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ジャズとクラシック…

Lalo Schifrin

Jacket ラロ・シフリン/マルキ・ド・サド
LALO SCHIFRIN/
The Dissection and reconstruction of music from the past as performed by the inmates of Lalo Schifrin's demanded ensemble as a tribute to the memory of the Marquis de Sade

Recorded at Apr. 1966
  1. オールド・レイセズ:Old Laces
  2. ザ・ウィグ:The Wig
  3. ザ・ブルース・フォー・ヨハン・セバスチャン:The Blues for Johann Sebastian
  4. ルネッサンス:Renaissance
  5. ビニース・ア・ウィーピング・ウィロウ・シェイド:Beneath a weeping willow shade
  6. ヴェルサイユ・プロムナード:Versailles Promenade
  7. トゥルバドゥール:Troubadour
  8. マルキ・ド・サド:Marquis de Sade
  9. アリア:Aria
  10. ボサ・アンティーク:Bossa Antique

ラロ・シフリンはTVや映画音楽のコンポーザーとして有名だが、そのシフリンが60年代の半ばにある意味実験的に作ったと思われるアルバムである。
ヘンリー・パーセル、テレマン、C.P.E.バッハなどからヒントを得ているが、全てシフリンの作になるオリジナル。
アルバム・タイトルは“マルキ・ド・サド”で通るが、原題は“ラロ・シフリンの錯乱したアンサンブルの仲間達がサド侯爵の思い出に寄せて過去に演奏した音楽の解体と再構築”なる、極めてエキセントリックなもの。しかし、実際の内容は何とも優雅でゴージャスで一寸ブルージでスゥインギィな不思議な世界が展開される。
(この原題は当時人気を得ていた演劇“サド侯爵の演出のもとにシャラントン精神病院患者によって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺”にあやかろうという営業目的で付けられたらしい)

恐らく、生粋のジャズマニアやアカデミックなクラシック信奉者には受け入れられなかったろう。
私は(確か…)1967〜8年頃、モダンジャズ一色だったジャズ喫茶で聴いて、その脚でレコード屋に走った。
衝撃的な音だった。
なんなんだ、これは…

一時期クラシックをアレンジしてジャズ風にするのが流行ったが、本作はそれらの流れとは一線を画す。マニア受けはしない(逆に否定される要素が大きいように思う)だろうが、私は、これは稀代の傑作だと思う。

後にCTIでイージー・リスニング・ジャズ(クロスオーバーからフュージョンに進化する)で一世を風靡したクリード・ティラーのプロデュースである。
録音はクリード・ティラーの盟友ルディ;ヴァン・ギルダー。
このころはまだ後期CTIでの様なデフォルメのきつい録音はしていなかった。

セッション・バンド“ラロ・シフリンの錯乱したアンサンブルの仲間達”
実はメンバーも凄いぞ!

Laro Schifrin(P.)
Earnie Royal,Clark Terry,Snooky Young(Tp.)
Urbie Green,J.J.Johnson,Kai Winding(Tb.)
Jerome Richardson(AltFl.Ts.)
Ray Alonge(Frh.)
Gene Bertoncini(g.)
Richard Davis(B.)
Grady Tate(Ds.)
Rose Marie Jun(Vo.on 4,5,9)
and Strings


ジャズとクラッシックの融合…60年代に流行った。
ジャック・ルーシェとかオイゲン・キケロとかコルゲン・コーワ(うそ)とか…
そんな一時期かなり流行ったジャズ風クラシックも紹介しておこう。
どれも、肩肘張らずに聴き流すと気持ちがよいかも知れない。

Jacques Loussier

Jacket ジャック・ルーシェ/プレイ・バッハVol.1

Recorded at Apr. 1960
ジャック・ルーシェ(P.)
ピエール・ミシュロ(B.)
クリスチャン・ギャロ(Ds.)

