GBのアームチェアCinema見ist:ハリー・ポッター

ハリー・ポッターと賢者の石:Harry Potter and the Philosopher's Stone

ハリー・ポッター 監  督 クリス・コロンバス
音  楽 ジョン・ウィリアムス
主  演 ダニエル・ラドクリフ
助  演 ルパート・グリント/エマ・ワトソン
製 作 年 2001/米
シナリオ スティーヴ・クローヴス
原  作 J.K.ローリング


何十年もずっと自分の中で熟成してきた物語世界を、自分の中に築き上げた「文学としての“仮想世界”」を他人に再構築されたくないと言う意識を強く持って、映像作品としては高い評価に値するが一抹の違和感…を持ったロード・オブ・ザ・リング
実際、長く親しまれた文章世界の映像化は大多数の読者に失望とまでは言わない物の、少なからずの違和感を与える物である。
この作品“ハリー・ポッター・シリーズ”が幸運だったのは、特に和訳出版と映像公開の間隔が短かったことにあるだろう。
私事を言えば、映像公開が決まった時点でそそくさと手に取り、つまり文章世界に入ったときには既に、ハリー=ダニエル・ラドクリフのイメージが固定されていたのである。
これは作品にとって極めてラッキーなことだったと思う。

本作の原作は最初の一冊「ハリー・ポッター/賢者の石」
原作の印象では、「あらら、これから始まるのか…」と言う感じである。
実際に原作は7巻完結で日本語訳は現在4巻(だったかな?)出版されており、2003年に出版されるものが最終巻と言われていたが未翻訳のそれは本当に最終巻なのだろうか?

このジャンルには「世界三大ファンタジー」(指輪物語、ナルニア国物語、ゲド戦記)と言われる作品があるが、最初の4冊を読んだ感じでは、このまま世界観が膨らんでゆけば4つ目に名を連ねるファンタジーになれるかも知れないと言う雰囲気はあるかも知れない。

映画では、三大ファンタジーの内、最高位にランクされる「指輪」は数十年前にモーションピクチャー・アニメーション/実写/CGの合成で映画化されたが、原作があまりに読者にとって大きな物になってしまっていたので、映画はほとんど評価されずに消えていった。(実際、その内容はかなりがっかりしたモノであった。本作公開当時は実写版「指輪」はまだ予告編しか上陸していなかった。)
今回、ハリー・ポッターの映画版は、私自身がそれほど物語り世界に深くのめり込んでいなかったので、充分に楽しめまたのである。
SFXが少々浮いていたような気がしないでもないが、久々映画らしい映画を見たという印象はある。
コマ割り、カメラワーク、そして音楽。
重厚でこれぞ劇伴!と言う音楽。それもその筈、エンドクレジットで納得。
かのジョン・ウィリアムスだった。
それから、英語が大の苦手な私だが、俳優達の台詞がおおむね分かるのが感動的である。
もちろん原作を読んでおり、台詞やシナリオが分かっていたというのもあるが、一部の特殊な役柄を除いて、言葉そのものが非常に綺麗なクイーンズ・イングリッシュだからである。
脇を固める大人達のほとんど全てに有名なシェークスピア・アクターを配しているのも美しい言葉の要因だろう。


原題のPhilosophers Stone(賢者の石)だが、原著のイギリス版ではPhilosopher、北米版では(映画も)Sorceresになっている。
イギリス英語ではPhilosopherが魔法使いの意味を持つが、北米では哲学者ととられてしまう(日本人もそうかな?辞書にも「哲学者」しか載っていないことが多い)ので、改題されてSorcereなのだそうな。



ハリー・ポッター 原作は現在下記の通り出版されている。
ハリー・ポッターと賢者の石/Harry Potter and the Sorcerers Stone
ハリー・ポッターと秘密の部屋/Harry Potter and the Chamber of Secrets
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人/Harry Potter and the Prisoner of Azkaban
ハリー・ポッターと炎のゴブレット /Harry Potter and the Goblet of Fire
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(国内未刊)/Harry Potter and the Order of the Phoenix
写真は第一作公開後に発売された解説ビデオであるが、その他書籍などでも短期間でこれほど多くの解説本が出版された作品も少ないであろう。
確かに面白い作品ではあるが、ここで儲けないと他がない…印象すら受け、出版の冬を感じざるを得ない。

