GBのアームチェアCinema見ist:ローレライ

ローレライ

ローレライ:Lorelie The Witch of The Pacific Ocean

監  督 樋口真嗣
音  楽 佐藤直紀・主題歌:ヘイリー“モーツァルトの子守歌”
主  演 役所広司
助  演 妻夫木聡/柳葉敏郎/香椎由宇/堤真一/石黒賢
製 作 年 2005
原  作 福井晴敏
シナリオ 鈴木智



初日の指定席を確保した。
巷間絶賛・こき下ろし両派渦巻いているようだが、見なきゃ何にも言えんもんね。
実は邦画に何とか頑張って欲しいと思っている映画好きは私だった。
が…こんだけ騒いじゃった手前、責任もって公平にレポートしたいと思う。

公式ホームページの感想欄が、あのクソ・ブラッカマイヤの「ジャップ皆殺し騎兵隊総攻撃あーんど尻軽女二股不倫リメンバーだぞ解ってんのか黄色猿!」的まやかし超大作海戦空戦映画公開当時の宣伝キャンペーンとそっくりの感想で埋め尽くされている…
10代20代の、それも多くが女性で、みんな手放しでカンドーしてたりして…
(あちゃぁ…史実だと思ってる奴がいるよ…ちゃんと説明しろよな!東宝!)

まぁ、公式ページだから仕方ねーな、と思って読んでいたら、意外にも…

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50代 男性
数多くの映画を見てきましたが、正直言って数年前のパールハーバー以来のB級映画です。
時代考証もリアリティさも滅茶苦、単なる大衆娯楽映画で見るのなら我慢の範囲内でしょうけど。
邦画の復活はしばらく無理なようです。

30代 男性
史実を題材にするなら荒唐無稽なストーリーにすべきでない。
米国人の多くは見たら怒るような気がします。

30代 女性
内容に無理があり不可解な部分があった。
キャストが豪華なのにありきたりの展開で残念。
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と言うのがあった。
とりあえず、この辺りのご意見を念頭に置いて鑑賞した。
スタッフの殆どがアニメ畑のようだからなぁ…過剰な期待は禁物。

結論から言えば、史実については思考上から完全に封印してから見ること。
さすれば光は見いだされん。
少なくとも入場料分は楽しめる。
但し、制作者側が「“ローレライ”は仮想戦記物ではなくファンタジー」を必死に強調すると(事実、各種出版物、映画パンフに必ずこの文言がある)単なる逃げにしか見えなくなってしまって、みっともないこと夥しい。

某所の書き込みで…
楽しめる奴→頭の柔らかく、割り切って物事を見据えることができる奴
楽しめない奴→頭が固く、典型的な時代遅れ

楽しめる奴→ただ単に戦闘シーンとかあると無条件で嬉しいやつ
楽しめない奴→わりとふつうの感覚を持っている常識人
とあった。
両者とも言い得て妙。なかなか核心を突いている。

映画の辛いところは、最初に尺ありき。多少の差こそあれ、決められた決して長くない時間枠に収めなければならないと言う制約がある。
小説は(紙数の制約はあるだろうが)逆に、書き込むことによってどんどん世界は膨らむ(場合がある)。
この原作者の場合がまさしくそうで、その文章は圧倒的な情報量を持って読者に状況描写を委ねてくる。

>小説:終戦のローレライについて

本作、映画版“ローレライ”は娯楽作品としては比較的長目(2時間8分)と言う尺ながら、2,800枚に及ぶ原作を追うことは到底不可能で、完全に小説版のダイジェスト、更に辻褄を合わせるために随所に省略・改変を施したと言う風情に仕上がっている。
ストーリーの掘り下げは弱いし、どこもかしこも説明不足以外の何物でもない。
(もっとも、状況を詳しく伝えすぎれば必ず「説明臭い」という批評が出るモノだ)

ただ、「これは史実ではない」と言うことを常に念頭に置いてみるならば、決してつまらない映像作品ではない。
事実、私は楽しめたのだから…
これははっきり言って“アニメ風味の実写映画”なのだから、細かいところにつっこみを入れるのは野暮というものだろう。
一部を除いてベテラン俳優陣の演技は流石と言わざるを得ないのだし。
肝心の特撮=CGシーンは思っていたよりもかなり出来がよろしくなかったが…

