愚行連鎖 Recently My favorite things.


INTERMISSON

ジャズとクラシック…

実は、あまり「音楽のジャンル分け」を意識したことはないんだよね…

物心付いた頃から、夕方、お袋が台所に立つ背後ではラジオがありとあらゆる音楽を流していた。(まだTVなんてものはなかった)
当時の歌謡曲、ムード音楽:今で言うイージーリスニング、外国のポップス、クラシック、スイング・ジャズ…
自分で初めて買ったレコードは確か加山雄三だったけれど、同時にベンチャーズやPPMも耳から入ってきた。
それから現在まで怒濤のように音楽を聴きまくってきた。
自分で金を稼ぐようになってからは、以前にも何度か書いたように“目があったソースは必ず連れて帰る”。俗に言うジャケ買いも含めて。
ただし、レコード屋(死語)ではコーナーやフロアがいささか偏っているかも知れない。

私の年代は、フォークソング世代と言われる最後の塊だと思う。
ギターを持ったオッサンが最近増えたようで、青春時代の音楽として70年代の国産フォークソングやポップスが多少復権の兆しらしい。
どこへ行ってもその年代の話題になら事欠かないようだ。
ところが、周りの友人がみんなそちらを向いていたので、全く聴かなかったわけではないが、実は70年代のフォークソングと言われるものは殆ど知らないのである。

当時(10代の終わり頃)は、今思うに、私はかなりイヤな奴だったのかも知れない。
フォークギターをかき鳴らして、「髪が肩まで伸びたら」とか「青春がどーたら」とか…
全く興味を持てず、小脇にBLUE NOTEやPRESTIGEのJAZZやGramophone辺りのカール・リヒターやイ・ムジチの輸入盤なんかを抱えて歩いていたのだから。
別に気取っていたわけでも何でもない。
そのころ輸入盤は、カットレコード(正式名称は知らない。ジャケットの一部が切り取られたり穴が空いていて、その分かなり安く買えた)等というものがあって小遣いの少ない身には一番の選択肢だったからなのだ。
何より、聴いて気持ちよくて美しくなければ、乏しい小遣いを音楽に割くわけにはいかない。
当時は、自分と大して変わらない年の小僧がギターかき鳴らして歌う歌を金を出してまで聴こうとは思わなかったというのが正直なところである。

誤解を恐れて断っておくが、お好きな方に止めろとは言わないし、私自信、嫌いと断言するわけでも否定するつもりも全くない。
流れているものに耳をふさぐつもりはない、しかし、いまだに「四畳半で貧乏暮らし…」の様な歌詞をギター一本で歌う歌を敢えて自分のプレーヤーのトレイに乗せることは滅多にないことは確かなのだが…

(もちろん、「教養としての情報」で70年代フォークソングと言われる音楽の録音もそれなりに持ってはいる)

本題のジャズとクラシックである。
何故こういうキーワードを持ち出したか、別にカントリーとクラシックでもロックとクラシックでも良かったのだが、“あまり「音楽のジャンル分け」を意識したことはない”と言いつつも、自分の土俵を見渡すと、一般に言われるこの二つの領域が大多数を占めていることに気づいたのだ。
実際にはジャンルから選んでいるのではなく、そのときに気持ちがよい音を選択していたらこうなってしまったというのが正しいのだが…
JAZZ傾斜が強いのは、一杯の珈琲代と一箱の煙草さえあれば日長一日音楽に没頭できる「ジャズ喫茶」なる、今は殆ど滅びてしまった飲食店があったこともその要因だろう。
(クラシック・レコードを聴かせる名曲喫茶ってのもあったが、どうも店内の雰囲気がね…)

こんな事を書くと両方のマニア諸氏からお叱りを頂戴するかも知れないが、聴感上の心地よさではこれらが似ているのかも知れない。
その歴史のサイズは異なるものの、どちらも古い音楽で、そもそも一括りすべきではない程の多様な顔を持つ。
若い音楽はそれなりに情熱や躍動に溢れるが、帰着するところやはりこの二つから何かしらの遺伝子を受け継いでいるのではないか、とそう思う。

本コーナーでも意図していないにかかわらず、ジャズと呼ばれる音楽の紹介が多いが、現代フォーク・ソングやポップスなどの若い音楽を理解するためにはやはり、古く歴史を持った音楽をひもとく必要があるのではないだろうか。

ちなみにクラシックに関しては、アカデミックな研究家や先鋭的なマニアの方が多いので私ごときが何かを申し上げることもないだろう。
(ただ気持ちよく聞き流して、論評できるような聴き方もしていないしね)

…というわけで、次の紹介はこれ。

>Recently My favorite things.

returnGB音楽館目次へ戻る
return トップページへ戻る