ハリー・ポッターと秘密の部屋:Harry Potter and the Chamber of Secrets

ハリー・ポッター 監  督 クリス・コロンバス
音  楽 ジョン・ウィリアムス
主  演 ダニエル・ラドクリフ
助  演 ルパート・グリント/エマ・ワトソン
製 作 年 2002/米
シナリオ スティーヴ・クローヴス
原  作 J.K.ローリング


ダンブルドア校長先生(Professor Albus Dumbledore)役のリチャード・ハリス(Richard Harris)の遺作となってしまった。
聡明な表情を持ったダニエル、狂言回し適役のルバート、ますます可愛いエマの三人組であるが、一番変化の大きいこの年頃、次回作も近日公開されるようだが、さて、原作を追ってその次にもこのトリオで果たして製作は可能なのだろうか…


ハリー・ポッターとアズカバンの囚人:Harry Potter and the Prisoner of Azkaban

ハリー・ポッター 監  督 アルフォンソ・キュアロン
音  楽 ジョン・ウィリアムス
主  演 ダニエル・ラドクリフ
助  演 ルパート・グリント/エマ・ワトソン
製 作 年 2004/米
シナリオ スティーヴ・クローヴス
原  作 J.K.ローリング


初日に鑑賞。
三男坊が一緒だったので日本語吹き替え版。これはこれでわかりやすくて良いのかも…
さて、内容であるが…
2時間越えの長尺を意識させない速度感は、ある。しかし…

今回監督が代わったそうだが、確かに映像の印象が全作までと何となく違うような気もする。
これだけの大人気シリーズ、後を引き継いだ者は、前作までのプレッシャーはあるだろうが、逆に、もう見る側に完全に“お約束”が確立しているので、ある意味ものすごく楽なのではないだろうか?
もちろん、私も原作をすべて読んでいるし、近日発売される原作本次回作日本語訳も既に予約済みである。
そんな模範的ファンとも言える私ではあるが、本作を映像作品としては「決して悪い評価」はしないが、作り手側に観客の予備知識“お約束”に依存しすぎ、寄りかかりきった姿勢が見えなくもない、と感じてしまう。
確かに原作をほぼ忠実になぞった進行で、映像も美しい、一応ストーリーの破綻もないのだが、だが、だが…
恐らく多くの観客は映像の速度感で一気に終盤まで見てしまって、「あーおもしろかった」と言うことになるのだと思う。
しかし、冷静にストーリーを追うと、あまりに説明不足、そんなことは知っていて当然だから描かないという姿勢が見え隠れする。
本気で見たら、原作未読の観客には意味も真相も分からない部分がかなりあるのではないだろうか。
映像はともかくとして、脚本の甘さは否めない。

まぁ、本シリーズについては、もう一つの懸念、白色人種少女特有の“成長による加速度的不細工化”、これが今回のハーマイオニー・グレンジャー役のエマ・ワトソンでは、何とか回避されていたので由とするか。
前作のインタビューで、主役のハリー役ダニエル・ラドクリフ君が「ハリポタはもうイヤ」とも取れるるような発言をしていたので、これでオシマイかと思っていたら、次回もまだこのメンバーで続くのだそうだ。
エマ・ワトソンのアングロサクソン・オバサン化が進まないことを祈るしかない。


ハリー・ポッターと炎のゴブレット:Harry Potter and the The Goblet of Fire

ハリー・ポッター 監  督 マイク・ニューウェル
音  楽 パトリック・ドイル(あら、ジョン・ウィリアムス降りちゃったのね)
主  演 ダニエル・ラドクリフ
助  演 ルパート・グリント/エマ・ワトソン/ケイティ・ルング
製 作 年 2005/米
シナリオ スティーヴ・クローヴス
原  作 J.K.ローリング


全米公開に少し遅れての日本公開開始。
チビにリクエストされていたので、日本語吹き替え版の指定を買ってきた。
最近は映画館も全席指定入れ替え制の箱が多くなったので、上手くすれば直前まで好みの席の確保が可能。
前日ならまず間違いなく中央一寸後ろよりの席が購入可能なのは嬉しい。

