GBのアームチェアCinema見ist:Note-1-

社会学者プロフェッサーHARUEと元社会学徒GBの往復書簡

本稿は社会学者HARUE先生が主宰するBBSからの“無断(!)”転載です。
※HARUEセンセ、読んでくれたみたい…ま、“暗黙の了解”ということで…(2004.3.16.)

7月4日に生まれて

7月4日に生まれて--Born on the Forth of July

監  督 オリヴァー・ストーン
音  楽 ジョン・ウィリアムス
主  演 トム・クルーズ
助  演 ブライアン・ラーキン
製 作 年 1989/米
シナリオ オリヴァー・ストーン/ロン・コーヴィック
原  作 ロン・コーヴィック


From:GB

結構重い映画だったような気がします。
アメリカは病んでいた、そして、今も病んでいる…
豊かな国アメリカは東南アジア(ベトナム)のジャングルに何を見てしまったのか…
GI-Jhonny達はM-16ライフルの銃口から星形に飛び散る発射炎の向こうに何を見たのか…
なんか、とっても気になるんですねぇ。
「地獄の黙示録」にしても、「タクシードライバー」みたいなのにしてもね。

デカイ冷蔵庫に大きな牛乳瓶と一杯の食料品、コールマンのキャンプグッズ一式積んだ週末の巨大なステーションワゴン。
素敵なパパとママ。
強く明るく、ノー天気に元気なアメリカって、ホントにその一面に過ぎなかったんだよなってね。
最近のジャパニーズの方がよっぽどノー天気でなーんも考えてないよな。

エイリアン

エイリアン--Alien

監  督 リドリー・スコット
音  楽 ジェリー・ゴールドスミス
主  演 シガニー・ウィーバー
助  演 トム・スケリット
製 作 年 1979/米
シナリオ ダン・オバノン
原  案 ダン・オバノン/ロナルド・シャセット

映画もね、エイリアン、とかスターウォーズとかその辺りの「完全娯楽」物でも、アメリカは変容してる…って思える。
スターウォーズなんか、途中でシナリオ変更してまで、黒人を主演級グループに入れなくてはならなかったし、エイリアンに至っては、出てくる男がほとんど全て腰抜けの“チキン野郎”。
頼れるのは女とアンドロイドだけ…
ううむ…

GI・ジェーン

G.I.ジェーン--G.I.Jane

監  督 リドリー・スコット
音  楽 トレヴァー・ジョーンズ
主  演 デミ・ムーア
助  演 ヴィーゴ・モーテンセン/アン・バンクロフト
製 作 年 1997/米
シナリオ デイヴィッド・エヌ・トゥーイ/ダニエル・アレキサンドラ
原  案 ダニエル・アレキサンドラ


その後、極めつけが「GI・ジェーン」だよね。
ゴースト」であんなに可愛かったあの娘がムキムキマッチョで、その上、スキンヘッド、最強のマリーンでっせ!

スカート翻して「Popeye Help!」って言うような女はもはや使えない。
Brutusに襲われたら逆にボコスコに叩きのめす女が求められたのかな??

でも、ホントは女性の地位なんて独立当時からそんなに変ってないんだぜって、皮肉たっぷりなラスト…
シニカルやねメリケンさんは…

From:HARUE

これは授業ネタでもあるんだけどね、ETもターミネーターIIもそうだけど、けっこうな数のアメリカ映画に核家族じゃなくてシングルマザーがワンサカ出てくるようになったのは、現実のアメリカ社会の反映だなぁって思う。

>でも、ホントは女性の地位なんて独立当時からそんなに変ってないん
>だぜって、皮肉たっぷりなラスト…

これ「GIジェーン」のこと?CMでは彼女の写真は見たけど、このラストまでの展開を知らんのだよ。

エイリアン3

エイリアン3--Alien 3

監  督 デイヴィッド・フィンチャー
音  楽 エリオット・ゴールデンサル
主  演 シガニー・ウィーヴァー
助  演 チャールズ・ダットン
製 作 年 1992/米
シナリオ デイヴィッド・ガイラー/ウォルター・ヒル/ラリー・ファーガソン
原  案 ヴィンセント・ウォード


From:GB

シングルマザーね
エイリアン3だったかな?
ヒロイン、リプリーが宇宙でエイリアン襲撃生き残りの子供拾うのね。
(これまた女の子)
んで、卵ウジャウジャの巣の中から襲い来る…と言うよりも我が子(卵)を守るために「必死に」攻撃してくるエイリアン・クイーンとマッチョ・マザー・リプリーとの壮絶な戦いの話。
まさにシングルマザーの対決なんだわさ。
最初のエイリアンではタダの気持ち悪い怪物だったのが、3辺りでは、彼(彼女)らの生活圏を侵した人間の方が悪いんじゃないかな?
等とも思わせる筋書きでありました。

>これ「GIジェーン」のこと?