平均律クラヴィーア曲集第1巻より
  1. 前奏曲 第1番 ハ長調 BWV.846
  2. フーガ 第1番 ハ長調 BWV.846
  3. 前奏曲 第2番 ハ短調 BWV.847
  4. フーガ 第2番 ハ短調 BWV.847
  5. トッカータとフーガ ニ短調 BWV.565
平均律クラヴィーア曲集第1巻より
  1. 前奏曲 第8番 変ホ長調 BWV.853
  2. 前奏曲 第5番 ニ長調 BWV.850
  3. フーガ 第5番 ニ長調 BWV.850
ジャズ風のバッハで一世を風靡、“プレイ・バッハ”ブームとまで言われた。
この手のはしり。やっぱり、最初にやった奴はえらい。


Eugen Cicero

Jacket オイゲン・キケロ/ロココ・ジャズ


Recorded at Mar. 1965
オイゲン・キケロ(P.)
ペーター・ウィッテ(B.)
チャーリー・アントリーニ(Ds.)

  1. ソルフェジオ・ハ短調
  2. スカルラッティのソナタ・ハ長調
  3. クラヴザン曲集から小さな一生
  4. バッハのソフトリー・サンライズ
  5. 幻想曲・ニ短調
  6. 神よ,あわれみたまえ(マタイ受難曲より)

もともとクラシック畑のピアニストだが50年代後半よりジャズへ転向。60年代後半にMPSの作品で有名になる。クラシックのジャズ化を得意とし、バッハ作品で有名なジャック・ルーシェと違い、クラシックなら何でもありだった。

Swingle Singers

Jacket スゥイングル・シンガーズ/ジャズ・バッハ

スィングル・シンガーズといっても今の人は知らないかもしれないが、スキャットでダバダバダと歌うフランスのジャズ・コーラス・グループである。
1970年頃には大変人気があったので、ダバダバ・コーラスのバロック音楽は聴いたことがある方も多いと思う。(私が最初に聴いたのは、確か中学生の頃…ベスト盤を買ったような記憶もある)
1960〜70年頃の人気絶頂時は男女6名編成で、作曲家ミシェル・ルグランの妹クリスティーヌが在籍していたことも知られる。
ソプラノを担当するクリスティーヌ・ルグランは、映画「シェルブールの雨傘」で、カトリーヌ・ドヌーブの吹替えを担当したことでも有名。
リーダのウォード・スイングルは既に引退しれいるそうだが、グループ自体は健在で、英国人をリーダにザ・スイングル・シンガーズとして活動しているとのこと。

Jacket スゥイングル・シンガーズ/ジャズ・テレマン

スゥイングル・シンガーズはまさにBGMとして、“邪魔にならない”のだろう。
いまだに一寸洒落た飲食店やホテルや大企業のロビーなどで聞こえるか聞こえないかのボリュームでかかっていることがある。
はっきり言ってしまえば、どれを聴いてもそれほど変わらない…ともいえなくはないのだが…

朝のドライブ、晴天時に窓を開けてそれほど飛ばさずに車を走らせる、等というシチュエーションにはバッハよりテレマンの方が向いているかも知れない。(全くの個人的趣味である)

Jacket モダン・ジャズ・カルテット/プレース・ヴァンドーム
MJQ / PLACE VENDOME
Recorded at Sep. 1966

John Lewis(P.)
Milt Jackson(Vib.)
Percy Heath(B.)
Conny Kay(Ds.)
Swingle Singers(Chorus)

ディジー・ガレスピー楽団のメンバーだったジョン・ルイス、ミルト・ジャクソン、パーシー・ヒース、ケニー・クラークらによって、1952年に結成されたMJQに関しては、後日改めて書きたいと思う。
(とにかく、何が好きって、MJQが好き…)
MJQのリーダージョン・ルイスもまた、クラシック(バロック)にアプローチした作品を多数発表しており、このアルバムにもバッハなどの作品が収められている。
本作ではスイングル・シンガースはMJQをバックに歌う。相変わらずダバダバ、徹頭徹尾ダバダバ…
継続はまた力なり!


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