吹き替え版は昼間のみかと思っていたが、ちゃんと最終回一回前にプログラムされている。
チビと一緒だと常に吹き替え版になるが、実は、これ、馬鹿にしたモノではない。
やはり、字幕よりもずっと物語にすっきりと入り込めるのは日本語ならではなのだ。
仕事が終わってから、駅で待ち合わせして、飯でも喰ってからゆっくりと劇場に向かえると言うモノだ。

フレンチ美女軍団の「うっふぅ〜ん(はぁと)」にやられてしまった。

しかし、中で一番可愛くない娘が代表選手。
それから、ハリーの恋心…
伴天連の美的感覚は良くワカラン。
東洋系の本気のカワイ子ちゃんなんぞ、いくらでもいそうなモンだが…

…って、この映画、こっち方面のネタ元程度の出来かも。
文章と映像作品は自ずと異なるモノなのではあるが…
ハリポタ位本が売れちゃうと、本論から外れるわけにはいかないのだろう。

これはまさに「スターウォーズにおけるクローンの逆襲状態」と表現したくなる。
つまり、ストーリー的には起承転結の“転”で終わってしまうのでどうにも論評にも困るのである。
更に…
一作目から言われていたが…
「長大なストーリーを映画尺に合わせるために、お約束は省略」で、“ハリポタ素人”にはかなり厳しい。つまりマニアのための作劇となってしまっているのだ。
結論として、前作を観たのなら、見に行って損はない、と言うか、これを見ておかないと次のステップに進めない。




ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団:Harry Potter and the Order of the Phoenix

ハリー・ポッター 監  督 デビッド・イェーツ(あのイェーツの末裔かしら?)
音  楽 ニコラス・フーパー(あら、ジョン・ウィリアムス完全に降りちゃったのね)
主  演 ダニエル・ラドクリフ
助  演 ルパート・グリント/エマ・ワトソン
製 作 年 2007/米
シナリオ マイケル・ゴールデンバーグ
原  作 J.K.ローリング


人気シリーズの第5作となる映画「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」が、20日から公開される。
その先行上映が昨日と今日(2007.7.16.)。
今日午後の指定席が手に入った。

第1作から主人公を演じてきたダニエル・ラドクリフも御歳17歳。
ガイジンは大人になるのが早いからなぁ…
エマ・ワトソンはそろそろ期待をしないようにして観ないと…
3作目から1作ごとに監督が替わる「ハリポタ」、さて、どうなることやら…


出版元は、最初、日本語題を『ハリー・ポッターと不死鳥の勲章』と発表していたが、後に『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』と改めた。改訳の原因となったorderについては、第5巻本文中でハーマイオニーがsecret society(秘密結社)の意味であると説明している。(Wikipediaより)


確かに騎士団だとKnightsとか、Chivalrysなんてイメージなのだが…
Orderには命令とか注文の他、順序、秩序、治安、聖職、勲位、勲章、更には(軍隊の).隊形等という意味もあるらしい。
また、The Franciscan order(フランシスコ修道会)の様に教団、修道会、結社等の意味にも使われる。

7月21日ハリポタ完結 【ロンドン=森千春】世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの出版元である英ブルームズベリー社は1日、同シリーズ完結編・第7作「ハリー・ポッターとデスリー・ハローズ(『死の聖人』の意)」が、7月21日に発売されると発表した。
著者のJ.K.ローリングさんは昨年、完結編で主要登場人物のうち2人が死亡すると予告しており、主人公のハリーの運命にファンの関心が集まっている。
(2007年2月2日 読売新聞)


まぁ…前回辺りからポスターも暗いけど…果てしなくダークになって終わるのね…
本編は、相変わらず「初心者お断り」の映画である。
前作以前からきちんと観ていないと、あるいは原作を読んでいないと何だか分からないだろう。
まぁ、シリーズモノだから、それで良いのかも知れないが…

