[HOME] [旅行記の目次] [この旅行記の目次] [前の日] [次の日]

Fri, 18/3/94 (第15日目)
ひとりの男と彼の8匹の犬がぞろぞろと歩いていった。
くもりときどき雨


7.30、起床。Tは14時間半睡眠。昨日の郵便局騒動のおかげで全身が筋肉痛らしい。おまけに、ゆうべはフロにも入らず、5時半に倒れた。今日はここの宿を引き上げるので仕度をする。

8.30、朝食。泊まり客の数が日増しに増えてくる。

9.00、一度部屋に上がって荷物を作る。

9.30、1 Day Travel Card を買うべくTがベイカーストリート駅へ向かう。

ついでに、Lloyd's BankでTC£100をくずし、City Cardのワールドキャッシングカードから£100払い戻す。

10.00、フォーシーズンズホテルを撤退するべくフロントに向かう。ここのおやぢはギリシャ人だった。

玄関出るときに「タクシー呼ぼうか?」とか、いろいろ親切にしてくれた。どうやら、Tのことが気に入ったみたいだ。

10.15、139番のバスでハムステッドのB&Bを目指す。あとで、例の横断歩道で降りて写真を撮ろう。荷物は重いが、宿のすぐ前からバスに乗れたのはよかった。

10.30、リンクロフトホテル着。そこのおやぢ達は待ちかまえていたが如く、いろいろと世話を焼いてくれる。キャッシュで残りの宿代(3日分)を前払いする。

それにしても女気のないこの宿は、ぢぢい3人で共同経営していると見えて、何やら老人ホームの如し。

<以上、M>

11.00、部屋の構造を把握したのち、路上に出る。出る前に、ダイニングルームを撮らせてもらった。おやぢの自慢のバーらしく、とても誇らしげだった。灯かりまで付けてくれた。ピアノがあった。誰が弾くのか訊いたら、通いの(若い)メイドさんがときどき弾くが、ちゃんとしたときは外から人を呼ぶとのことだった。

11.15、再び139番のバスでベイカーストリートを目指す。

11.30、Lloyd's BankでMがTC£50をくずす。サークルラインでサウスケンジントンを目指す。

12.00、雨が降っていたのだが、だんだん大粒になってきた。「パブがあったら入りたい」と云う格言はまだOED(オックスフォード英語辞書)には載っていないが、まさにそんな気分だ。


ひとりの男と彼の8匹の犬たち

きっとエサ代がものすごいに違いない。


そういえば、139番のバスでベイカーストリートに行く途中、EMIスタジオの前で写真を撮った。例のアングルはどっち向きだっけ?

12.30、コンランショップ見学。どってことなかった。わざわざイギリスくんだりまで仏製のモノを買いに来る日本人の気が知れない、と云った感じだった。すみやかに退散。自由が丘とか渋谷にあるんだったら、いろいろ買ったかもしれない。

13.00、パブを探せど見つからない。やっと見つけたが、満席だったのであきらめる。キングズロードを目指す。

13.30、キングズロードのアメリカ風バー&グリル「Henry J. Bean's」に入って昼メシ。

メシ屋のバックヤードに猫がいた。飼い猫だ。赤茶の一色猫で、太っている。腹が減っているわけではなく、ただ単に誰かにかまってもらいたいだけみたいだ。

14.30、店の横10ヤードほどにあった、チェルシーアンティークセンターに吸い込まれる。絵のコーナーが充実していてたのしい。植物の絵はもっぱら、蘭、シダ、ツル科の何やらよくわからんモノ、という結構グロイのがいっぱいあった。図鑑の切り抜きなもんだから、同じ一冊の一箇所から採ったらしく、同じような植物ばかりだった。エッチングの版画に水彩でざーっつと色を付けたモノらしく、Mに云わせると「けっこー雑」なんだそーな。

<以上、T>

この種の「絵」は、何人もの職人の手を通ってやっと作品になるので、いくら絵師の腕が良くても、銅版におこす彫師、紙に刷る刷師、そして仕上がりの墨版に着色する最終段階までが一貫して良くないと、良い作品にはならないのだ。だから、例えば2枚の同じ版があったとしても、最後の着色の段階で2人の職人が仕事をしていると、上手下手が実に正直に出てしまうのだ。特にフランスの版だったりすると、雑なのが多い。

それにしても、植物図鑑用の絵ともなると、芸術的な目と同時に科学者としての観察眼もないと「良くできた作品」とは云えない。美しい絵にしようとするあまり、屏風や扇子の文様になってしまうモノもある。極端な場合は、中国の壷や浮世絵の着物の柄のように誇張されていて、図鑑の絵としてはB級品的なモノもある。

そういえば、古く見せるために煙でいぶして薄黄色のくもりを付けるって話も聞いたことがあるな〜。この業界でも、常に偽物をつかまされるリスクはあるのだ。

15.20、キングズロードを東へ300メートル。アンティークォリアスに入る。ここは3畳敷ぐらいの出店が100軒ぐらい入った総合アンティークマーケットだ。値段はまずまずだが、実際旅行者が買えるような物件はそう簡単にはない。なにしろ「本物」だからね。

