GBのアームチェアCinema見ist:アップルシード アルファ)

Appleseed Alpha

アップルシード アルファ(原題:Appleseed Alpha)

監  督 荒牧伸志
主演 小松由佳
助演 諏訪部順一/悠木碧/名塚佳織/東地宏樹/玄田哲章/堀勝之祐
脚本 MARIANNE KRAWCZYK
音楽 中田ヤスタカ(CAPSULE)
原作 士郎正宗
製作年 2014

原作は士郎正宗の傑作コミック。
「マトリックス」をはじめ、実写SFにも多大なる影響を与えた「攻殻機動隊」と同じ作者である。
その処女作でなんと30年も前に書かれたモノである。

本作は劇場映画化3作目。
同じ監督の手になるモノだ。
2004年に公開された第1作「APPLESEED アップルシード」、2007年の続編「エクスマキナ」共に初日に観に行っている。

第1作目、初回上映のロビーに入ると…なんだこりゃ!
人、人、人の山。
まさか!と思いき、チケット窓口は分割され、2/3が長蛇の列。1/3は閑散としている。
列を作るのは小学生を伴う親子連れ。「クレヨンしんちゃん/名探偵コナンはこちら」「それ以外はこちらにお並び下さい」。
第2作目、前作も初日初回上映にかかわらず、あまりの寂しい入りに「をぃをぃ大丈夫かよ…」と思ったモノだが、こちらも初日初回だったのに…

そして今回第3作目…
午後からの回だったので初日3回目の上映になる。
30分前に指定を確保したが、座席表は6割程度の埋まり具合。
実際の観客数は…
もう一寸少ない感じだった。

やはり、この手は一部マニアのモノなのか。

第1作目、2作目では、モーション・キャプチャーとアニメを融合させた新映像表現“フル3Dライブアニメ”更に2作目ではのジョン・ウーのプロデュースと言う話題性はあったのだが…
本作は完全コンピュータグラフィックス映像である。
前2作はコンピュータグラフィックのリアルな背景と人物に2Dセルアニメーション風の顔が張り付いた様な映像だったが、今回はフルCGである。

CGムービーでアニメ顔にモーションキャプチャーのなめらか(過ぎる)動きは好みの分かれるところだろうが、本作のもろフル3D CGはどうだろう?
私の場合はゲームなどでもこの手は見慣れているので特に違和感はないが、前2作の前日譚にも関わらず主人公のデュナンが大人顔になっているのが気にはなった。

洋画ファン、実写ファンにあっては、「ああ、よくあるアニメね」とスルーする事なかれ──「アップルシード アルファ」は、最新モーション・キャプチャーによって磨き抜かれた実写に匹敵するほどの映像クオリティ。

等という提灯記事があったが、悪いがそれほどクオリティが高いとは思えない。

そこに存在しないものをリアルなCGで描写して合成するのは、実写映画の世界においても今や当たり前の事で、CGアニメーションと実写映画の境界は、「登場人物を実際の俳優が演じているかどうか」というだけでしかない訳だが、やはりそこはそれ、当然だが機械は生き物の複雑怪奇な動き、特に表情から滲む感情等は完全に再現できないのである。
兵器等の無機物の描写はたいしたものであるが。

と…ここまで全く映画の本質について書いていない事に気づく。
この映画も「新しい映像表現」的な呪縛から逃れられていない様な気もする。制作者も、観客も…

作者はあえてそう作ったと語っているが、物語が矮小なのである。
まぁ、続きに持ち込めそうな構成とエンディングってのは結構あざといかも知れない。

しろまさ(士郎正宗)大好き!
な私であるが、本作アップルシードシリーズは既に士郎正宗ワールドとは別物になっている。
(攻殻機動隊もそうであるが)

そうそう、ラスト、うぁ!そう来るか。
因みにエンドロール全て終わった後!

お馴染みのあのキャラクターが一寸やなヤツかも知れないという印象になってしまった。
そして、デュナン。
エンディングに至る事には見慣れたのか、気にならなくなっていたが、はっきり言って、あんまり可愛くない。
決して不細工ではないのだが。

そもそも「計算したらこういう造形が美しい顔になる」みたいな、「男の理想型の集大成」を作りたがるのかも知れない、CG屋さんは…
CGの女の娘全般に言えるが、本作も、そんなイメージなのである。

以前、「CG美女ダッチワイフ説」なるご意見を聞いた事がある。

CG作る人間人が…
と言うか、大抵男なのだが、多くはそれを生業とする。
商売でやるからには「売れないと困る」。
売れるためには「万人が美しい」と認めないと困る。
最大公約数の美女を作っちゃうんだろうな。
それも「癖のない」。

綺麗なんだけど存在感が希薄なのだな、CG美女。

アメリカ、ヨーロッパ地域では2014年7月15日にデジタル配信開始、同月22日にDVD、BDが発売された。

と、実は本作は英語圏で英語により作られたモノの日本語化。
あの主人公キャラクターの造形は、そうすると必然の形なのだろう。



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