そして、当然ながらラストはTo Be Continued.
ここまで来たら最後までつきあうしかないのかも。

監督が代わっても速度感はそのまま、飽きることはない。
特に今回は戦闘シーンが多いので忙しい。
逆にクィデッチ試合の様な爽快なスピード感ではないので、やはり全体的に大変暗い印象は否めない。

この展開だと、もうクィデッチの試合なんかやってる場合ではなくなっている。
ラストまでもうあのゲームは観られないかも知れない。
その代わり、と言っちゃナンだが、今回は飛行シーンが結構あった。

しかし、お話しに触れると、どこをつついてもネタバレになってしまうストーリーなんだよなぁ…

ハリーはかっちょぇぇお兄さんになってしまった。
ハーマイオニーは…まぁ、まだ許せる可愛い少女ギリギリかな。
ロンは…変わんないねぇ。

ロングボトム君がやたらと大人になっちゃって何だかイメージがね…マヌケのおどおどネビルじゃないな、もう。



ハリー・ポッターと謎のプリンス:Harry Potter and the Half-Blood Prince

ハリー・ポッター 監  督 デビッド・イェーツ
音  楽 ニコラス・フーパー(テーマ曲:ジョン・ウィリアムズ)
主  演 ダニエル・ラドクリフ
助  演 ルパート・グリント/エマ・ワトソン/マイケル・ガンボン/アラン・リックマン
製 作 年 2009/米
シナリオ スティーヴ・クローヴス
原  作 J.K.ローリング


結末を象徴するかのように、暗いタイトルバックにあのジョン・ウィリアムスのテーマが重く暗いアレンジで流れる…

原作小説第1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』がロンドンのブルームズベリー出版社から1997年に刊行され、世界的ベストセラーとなり、日本語版単行本(1999年発売)も、倒産寸前だった零細出版社を立て直した。
2001年に最初のエピソードが映画化されるとこちらもヒット。
それから足かけ12年、物語の結末へと向かう序章とも言える映画である。

原作最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』の原書は2007年7月21日に出版され、日本語版も2008年7月23日に発売されている。

そして、次作 ハリー・ポッターと死の秘宝は、2010年11月と2011年10月に二部作公開予定。

スクリーンには結末を象徴するかのように、暗いタイトルバックにあのジョン・ウィリアムスのテーマが暗いアレンジで流れる…

本作は長い長い8部作の終盤、新たな展開へ導くインターミッションと言うか、最終決戦への序章(つなぎ)…と言われても仕方がないかも知れない。

最後のエピソードに向かう極めて重大な展開を持ったストーリーなのだが…
今までの全作を通して言えることだが、やはり「初心者お断り」。
全てのお話の流れや登場人物を把握しているという前提の作りである。
大ベストセラーであり「ポッタリアン」なる言葉すらある作品なので、当然…
と言う姿勢だろうか?
少なくとも原作や今までの作品に目を通して置いた方が映画は楽しめる。
賢者の石から謎や伏線は多数張られており、それが一気に最終章で帰結するのだから。

長い映画ではあるが、それでもやはり、原作のハイライト部分を省略しつなげた感は否めない、しかし前作の大ダイジェスト大会に比べれば完成度は比較にならない。

が…多くのエピソードをバッサリ削っているので、次回作でどうするのか気になるところでもある。

これは、あらゆる意味で位置的には長大な物語の後半部分から最終章へ向けては必要不可欠な作品ではある。
まさに「クライマックスは、ここから始まる!」とのキャッチコピーが示すとおりの作品だろう。

前作までは原作が完結しておらず、映画制作側にこれからの方向性が見えていなかったのではないだろうか?
本作では、完結した原作が存在し、クライマックスへ向けての道筋が明確になったと言う事情か、映画そのものの完成度は決して低くないと思う。
逆に作る側には相当プレッシャーはあったろうと想像は出来る。

思えば賢者の石から8年、完結編まで後一歩。長い長い長い長い…前フリであった。

ほんわかした学園恋愛ドラマと美しい風景、爽快感溢れるクウィディッチの飛行シーン、そして、筋書きを知っていてもショックを押さえられない結末…

しかしながら、最初の作品のキャスティング時に結末を誰も知らなかった故か…
明らかにミスキャストしてしまったであろうキャラクターがいるな…

配役ではアラン・リックマンの存在が大きい。まぁある意味主役とも言えるのだが…

マギー・スミスは大好きである。天使にラブソングを…にも修道院長の役で出ていたが、こういう役はもう、彼女しか考えられない。最終章では大活躍しないとならないのだが…
かなりお年を召してしまった。大丈夫なんだろうか?