うん、私はそう見た。
是非ご観覧の上、ご講評、乞うずら。

シックスセンス

シックス・センス--The Sixth Sense

監  督 エム・ナイト・シャマラン
音  楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
主  演 ブルース・ウィリス/ヘイリー・ジョエル・オズメント
助  演 オリヴィア・ウィリアムズ
製 作 年 1999/米
シナリオ エム・ナイト・シャマラン


そーいや、さ!
「シックスセンス」の主人公の少年も母子家庭だったよな。
個人的にはあーゆーお話好きです。
ラストは…泣けるんだよねぇ。

From:GB

生む性と護る性
プロフェッサー・Harueの専門分野だよね。
男女性差と役割分担がここ数十年変容しつつあるような気がします。
娯楽作品、映像や文学、コミックスでも「強い女」「戦う女」が随分増えたような気がします。
ヒロイン達は「可愛いだけ」じゃ使い物にならなくなっているように見えます。
これは、実際に社会変容なのか、それとも(殆どと言える男性作者の)潜在欲求なのか…
とても気になりますです、ハイ。

実わね…
私ってば、劣等生の社会学徒崩れだったりします。
そんなわけで、プロフェッサー・Harueの研究にはかなり興味あります。
(学生の頃、もっと勉強してれば良かった…)
んで、Webロンブン発表、もっとないの?

From:HARUE

Re: 生む性と護る性

>娯楽作品、映像や文学、コミックスでも「強い女」「戦う女」が随分増えたような気がします

昨日の新番組で、深田恭子ちゃん(字これでよかったっけ?)は殴るわ、蹴るわ、血を流すわ、やってましたね。タイトルはfighting girlっていうものでしたけど。殴るのはどうぞやってちょうだいって思ったけど、ドアを蹴るような、ああいう器物損壊はいやだなって思いながら見てた。これ、男がやるとサラ金の取り立てみたいになるけど、どっちにしてもすごく嫌だな。

>これは、実際に社会変容なのか、それとも(殆どと言える男性作者
>の)潜在欲求なのか…

アメリカ映画の中に出てくる女性イメージの変容は、やっぱり待つだけの女性じゃないのよ、という強い女性側からの主張と要求に対応してるんだとあたしは思うんだけど。押しつけられた女性イメージに反発することと、じゃあ、どんな女性が素敵な女性か、なりたい女性か、小さな女の子にとってモデルとなる女性かって考えると、GI・ジェーンも模索の一つって気がする(ちゃんと映画もろくに観てないくせに、なにを言うんだか)。
殴る力をもち、男の庇護なんか要らないって力強く生きる女たちをどのくらいのたくさんの男性が欲求するんだろうか?その方がよほど興味あるなぁ。

From:HARUE

Re: 実わね…

えへ、社会学徒だった?
自慢じゃないけど、学部時代そんな熱心な学生じゃなかった<わたしも

>んで、Webロンブン発表、もっとないの?

ああ、たった一人でもそんなこと言ってくれる人がいるのはありがたいことじゃ。
もっと書けぇ!ということですね。はい、仕事に精進しなくちゃ。

ゴースト・ニューヨークの幻

ゴースト・ニューヨークの幻

監  督 ジェリー・ザッカー
音  楽 モーリス・ジャール
主  演 パトリック・スウェイジ/デミ・ムーア
助  演 ウーピー・ゴールドバーグ
製 作 年 1990/米
シナリオ ブルース・ジョエル・ルービン


From:GB
Re: タイトルはfighting girl

…あーゆーのはワタシ的には一寸…
で、
デミ・ムーア
であります。

Demi Moore
生年月日 1963年11月11日
俳優のブルース・ウィリスと結婚し、3人の子供を持つ母である。
ウィリスとは結局別れちゃったけどね。

ゴースト・ニューヨークの幻(1990)

