GBのアームチェアCinema見ist:ナルニア国物語3

ナルニア国物語

ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島:
The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader

監  督 マイケル・アプテッド
出  演 ベン・バーンズ/ジョージー・ヘンリー/スキャンダー・ケインズ/ウィル・ポールター/アナ・ポップルウェル/ウィリアム・モーズリー/ティルダ・スウィントン
音  楽 デヴィッド・アーノルド/ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ(テーマ曲)
製 作 年 2010・米/英
原  作 C.S.ルイス

まぁ、色々とご意見はあろうが…
一時は制作中止かと思われた、3作目。
ナルニアを心の土地とするものとして、当然のことであるが見に行ってきた。

ナルニア国物語ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女”、“ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛”に続く、C・S・ルイスの7巻にわたる児童文学シリーズ「ナルニア国ものがたり」の実写映画版第三弾。
原作の第3巻目に当たる「朝びらき丸東の海へ」。

前作“カスピアン王子の角笛”公開時、『ナルニア国物語/第3章:朝びらき丸東の海へ(Voyage of the Dawn Treader)も2010年公開予定』とアナウンスされていたが、2008年12月24日、アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーは2010年公開予定だったシリーズ第3作の制作から撤退すると発表した。

ディズニーでは“ライオンと魔女”(2005)“カスピアン王子のつのぶえ”(2008)と続き、その後の“朝びらき丸 東の海へ”、“銀のいす”とを合わせて3部作として制作する予定だったらしい。


ナルニアンたちの落胆は大きかったが…
2009年1月、“朝びらき丸 東の海へ”が、20世紀フォックスの配給により映画化されることが発表された。
制作は前2作から引き続き、ウォルデン・メディアが手掛け、主要キャストも続投と言うことになった。

取り敢えずめでたし。

監督は前作の米国人から英国人のマイケル・アプテッドに代わり、メインの出演者も前作に引き続き出演している。


ナルニア国物語 ペベンシーの次男坊は随分格好良くなったが、2姉妹は相変わらず不細工である。
末娘は以前に比べれば、かなり見られるようになったが、本作ではその不細工さが原作にもある、自身のコンプレックスと向き合うエピソードに真実味を与えてはいた。

第2章の時に…

主人公の子ども達は時間の流れの中、現実世界とナルニアを往復(最期には帰ってこないのだが…)する訳だが、子ども達の発育成長と映画撮影をどう調整するのだろう?

と感想を書いたが…
今回、ギリギリセーフだったかな?


ナルニア国物語 本作で重要な位置を占める新キャラクター、ユースチスは実に良い味を出している。
このユースチスにペベンシー兄妹よりも見た目が幼い俳優を配したのは、更に次作に繋げようとする意図なのだろうか?これはかなり気になる。
製作のウォルデンメディアは“ナルニア”シリーズ全7作全ての映画化権を獲得しているらしいがこの後どうするつもりなのだろうか?
もし、原作が最後まで映画化されるのであれば、“最後の戦い(The Last Battle)”でも、誇り高き小さき騎士に会えることになる。


制作開始前は“ナルニア国物語/第3章:朝びらき丸東の海へ(Voyage of the Dawn Treader)”と原作と同じ邦題が予定されていたが、何を思ったかタイトルは“ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島(The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader)”。
原題は原作に忠実なままなのに、何故この「シリーズ一番人気」でお馴染みの日本語タイトルを変更したのだろう?
監督が公開前のインタビューで『作品のストーリーが原作と大きく異なる』と述べていたが…
確かに本作の流れは原作とは多少異なるが、本筋を変えてしまうような大改編ではない。
この副邦題だけはどうにも納得がいかない。原作通りの邦題の方がなじみ深いし、内容も把握しやすいと思うのだが。

ストーリーの改編にしても、長大な原作を2時間以内の尺に収めるための省略程度のモノにしか思えない。
実際大端折り大会全力疾走駆け抜けの印象は否めない。
しかし映画そのものの出来は悪くない。

ナルニア国物語 エンディング、リーピ・チープの去就シーンで不覚にも涙が出そうになってしまった。
(原作で一番好きなシーンだし)
このシークエンスを見るためだけに劇場に足を運んでも良いと思った位である。

また、エンドロールには原作から引用されたダイアナ・ポーリン・ベインズ筆による挿し絵が施されている。これは絶対に客席の照明が点灯するまで席を立ってはいけない。


今回は3D版を全面に打ち出した作品だが…
はっきり言って、3Dの必要性はいかがなモノか。

監督は所謂「飛び出し系の3D」ではなく落ち着いた「奥行き系の3D映像」を目指したらしいが、折角の美しい映像は、明るい2D、鬱陶しい眼鏡のない広い視野で楽しみたかったと言うのが正直な所。

そもそも、1950年代に書かれた原作の雰囲気は本作やディズニー版の様に、これでもかの予算とSFXを投入した映像、確かにその映像は古くからのナルニアンをも唸らせたが… かつてBBCで作られた低予算アナログな画面の方が味わい深く伝わるのではないかなどとも思ったりする。
原作の雰囲気やポーリン・ベインズの挿絵を見慣れた目には、素朴で地味なBBC版のほうがイメージに近いのである。

Dolby 3D X-Pand 3D


今回は上映時刻の関係で選んだ劇場がDOLBY-3D。(左)
X-Pand方式(右)程眼鏡が重くなく、レンズも明るいのだが…
眼鏡フレームの形状が眼鏡使用者を無視している。途轍もなくかけにくい上、テンプル(ツル)の造りが粗雑で耳が痛くなってしまった。
眼鏡を掛けた身からすると3DはReal-D方式が一番快適である。

Real 3D



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