マイケル・ガンボンも素敵だな。
大魔法を駆使しての戦闘シーンは鬼気迫るモノがある。
リチャード・ハリスが急逝して入れ替わった当時は何とも違和感があったが、お茶目な感じはガンボンの方が…

2006年5月17日に発売された日本語版に出版元は、予約開始時には「ハリー・ポッターと混血のプリンス」という原題直訳の仮称をつけていた。
物語の流れからすれば「血」というキーワードはかなり大きいのだが。





ハリー・ポッターと死の秘宝 1:Harry Potter and the Deathly Hallows 1

ハリー・ポッター 監  督 デビッド・イェーツ
音  楽 ニコラス・フーパー(テーマ曲:ジョン・ウィリアムズ)
主  演 ダニエル・ラドクリフ
助  演 ルパート・グリント/エマ・ワトソン
製 作 年 2010/米
シナリオ スティーヴ・クローヴス
原  作 J.K.ローリング


「史上最強のファンタジー」…確かに。「史上最高」とは言いたくはないが…
一応ポッタリアンの端くれであるので、取り敢えず、観ないわけにはいかないだろう…

しかしながら、観たからといって、「それが楽しいかどうか」は別問題である。
この最終章前編:PART1は全体に暗く陰鬱で苦渋に満ちた内容で、単純に楽しめる作品ではないから。
第1作賢者の石の頃の、子供向けファンタジー映画風の味付けは完全に消え失せている。

これまでのハリー・ポッターシリーズの作品では映画化に当たり原作の一部がカットされる事が多かったが、本作は原作の全てを映像化するため、前編と後編の2部作に分かれることが決定した。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』が2010年11月19日、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』が2011年7月15日に日米同時公開されることが決定している。また、シリーズ初の全編3D上映である(当初は2D撮影であったが、後に3D化が決定した)が、後にパート1は高品質での3D化作業が公開日までに間に合わず、クオリティの維持を理由に3D版の上映中止が決定し、2D版のみでの上映となった。パート2は今までの予定通り、2D、3D、IMAX3Dでの上映が予定されている。

公開 2010年11月19日(PART1)、2011年7月15日(PART2)

前作 ハリー・ポッターと謎のプリンス
(Wikipediaより)

思えば可愛い子供達だったハリーとその仲間2001年の1作目から既に10年。
とうとう原作の7巻目、いよいよフィナーレを迎える。
その最終章は2部構成で展開。

シリーズ途中で主役級の俳優交代の噂もあった本作だが、結局主役交代はなく、3人で迎えた最終作、いよいよクライマックス。
前々前作「炎のゴブレット」辺りから、原作の流れに沿って映画もどんどん暗く重い雰囲気が加速する。
少なくとも最終章導入の本作では、カタルシスは…決して味わえない。

そして、本編は、相変わらず「初心者お断り」の映画である。
前作以前からきちんと観ていないと、あるいは原作を読んでいないと何だか分からないだろう。登場人物の把握すら難しいかも知れない。

長大な物語も終着点が見え始め、ストーリーもかなり複雑化し、前作までの記憶も薄れており、ポッタリアンといえども最初からすんなりと物語に入り込めないかも知れない。
特に本作はアクションや特撮などの派手な仕掛けよりも、主人公達の心理劇の様相を呈しているので尚更だ。
ホグワーツやダンブルドアの庇護から放り出された三人の孤独な戦いでもあるし。

前後編に分けたにも関わらず長い長い作品である。
が、原作にほぼ忠実に詰め込めるだけ詰め込んだ感もあり、展開は速い。
飽きることは流石にないが、まさに「初心者」には辛い映画かも知れない。
完結の後編を観ないことには最終評価は下せないが、ただ前後編に分割したことによって映画としては完成度は高まったのではないかと思う。