G.I ジェーン(1997)

この落差が凄いです。
ゴーストの時はホントに可愛くて、抱きしめたい感じだったけど、GIジェーンは…
この間、彼女とその周辺に何があったのか、ちょいキョーミ津々
ぜひ、一緒にご覧になることをお奨めしますです。ハイ。

>もっと書けぇ!ということですね。はい、仕事に精進しなくちゃ。

解ればよろしい!もっと書けぇ!市井のいちファンより。

From:GB

Re: 生む性と護る性:2

>殴る力をもち、男の庇護なんか要らないって力強く生きる女たちをどのくらいの
>たくさんの男性が欲求するんだろうか?その方がよほど興味あるなぁ。

ううぅ〜ん…
最近のワカモノ(なんて言うから、ヲッサンって言われるんだよな)を見るにつけ、「たくさんの(若き)男性が欲求」してるんじゃないかしらん、と思うことしきり。

こないだも、久々に鞄持ち君見たけど(まだいたんだ!!)、そう言う軟弱男が増えた、何となく、男性ファッションがユニセックスから更に女性的に変わってきた、なんて事も、そう感じさせる要因かも。

だってさ、ワシらの若い頃の男性ファッション誌にはお肌の手入れなんて記事はなかったぞ。

神世の昔から、男どもは美しき女性の関心を引きたくて仕方なかったんだけど、それは直接的に行う事じゃなくって、間接的に「自分の強さ、頼りがいの大きさ」を誇示して「護る性」としてのアピールを行うことによって、実行して来たと思うんですね。
現在は、着飾って、優しく振る舞って、(端的に言うと媚びて)美味しそうな女性を獲得しようと必死になってるんじゃないかと、そんな勝手な見方をしてしまいます。

昔「ピーコック革命」ってムーブメントが起きそうで転けたけど、今まさに期せずして「ピーコック革命」が起ってるんじゃないだろうか、なんて思ったりもします。

でも、動物界じゃ、雄の方が綺麗に着飾ってるって特に不思議な事じゃないんだけどね。

From:HARUE

Re: デミ・ムーア

1963年生まれってことは、ゴーストの頃は撮影時は25〜6歳だったってことかな。それはそれは可愛い女の子でしたね。ウーピー・ゴールドバーグ好きだしぃ、あの映画はお気に入りの映画の一つです。
やっぱりGI・ジェーン観ることにするか。わたしはね、戦闘ものというか、アクションものもはいるけど、好きじゃなくてね。なんかねぇ闘うやつは体が緊張して疲れる。ホラーものも苦手だなぁ(昔、高校生の頃、梅図かずお好きだったけどさ)。でもこの際だから観ることにしよう。GI・ジェーン

From:HARUE

Re: 生む性と護る性:3

>最近のワカモノ(なんて言うから、ヲッサンって言われるんだよな)を見るにつけ、
>「たくさんの(若き)男性が欲求」してるんじゃないかしらん、と思うことしきり。

ふ〜ん、そう思う?<女性化したオニーサンたちの願望が強い女を作ってる>説か。それにしては女性週刊誌はあいもかわらず細い女の子を量産させたいみたいだしなぁ。。。

ところでfighting girlの後、娘と女の子が殴るってことを話してたんだけど、娘の友達も駅のところで彼女のボーイフレンドを殴ったんだって(娘は「あの子が殴るくらいだからよっぽどだったんだよ」とは言ってたけど)
それとね、以前駅の近くで見た光景なんだけど、若いカップルが路上で無言で殴り合うの図。これにはびっくりした。どちらかが大きな声を出すとかいうんじゃなくて、ひたすら黙々と殴り合う。一方的に男に女が暴力で引き回されるのは困るし、そうだったらお巡りさんを呼んじゃうけど、この黙々の格闘には驚かされた。なんだか違う人種を見るような感じでね、感覚的にもうエイリアンだと思った。
このタイトルに戻るとね、やっぱり黄色いハンカチの中の健さんの言葉がわたしには響きますねぇ。一体これって時代限定なんだろうか。

幸福の黄色いハンカチ

幸福の黄色いハンカチ

監  督 山田洋次
音  楽 佐藤勝
主  演 高倉健
助  演 倍賞千恵子/武田鉄矢/桃井かおり
製 作 年 1977
シナリオ 山田洋次/朝間義隆
原  作 ピート・ハミル


From:GB

健さんの台詞??

