ここ数年、新年最初のメルマガでは、これまでの歩みを振り返って、今年のキーワードみたいなものを発表したりしていました。それにならうわけではないのですが、最近、自分の中の何かが次のステップに入ったような感覚がありますので、今回はその感覚についてと、これまでの自分の癒しと目覚めのプロセスの中で気づいたことを簡単にまとめてみたいと思います。
前回のメルマガで書いた印象的な夢を見た後、昨年暮れくらいから「分水嶺を越えて向こう側に出た」というような感覚を感じています。これまでは登り坂で、疲れて力を緩めると、つい後ろに引き戻されそうな感覚があったのが、これから先は下り坂で、それほど苦労なく先に進んで行けそうな感じがしています。
昨年の12月は「なーんだそうだったの?」で書いている、初めての目覚めの体験をしてからちょうど20年目でした。最初のうちは何がなんだかわからないような、でも、この道を進んでいけば大丈夫だという、理由のない直感をたよりに進んできましたが、そのうち、自分自身が本当に癒され、楽になってきているんだ、という、はっきりとした安心感が大きくなってきました。そう「私」が楽になってきていたのです。
ところが、そのプロセスがさらに進んできた昨年後半、少し不思議な感覚が芽生えてきました。これまでは、「私」が苦しくて、「私」がいろんな体験を積み重ねてきた結果、「私」が楽になってきた、と感じていたのですが、その「私という感覚」そのものが小さくなっていくような感覚、言い換えると、これまでは「私という感覚」にあまりにも強く同一化していたがゆえに苦しみが大きくなっていたのだ、ということがわかってきたのです。
もちろん、私が消えて透明人間になってしまうような感じではありません。「私」と呼ばれている身体と心がここにあって、いろんなことをこれまでと同じようにやっているのですが、私がやっているという感じではなく、私を通してものごとが自然に起こってきて、私はそれを見ているだけ、という感覚になることが増えてきたのです。視点がちょっとだけ後ろに下がったような感覚です。
そういう感覚になるときには、心の中がとても静かになっています。いや、静かになっているというよりも、この静かな部分は心の奥にいつもあって、これまではそれに気づかずに、表面の動きばかりを見ていたのだな、とわかったような感覚です。
この感覚はとても深い安心感、開放感を与えてくれます。目に見える世界、感じられる世界の中でどんなことが起こっていても、それにあまり影響されずに、いつも自分の中心を保っていられるようになってきます。
もちろん、今の私がいつもその状態にいられるようになったというわけではありません。でも、以前は、その状態をときどき思い出しはするけれど、またすぐ忘れてしまって、自分で自分を苦しめることが多かったのが、最近は、ときどき忘れてしまうけれど、すぐに思い出すことが出来る、という感じになってきました。
人間が身体を持ってこの世界に生まれて来るのは、このことを思い出すためだったようです。
自分が何なのかわからない、何をしていいのかわからない、という方は、まず自分の内面ときちんと向き合い、自分の本当の姿に気づく必要があります。「本当の自分」というような言葉で表現されているものは、何かをやっている自分のことではなくて、それを見ている「大きな自分」に気づくような感覚なのです。この感覚が生まれてくると、この世界の中で何をやっていったらいいのか、ということは自然と見えてきます。
また、この感覚は生きることと死ぬことに対する見方を根本的に変えていくようです。死ぬのはこの身体と心だけであって、それを見ている大きな自分は死ぬことはない、そんな感覚でしょうか。
なんだかどこかの宗教のようになってきましたね(^_^)。でも、ここに書いたようなことはすべての宗教の根本にあって、人間が生きていく上で、一番大切なことです。私の役割は、それについて、出来るだけ宗教的な言葉を使わずに語っていくことなのかな、と思っています。いや、それに「ついて」語るというのは少し違うかな。
「それ」自体は、本当は言葉では語れません。多くの人が言葉では語れない「それ」を、その人なりの言葉で語っているため、同じことを伝えようとしているのに、それぞれが違うもののように受け取られてしまい、それによって争いすら起こっています。
また、まだ自分の体験として実感していない人が、それについて聞いただけで体験したように勘違いしたり、体験していない自分は劣っているのではないか、自分が悪いのではないかと考えて苦しんでしまうこともあります。
ですから、それに「ついて」語るのではなくて、それをみなさんが自分で体験するために役立つ情報を伝えることが大切だと思っています。
だれもが、本当はすでにそのことを知っています。ただ、あなたの中の何かがそれを見えなくしているだけなのです。あなたの中には自分でも想像している以上のパワーがあります。ですから、まずは自分自身を信じて下さい。
こんな自分なんか信じられないよ、という方は、ここに書いてあることを信じてみて下さい。私を信じる必要はないですから、私の言葉を信じてみて下さい。私がここで書いたことは、目覚めつつある多く人が語っていることと同じです。すべては自分の中にあって、そのことを思い出すことで、心と身体も健康になっていき、そして、何より、生きていてよかった、という感覚を感じさせてくれます。
誰もがそれを思い出す道の途中にいるのです。(【まほろば通信】vol.129掲載2009/02/07)