愚行連鎖 足元しっかり!!

VZJ95との生活:6/KYB ストリートショック:3

…と言うわけで、梅雨の晴れ間、一日走り回ってきました。
KYB New SR SPECIALのインプレッションです。
一日中走っていたので新しい写真は無し。ほぼテキストのみです、ゴメンナサイ。

プラドの足回りについて

結論から言うと、“万人向け”と言うコンセプトで作られたのであろう、9xプラドは、少なくとも足回りだけは“車好き”を納得させられる物ではない。
ノーマル・ショックアブソーバでは、乗り方によっては、時として恐怖を覚えることすらあるのだ。
その他の部分が良くできているので、これは余計にもったいない話である。
行きつけのディーラーの店長と工場長にも同様の趣旨を伝えたところ、「トヨタとしても社外品のディーラー扱いを前向きに検討中」なのだそうだ。
とにもかくにも、一時期のクラウンのような、“どんぶらこっこ”サスペンションを“乗り心地が良い”と思いこんでいるのは、極めて時代遅れの感覚である。
かつてのクラウン等の“高級車”なら、オーナードライバーよりも運転手付の社用車などが多く、そうした用途と職業運転手のドライビングであれば、フワフワの乗り心地が向いているのであろう。
職業運転手には“乗客の体が揺れるような運転”は決して許されないからである。

しかし、9xプラドは違う。
プラドは、“クロカン界のおっとり父サン”等と呼ばれることもあるが、少なくともプラドを選ぶマイホームパパ(…で、あっても)は、同じようなボディサイズとユーティリティー性を持つワンボックスカーやミニバンでは満たされない“スポーツマインド”を持つ、車好きの筈である。
そもそも、“(乗客が)快適に移動すること”を目的に作られた、単なる貨物車から出発したワンボックスカーと、使役馬から出し広野を駆け巡る車…“(日本国内では…)操ること”を目的として売られているクロカンマシンとでは出自からして異なるのだ。
更に、道路事情の良い我が国ではクロカンマシンとはいえ、その走行シチュエーションの殆どを舗装路の移動に費やすことになるのである。
そして、林道やクロカンコースまでの道のり、山好き、ツーリング好きの車乗りなら、ワインディングは避けて通れない。
と言うよりも、ワインディングは積極的に楽しみたいはずである。
山国日本において、ワインディングが苦痛な車は、既にツアラーとは呼べないだろう。
オン/オフ両面を満足させるべく、電調式マルチウェイ・ショックアブソーバがコスト的に無理であるなら、特性的にオン側に振るのが、プラドにとっては、安全性をも含めて、今日的行き方ではないかと思う。
ましてや、ランクル一族には70系と言う“生粋のクロスカントリー車”がいるのだから…
(しかし、この日本自動車史上に特筆すべき偉大な存在も、訳のワカランお上の出鱈目な規制によってその運命は風前の灯火…)

実装インプレッション

KYB NEW SR SPECIAL そこで、私の選択はこれ。
パーツメーカー数ある中、予算、信頼感、その他諸々を検討して決定したのが、KYB カヤバ工業製、NEW SR SPECIALだ。
クロカン車ではビルシュタイン、ランチョ、モンローなどが一般的だが、私の中では「カヤバ:KYB」の3文字は国産ショックアブソーバの頂点として燦然と輝く星でもある。
(二輪車だったらSHOWAなんだけどね…)

KYBの商品紹介によると…
『NEW SR SPECIAL』は、従来のスポーツショックにありがちな不快なゴツゴツ感を可能な限り押さえたうえで、走安性を高めます。
設定車種も国内NO.1、満足感も100%です。快適な乗り心地と驚くほどの走安性が高次元で両立したショックアブソーバーです。

減衰力特性
純正を100%とした場合、『NEW SR SPECIAL』は、伸び側180%/縮み側150%

※上記はあくまでも「目安」です。実際には実車テストによりベスト減衰力を車種ごとに設定しています。

とある。

今日の行き先は、お気に入りのドライブコース。行きから帰りまで一筆書きで、同じ所を通らず、更に途中、高速も使え、ワインディングも渋滞時迂回路も数種類あると言う一日コースである。
もちろん、趣味の農協農産物直売所廻り、「道の駅」回りも出来る秘密(大袈裟)の約300kmコースである。

ハイウェイクルージング

まずは高速に乗ってみる。
元々直進安定性が高く、高速ツアラーとしては極めて使いやすい9xプラドであるが、減衰力を高めたショックアブソーバにより、更に安定感が増している。
しかし、路面の継ぎ目などの衝撃はノーマルとさほど変わらない。振動収束が速いのでかえって気にならないのかも知れない。
もちろん、レーンチェンジ時等の安定性が高まっていることは言うに及ばない。
今まで少々大袈裟だった重心移動のエネルギーがそのまま方向エネルギーに置換された、と言う感じで操舵の即応性が明らかに高まっているのだ。

一般道からワインディングへ

高速から降りて、多少路面の荒れた地方国道でも、乗り心地がゴツゴツして…と言う印象は感じない。
それよりも、ブレーキングに気を遣わなくともゴー・ストップのたびの“どんぶらこっこ”ノーズダイブがほとんどなくなって非常に疲労感が減少する。
(いままで家族を乗せたときは“舐めるような”ブレーキングを心がけていた)

ワインディングへ入る。
このコースはもちろん一般国道なのでそれなりの制限速度なのだが、走っている車はかなりのハイペースが多い。
前後固定アクスルでかなりどっしりとした特性だったLJ78ではそこそこついて走っていたが、VZJ95では結構キツイ場面も間々あった。
いままでだと「おっととと」とコーナー入り口で減速していたのだが、今回はそう言う場面が無く、気づくといつもより気楽に10km/h以上速い(内緒だよ)速度でコーナークリアしているのだった。
(車の特性に慣れてきたと言う事は差し引いて考えるべきか…)

不要なロールも少ないが、何と言っても、「どっこいしょっと」押さえ込む感じの“強アンダー”だった操舵性が弱アンダー(ニュートラル?…この辺りの基準が良く分からない)というか、狙ったラインを苦もなくトレースできるのである。(…ってニュートラルって事か?)

むすび

今日はいつもよりも積み荷が多く、荷重がかかっていたせいもあるかも知れないが、舗装路特性としてはやはりこの位でないと満足できない。

結果としてKYB New SR SPECIALは私のような用途のプラド乗りにはかなりお奨めと言えるだろう。

ただし、納車以来、非舗装路へはまだ入っていない。
装着時に工場長は「思ったよりずっとソフトなショックアブソーバですね」と言っていたが、さて、果たして非舗装路ではどうだろうか?
予測としては、私程度の…林道ツーリングや釣行で山に入る…程度のユーザーなら充分に合格点が出るのではないかと思っている。
(どちらにしても競技クロカン指向のユーザーはKYBを選択しないだろう)
▼続く


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