交換部品として購入する価格とは当然全く違うはずではありますが…クローム仕上げとゴールド仕上げではかなり見た目の印象が違いますが、チューニングマシン本体のグレードが同じなら実際の使用感は、全く変わりません。
(個人的には金色のペグはメッキが剥がれ易い事が多いので余り好きではありませんが…)
しかし、グレードが異なるチューニングマシンはそのグレード位置やメーカーにもよりますが精度や使用感に差が出るのも事実です。安価なチューニングマシンでは元々の精度が悪くチューニングがなかなか決まらなかったり、軸受け等のガタが多いため、不要振動を起こしたり、逆に弦振動を殺してしま事すらあります。
楽器本体のクオリティを落とさずに販売価格を押さえるためにチューニングマシンのグレードを落とす、と言う事はかなりあるようで楽器そのものは悪くないのにペグは最悪、と言うことは中級楽器ではままあります。
こんな楽器の場合はチューニングマシンの交換で見た目はもちろん、音も見違える程良くなる事があります。
チューニングマシンは結構目立つ部分なので、良いものを装着すれば楽器全体がグレードアップしてみえるという側面もあります。4.は開放型と密閉型はタイプにより、1個あたり数10gもの重量差があるので、当然装着するタイプによって楽器の持つ音質に影響を与えます。
一般的に大型のボディを持つドレッドノートやジャンボ等の楽器には質量の大きな密閉型が取り付けられている場合が多く、コンサートモデルやクラシックギターには開放型が使われます。
ヘッド部分の質量が大きければサスティーンが増し、小さ目であれば高域が伸びるといわれています。
ただし、これは「やってみないとわからない」部分もあり、かなりの博打的要素のある作業です。元に戻すのが難しい場合が多いので事前の覚悟が必要です。
- ブリッジ交換
ブリッジ交換と言うよりもブリッジ浮きや剥がれの修理ということになると思いますが、これもまた、まず素人の手におえる作業ではありません。
固定用の専用万力が数本と正確な位置出しの技術が必要となります。
ブリッジの位置出しは同型のギターであっても微妙に差があります。
これもまた道具と自信がある方以外はリペアに出しましょう。
- 塗装補修
これもまた木工塗装にかなり自信がある方以外はリペアに出しましょう。
楽器の塗装はただ単に美しい仕上が必要なだけではありません。
塗装の方法や塗料の種類、塗膜の厚みなどによってその楽器の持つ音色に影響を与えるからです。