2004/米アズカバンの囚人辺りから懸念していた「白色人種少女特有の“成長による加速度的不細工化”」、ハーマイオニー・グレンジャーに関しては杞憂であった。
そのままの愛らしさで素晴らしい美人に成長している。
物語冒頭の Obliviate !(忘れよ!)の呪文が、哀しくて切ない…

ハリー君は少々オッサン臭くなったが、取り敢えず、物語の主人公としては成長に追い越されずに済んだかな。
ロン・ウィズリーは相変わらずで良い味である。

前作の感想でも一寸触れたが、「不死鳥の騎士団」までは原作が完結しておらず、第1作にキャスティングされた当時、原作にキャラクター設定がほとんど無かったジニーちゃん。物語が進むにつれて、ヤバ…こりゃミスキャスト?と思ったろうな、製作者。成長してそこそこ綺麗になって良かったね。

日本におけるキャッチコピー
ついに、完結へ。(PART1)

完結編に期待。

それはそうとあのお馴染みジョン・ウィリアムズのテーマ曲が流れなかったのは私の聞き漏らしだろうか?
また、パート1は高品質での3D化作業が公開日までに間に合わず、クオリティの維持を理由に3D版の上映中止が決定し、2D版のみでの上映となった。とのことだが…
特に立体映像にする必要性は余り感じない。



ハリー・ポッターと死の秘宝 2:Harry Potter and the Deathly Hallows 2

ハリー・ポッター 監  督 デビッド・イェーツ
音  楽 アレクサンドル・デプラ(テーマ曲:ジョン・ウィリアムズ)
主  演 ダニエル・ラドクリフ
助  演 ルパート・グリント/エマ・ワトソンン/レイフ・ファインズ/ヘレナ・ボナム=カーター/アラン・リックマン/マギー・スミス/ボニー・ライト/マシュー・ルイス/イヴァナ・リンチ/ロビー・コルトレーン/トム・フェルトン/マイケル・ガンボン/ゲイリー・オールドマン
製 作 年 2011/米
シナリオ スティーヴ・クローヴス
原  作 J.K.ローリング


日本におけるキャッチコピー
ついに、完結へ。(PART1)
これが、最後。(PART2)

そして、あれから足かけ11年。
可愛かった三人組もすっかり大人になってしまった…

しかし、「ポッタリアン」としてはこれは「観なければならない」「観ずにはいられない」作品である。

仕事が終わってから、初日レイトショーに出かけた。
本作は3D/2D両方の上映があるが、迷わず2D字幕版。
そもそもこのシリーズ、回を追う毎にストーリーが暗くなり、元々陰鬱な雰囲気さえある魔法学校内など暗いシーンが多い。
要するにサングラスである偏光眼鏡を掛けて観るのは些か辛い。

結論として…本作は3Dで観る必要は全くない。

戦闘開始とほぼ同時に椅子に奇妙な振動が伝わった。
ありゃ?3D上映でもないし、ましてやそれ以外のギミックがあるとは聞いてなかったよな…
と思うまもなく、ゆさゆさとかなり大きな横揺れ…

しかし、映画は何事もなく上映を継続。
初日に詰めかけた観客は、多少ざわついたモノの、騒ぐことなく、一人も脱出者を出すこともなく最後まで映写を完了した。
流石はポッタリアン、肝が据わっている。
(逆に上映中止したら騒ぎになっただろうな、多分)

ちなみに震度4を越えていたそうな。

それはともかく、相変わらず「初心者お断り」作品である。
前作をざっとでも観ていない方には何がなんだかであろう。
脚本は原作にかなり忠実に描かれていると思うが、そこは映画故、尺の呪縛からは逃れられない。
原作マニアには少々物足りないかも知れない。

ハリー・ポッター 個人的には大ファンである、マクゴナガル先生、マギー・スミス。
もっと大立ち回り大活躍して欲しかったな。
まぁ、相当なご高齢である。元気なウチに完結出来て良かった。

色々と言いたいことはある、しかし、本シリーズは良くやったと思う。
個人的にはかなり感動した。

とうとう…終わって…しまった…

ひとまず、本作に関わった人たちにスタンディングオベーションを贈ろう!


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