JIAと建築士会


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記載者:河野進 on August 09, 19102 at 12:16:47:

元の記事:家協会の会員の方にお聞きしたい /記載者:toshi jinnai on August 01, 19102 at 19:07:10:

webmastarからのご指名でtoshi jinnaiさんのご意見に対して、私見を書きます。

日本建築家協会(JIA)の前身はヨーロッパ帰りの辰野金吾達が日本にも西欧流の独立した、自由な「建築家」という職業を根付かせるべく明治時代に始めた運動に端緒があります。建築家法制定運動など、様々な提案をしてきましたが、曲がりなりにも法律で設計監理者が法制化されたのは戦後の建築士法(昭和25年)からです。この法は戦災復興に必要な技術者を大量に作り出すための「技術者法」という性格が強く、その法律に則って作られたのが建築士会です。旧建築家協会は制定の当初から、不十分な法律として改訂を要求し、また新たな「建築家法」を作るべく運動を続けてきた訳です。現在国際化の流れの中で国際的にも通用する設計監理者の資格としては「建築士法」の見直しは避けて通れないと言うことで、関係団体と国交省を含めて協議の場が作られています。JIAは基本的にはUIA 基準に準じた資格として、大学教育の中身と年数、実務訓練の中身と年数、試験・登録の中身、そして継続研修の必要性など、全体の骨格からの見直しを主張しています。
それに対して、建築士会は現行の建築士資格の不十分性を認めた上でそれは「基礎的資格」と位置づけ、さらに専門分化の進展にあわせた形で、六つの専門別(意匠、構造、設備、施工、行政、木造)に専攻建築士という新しい資格をもうけ、それぞれ別個の教育、研修プログラムを設けようという、制度提案をしています。JIAは教育制度から始まる抜本的な改革には時間がかかることから、建築士会の提案に、国際的な同等性を確保できるプログラムとすること、第三者性のある認定機関で認定することなどの条件付きながら、暫定措置として賛成するという立場です。
それぞれの会としての成り立ちと考え方の違いを書いてきましたが、JINNAIさんがご指摘のように、市民・消費者から見たときに、建築学会と建築士事務所協会の2つを加えた4会の違いがわかりにくく、活動のだぶりが有ることも事実です。設計者資格の問題が4会で合意に達した場合に団体間の再編成の動きが出てくることは充分予想されるところです。団体間に横たわる、もう一つの大きな問題に専業と兼業の問題があります。建築士会は建築士法に則った資格者団体ですから、ゼネコンや工務店の設計部や現場管理の人たちも加入しています。JIAは専業の設計事務所をやっている設計者が集まっている団体です。JIAは設立時の理念に忠実にあくまでも独立した自由な建築家のあつまりを守るべきである。と言う主張と、立場の違いは市民にわかりやすく開示することで、むしろ設計監理者の団体として一本化すべきと言う考え方があります。これから大いに議論をつめる必要があると思います。
お答えになったかどうか解りませんが、又いろいろご意見をお聞かせください。


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