私からは
劇場へどうぞ⇒単純に役者の演技でそこそこの感動を得られる方。
見ない方が良いよ⇒ディティールに拘りたい、考証はきちんとと思う方。
と言っておこう。

海軍五省
一、至誠に悖るなかりしか
一、言行に恥づるなかりしか
一、気力に缺くるなかりしか
一、努力に憾みなかりしか
一、不精に亘るなかりしか

少なくともこれよりはずっと良かった。
個人的には“少女”役の女優さんがあまりに健康的過ぎるところが気になった。
顔つきはなかなか役柄にあっているのだが…
体つきが立派すぎて、感情移入が非常に難しい。

もう一つ。
比較的いつも入りの良いシネコンで初日土曜日の午後に見たのにも関わらず、空き席の目立ち方がかなり哀しい情景だった。
どう贔屓目に見ても8割は入っていない。
切符売り場にはかなり行列があったのだが…他の映画の列だったようだ。

ちなみに映画評論家のおすぎ氏のオススメ度は★★★☆☆☆☆☆☆☆
だそうである。
某サイトにあった彼(?)の評論文をそのままパクって来た、
フジテレビと東宝が総力を使って、作った映画です。

1945年の8月、終戦間近で、ひとりの将校が潜水艦をドイツから持ってきたから、船長になれと言われる。これが役所こうじさん。なぜか誰も知らないの。
唯一知っているのは、ドイツから潜水艦を持ってきた石黒賢だけ。

そして船員を乗せて、出発するんだけど、その船の中には、ローレライと呼ばれる、敵のすべてを映像として見せることが出来るシステムなの。
だから、敵がどういった戦力なのかわかるから、すべてよけることができるの。
でも、このローレライというシステムがわからないの。
船に女の子がのってるんだけど、医学的に研究された超能力者なの
だから、さらにわからなくなる。その少女がローレライのシステムなの。

そして、石黒賢たちは、このシステムをアメリカに売って、東京を第3の原爆地にして降伏することを防ごうとしている。
結局、役所こうじが嫌だといって、原爆を打つ島に行って、防ごうとするって話なの。

とにかくローレライシステムが全然わからない。
宇宙戦艦ヤマトみたいな感じなの。つっこみどころ満載の映画です。
アメリカ軍の映像は演出がアメリカで作られて、そのところはすごくよく出来てる。
私的にはもうちょっとがんばればできたと思うんだけど。
…をぃをぃ。
酷いもんだ。つっこみどころ満載はあんただよ。
これでギャラ貰えるんだね。
良い商売だな…
何が言いたいのかよく解らない程文章が酷い、評論以前に映画の背景を理解しようとしていない(敵意でもあるのか?)、その上、公開前に書かれたモノにも関わらず酷いネタばらし(どっかに頼まれたのか?)までしている。
(ネタばらしについては同色テキストで隠蔽してあるので、読みたい方はそれと思しきところをドラッグのこと)
そもそも、このシステムをアメリカに売って、東京を第3の原爆地にして降伏することを防ごうとしている…って、あんた、映画ちゃんと見てねーだろ。意味解って書いてる?寝てたんじゃねーの?
「宇宙戦艦ヤマト」は当たらずとも遠からずだけど。

某所で話題になった「艦長の服装」について…

白詰め襟:第二種軍装艦長 艦長の軍帽と白いカバー(戦闘時は略帽、昭和19年から略帽が正式化)はおかしい。
ドイツ海軍の場合艦長の印として軍帽に白キャップ。
日本海軍の場合は
第一種軍装→紺色の軍帽
第二種軍装→白色の軍帽
それで昭和19年にそれまで規定されていなかった略装が第三種軍装として規定されて戦闘時、作業時、以外に着用する第一種、第二種にも略帽が正式化したのです。
ですから昭和20年の想定であれば普段でも軍帽は無いというのに、略装に軍帽は知ってる者から見れば珍妙ということになります。

と言うご意見があった。
小説中では、艦長の被っている物は「略帽」とはっきり明記されている。
正直なところ、映画屋サンのイーカゲンさで「船長さんの帽子はこーでないと!」みたいな発想かも知れない。
と思ったのだが…

第三種軍装艦長 しかし、映画ストーリーの流れから言うと、着用していた第二種軍装のまま艦長拝命、着替える間もなく乗艦した、と言う時間の流れの表現だったかも知れない。
(コートはドイツ軍風デザイン。艦内に置き去りにされていた?)
緊急出港直後の演習の後は第三種軍装(に見える)服装と略帽に着替えている。
その後、ある事件、艦長が一つの決断をしたとき以降、再び白キャップの軍帽を被ってラストを迎える。
先任(副長)もこの決断以降きちんとネクタイを締めていた。
何となく辻褄は合っているような気がしないでもない。

結論。
同じ“B級”とするご意見があったが、少なくとも、これよりは数倍良い。
あたしゃぁ誇り高き日本人だからね。


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