ううみゅ〜!
あの映画、脇役の印象が強すぎて…
健さんの台詞覚えてないなぁ。
武田鉄矢の「ぼ、ぼ、ぼくだってドーテーです!」とかね。
なんか、悲しくもおかしい。

考えて見りゃ、Virginは尊ばれるのにドーテーって馬鹿にされるの、これってとっても変じゃない?
やっぱり、社会構造のなせる価値観なんだろうなぁ。

From:HARUE

そうよ、健さんの台詞

よし、これで週末は健さんの台詞に注目して「黄色いハンカチ」観てね。(ところで今変換して思ったんだけど、どこでどうなって台詞と書いてセリフって読ませるんだろうね)

>考えて見りゃ、Virginは尊ばれるのにドーテーって馬鹿にされるの、これってとっても変じゃない?
>やっぱり、社会構造のなせる価値観なんだろうなぁ。

そうだよね。最近はセクシュアリティもジェンダーにくっついて随分話題に出るようになった<社会学畑
セクシュアリティはジェンダーに比べると変化しやすいんだろうか、それとも変化しにくいんだろうか。Virginを尊ばなくていいとは言わないけど、だからといってどこにでも走っていっていいとも言えない。

雨あがる

雨あがる

監  督 小泉堯史
音  楽 佐藤勝
主  演 寺尾聰
助  演 宮崎美子
製 作 年 2000
脚  色 黒澤明
原  作 山本周五郎


From:GB

>これで週末は健さんの台詞に注目して…

んをぅ??「黄色いハンカチ」TVで映るだすか?
んじゃ、緊急だども、今晩は「雨あがる」見てつかーさい。
あの夫婦関係って“すんぐぇ〜〜”く、素敵なんだ。
寺尾あきら(字が出ない…)はオヤジ譲りで相変わらず、上手いけど、宮崎美子が負けてないんだわ!
黒澤組の親分への焼香代わりだからね、良くできてる。

Re: 約束通り From:HARUE


雨あがる
みてきたよ
山本周五郎らしいなぁという作品でした。
GB氏がなんであの浪人夫婦がお気に入りかとぉ〜ってもよくわかったけど、きっと女性の監督がやるとああいうふうに作ることはないんだろうなぁと思ったりもしちゃった。「あなたたちは木偶の棒」というあのシーンを浮かび上がらせるために、前半はずっと動きを殺していたように静かだったものね。関係ないんだけど、あの主人公二人の立ち居振る舞いの美しさはよかった。

From:GB

Re: 雨あがる

>山本周五郎らしいなぁという作品でした。

ずばり!の感想であります。
最近、速度感と衝撃的映像なんて映画が多いから、あのゆったりとした流れに乗れない人には苦痛かも知れないけどね。

>とぉ〜ってもよくわかったけど

え゛え゛??何故、何故???????

でも「女性の監督がやると」どんな風になるか、とっても興味あるなぁ。
ものの見方には絶対に“性差”ってあるモンね。
Harueセンセと話して面白いのもキット、これなんだ。

>あの主人公二人の立ち居振る舞いの美しさはよかった。

元来、我が国ではまず、「立ち居振る舞い」(こんなコトバも既に“死語”)に気遣いをすることから始まってたはず。
でも、“気遣い”なんてコトバすら死語に近いな…

やまとはくにのまほろば…そこにすまうひとびとは、うつくしくもけだかきひとびと…だったんだけどなぁ…

From:HARUE

Re: 雨あがる

>>とぉ〜ってもよくわかったけど

>え゛え゛??何故、何故???????

知りたい?

浪人は奥さんを大切にしてるでしょ、奥さんの意向をとても気にしてるでしょ、でもって浪人は好きなことを結果的にはやってるでしょ、それでまた奥さんの思ってるかもしれない願いをちゃんと叶えてあげられない自分を不甲斐なく思ってるでしょ、なのに、奥さんはそういう浪人の本質を理解して応援してるでしょ。
これが答えさ。

From:GB

えいやっとっ!

>これが答えさ。

ううむ…
も一回、良く読んではんすーしよっと!
それは私の現実なのか、それとも願望なのか…




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