GBのアームチェアCinema見ist:攻殻機動隊:Ghost in The Shell

攻殻機動隊

攻殻機動隊:Ghost in The Shell

監  督 押井守
音  楽 川井憲次
主  演 田中敦子
助  演 大塚明夫
製 作 年 1995
シナリオ 伊藤和典
原  作 士郎正宗


原作は士郎正宗によるコミックス。
原作を読んだとき、その緻密な画風と魅力的な登場人物達、異常なまでの情報量の多さに驚愕し、のめり込んでしまった。
作品世界は、P.K.ディックに始まり、ブレードランナーで映像的に確立されたと言っても良い、SF世界では類型的とも言える雑然とした近未来。
しかしながら、医学の発達により、人間のパーツは全て交換可能となり、さて、果たして存在とは何であるか、と言う命題…
類似テーマではコミックスに“銃夢”と言う作品があるが、ことこの分野ではジャパニーズ・コミックスは多の追従を許さない独走態勢にあるようだ。
狂気すら覚える原作を料理したのはこのジャンルでは第一人者とも言える押井守。
映像作品としてもかなりのグレードを持っているが、国内よりも海外で高い評価を受けたようである。
事実、封切館での印象は「満員」という雰囲気にはほど遠い物であった。
(要するにオタク臭いアンちゃんばっかりだったのね…)
テーマがテーマだけに一般ウケするには少々難があったのかも知れない。
しかしながら、ヒット作“マトリックス”はこの作品に影響を受けて出来たという話は有名である。
マトリックスねぇ…アクション映画としては悪くはないが…
有名二枚目俳優の観客誘致力、恐るべし…

イノセンス 2004年には本作では助演だったサイボーグ刑事バトーを主人公とした作品が、なんとあのジブリ作品として公開されるらしい。
この作品世界は、ジブリのアイデンティティとはかなり異なるのだが、果たしてどうなのであろうか?
ファンとしてはかなり楽しみな作品ではあるが、主人公がゴツイオッサンと言うだけで、更に一般受けは難しいような気もする…

Ghost in The Shell 本作は、最近廉価版のDVDが発売されたので、最近の近未来SFの雛形になった作品に興味のある方はご覧になることをお奨めする。
アニメーション(一般的には若干侮蔑の意味をも含めて“アニメ”と呼ばれることもある)はマイナスイメージとしてのヲタクの専売とお思いだろうか?
知的なプラスイメージのある昔の文学青年や映画青年も現代の概念で言えば、ヲタクとしか言いようがないのである。
かつては表現の場は文章や実写フィルムにしかなかった。しかし今はコミックスやアニメーション、コンピュータグラフィックス(ゲームなども含む)と多岐にわたる。
表現の方法が変わったと言うだけで、何故彼らは一般的大人から一段低いものとして見られないとならないのだろうか?
映画斜陽と言われて久しいが、ことアニメーションやゲームの世界では我が国の作品は世界を牽引するパワーを持っているのである。

Coming Soon/Apple Seed

アップルシード さて、士郎正宗といえば、もうじきその実質的処女作とも言える作品も映画化され、封切られる。
原作は10年以上前に書かれた物で4巻の単行本となっているが、寡作の作者故、これも未完である。
攻殻機動隊以前の作品であるが、既にその作風は固まっている。
冷静に読むと、これもかなり難解な(…に思える)作品であるが、映画ではどう料理されるのであろうか?
「モーションキャプチャー」で実際の人の動きをCG化し、その3D映像をもとに新技術でアニメのセル画のように見せる。“3Dライブアニメ”である、とか、国内の公開より先に海外配給が決まった等という前評判以前に士郎正宗の描く世界がどう料理されているかが非常に気になるところ。
この「アップルシード」原作を知らない頃にビデオ・アニメーション版「アップルシード」を見て、かなり幻滅したことを思い出した。
アニメーションは世界に誇れる我が国の文化、とは言え、その品質にはかなりの幅があることも確かなのだ。


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