主体は、時計、銀食器、ガラス製品、陶器、革製品、照明器具、古い衣装、変わったところでは望遠鏡とか、ルイ布団屋、船の部品屋なんかもある。

夕方の茶の時間なので、店員が茶を飲んでいたりするのだ。

15.30、巨大なグレゴリー犬に遭遇(でかい犬は必ずグレゴリーという名前で呼ぶことにしているのだ)。写真を撮る。

15.35、Tがもうちょっとでヴィクトリア時代のトーストラック(£30)を買いそうになる(安い方だと、£12であった)。

15.50、そろそろ店内一周、疲れてきた。

15.55、白いプードルがまつわりついてくる。もこもこで、羊みたいだ。

15.58、アンティークォリアス退場。う〜ん、たのしいな。ここの店の品は、素人でも本気になれば買えなくはないぞ。

16.5、カタログに出ていたチェルシーアンティークフェアの会場前に通りかかり、入場する。

日本人婦女子の人達が大勢ウロウロしていたが、入り口で入場料を求められるなり、退散していった。情けなや、日本女子! ここ(イギリス)まで来ておきながら£5の入場料に負けるな! そのせいか、会場内はプロの目利きやコレクターだらけだった。

16.20、会場は結構広い。展示品は、家具、時計、ガラス製品、地球儀、古地図、キルト、木彫小物、等々の大物が主体。古地図のコーナーが楽しかった。どれも保存状態は極上。1850年代のグランドファーザークロックが£4,700〜5,500ぐらいから、大物のタンスも大体£5,000前後、布張りの椅子だと大きいモノで£2,000前後、紅茶箱で£500〜800。

まあ、この展示会は、業者の見本市というか、実力の展示だから実際の売買はそれほど目的ではないらしい。おっとりしたものだ。しかしっ、本気で商談が成立したときのために、専用の商談室と乾杯用のワインが用意してあったのには驚いた。

16.45、アンティークフェアの会場を出る。や〜、楽しかった。まあ、こう云うのは勉強の一種だな。だって、下町の路上マーケットとかでわけのわからん木の箱みたいなものを「160ポンドだ」と云われても、高いんだか安いんだかよくわからないし、本物の極上品がどんなものか知らないと、ただのガラクタ集めになってしまう。だから、ときどきは本物を見ておくのも良いだろう。

<以上、M>

バスに乗ってハロッヅを目指す。

16.50、いやしかし、何度来てもハロッヅは広い。まぁそりゃぁ、こっちが何回通ったところでハロッヅの広さが変わるわけではないが...。そーいえば、入り口に日本語対応の受け付け嬢までいたぞ!

17.00、本日の来ハロッヅの第一目的である制服コーナーにやっとたどり着く。これか〜っ、うわさの制服コーナーはっ! こっちの子供達はこんなにか〜い〜制服着て学校通っとんのかいなあっ! ほんまかいな、そ〜かいな(引っ越しのサカイ)! でも、街中で見かけるのは結構ズルズルしていたな〜。読者諸兄も一度は立ち寄られたし。

17.15、またもや来ました、FOOD HALL。漫画の肉(漫画によく出てくる骨付き肉)の前で記念撮影するのは、別にお約束ではない。

クロッテッドクリームはなかった。孔雀の肉も売っているらしい。いちごの安売りをしていた(これは、後にDillon'sの中に置き忘れてしまうことになる)。

17.30、地下鉄に乗る。ウォーレンストリートまで来て、Dillon'sを目指す。ところが、方角を90度間違えて、グレートポートランドストリート駅に来てしまった。ここまで来たついでなので、Opium Art'sを目指して歩く。

17.45、Opium Art's(と思われる建物)到着。やはりカンバンは出ていなかったか。記念撮影をして、あとで自慢できるようにしておく(どーだ、いーだろー)。でも、本当にOpium Art'sだったのだろうか? 1st Floor(2階)の窓の中の壁に何やらCDが飾ってあったことを除くと、全然音楽関係の事務所の雰囲気はない。

18.00、Dillon's本店到着。来店目的は、英語教材を入手すること。やはり今後のことを考えると、Queen's Englishでなきゃ! と思い立ってしまったのである。「マヌケなドリッピー」のような、ただ聞いていればよいやつを探したがないので、しかたなく教本とカセットを買った。MにはBBC出版のビギナー用問題集を買い与えた。これで挨拶ぐらいは出来るようになるだろう。

19.00、晩飯会場に向かう。

19.30、「Farm House Table」と我々が呼んでいた店は実は1st Floor(2階)の方だったのか。Ground Floor(1階)の方は「Kantar Taverna」と云うらしい。ギリシャワインがワインリストの上の方に載っていることからすると、どうやらここはギリシャ料理屋だったみたいだ。

Mは、残さずたいらげた。えらい。ずいぶん回復してきた。

20.40、店を出る。コベントガーデンから地下鉄に乗る。ホームに降りるエレベータの所要時間(ドアが閉まって、再びドアが開くまで)31秒。ピカディリーサーカスで乗り換えてベイカーストリートで下車。ここからは、139番のバスに乗ってウェストハムステッドの次のバス停(終点)まで来る。

21.30、やっと宿に到着。フロを浴びて、今日の行動を記録し、眠ることにする。

23.30、やっと記録し終わったので寝る。25534歩。ちょっと歩きすぎた。痛いのは足腰だけじゃない。

<以上、T>


[HOME] [旅行記の目次] [この旅行記の目次] [前の日] [次の日]