トップページご感想体験レポート9>3回目

Breath Therapy Report


ブレスワーク3回目

「自分には安心できる場所があるんだ」。
2回目のブレスワークで気付く事が出来た私は嬉しい気持ちで一杯でした。家に帰って即刻ふとんを敷き、うつ伏せ寝。地に足がつく、ならぬ地に胸がつく感触はとても心地よく、それ以来時間を問わずふとんを敷いては「うつ伏せ〜うつ伏せ〜♪」と転がっては喜んでいたのでした。

随分と元気になって来ていた、そんなある日、出掛け先で人が救急車で搬送されていく現場に出くわしてしまったのでした。縮み上がって用事も忘れて家に舞い戻り、また病院の前を迂回するように・・・
ちょうど、年末年始でした。忘年会、新年の挨拶回り、新年会・・・と生活のリズム、特に食生活が乱れてしまい、みぞおちの痛みが治まらなくなりました。手持ちの胃薬を飲んでもダメ。いよいよ病院に行かなければならないのか・・・と思った時、ふと1回目のセッションで自分のからだを撫でていた事を思い出しました。おなかが、辛いんだ。このところからだの声を聞いてあげられなかった、ごめんね。よしよし・・・とイメージの中で胃や内臓を撫でてみると、何と痛みが治まったのです!まぁ、症状が完治したと言う訳ではないのかも知れませんが、これは自分の中での大きな収穫でした。

3回目、2003年最初のブレスワークの始め、カウンセリングの時に中野さんにこの話をしました。
「自分よしよし・・を出来たのは良かったですね」・・・はい、今までの私なら、さらにふさぎ込んでいたと思います。良い経験を味わえた事が本当に嬉しかったのでした。
その後「救急車を見た時、どんな事を感じましたか?」と尋ねられました。怖かった・・・自分もそうなるのかも知れないと思った、と答えました。ネガティブシンキングが得意な私は何時も最悪のシナリオを瞬時に思い浮かべるのでした。例えば、TVで健康度チェックを見て試してみる→あてはまる項目が気になりはじめる→病院で検査しなきゃいけないのかな→結果が悪ければどうしよう→手術?投薬?→失敗したら?副作用が出たら?手後れだったら・・・と言った事を、ほんの数秒で考え付きおびえてしまうのです。
さらに、近親者が病院に入院したり、亡くなった時の印象が辛かった事もありました。自分の身に置き換えて考えて怖くなる。ひょっとしたら私が怖がっているのは病院そのものではないのかも知れない・・・話をしながらそう思いました。

「自分の死について、どのように考えていますか?」
自分の死・・・と言いますか、高校生の時に私の生まれて来た日の事を聞かされた時以来、「自分の生まれて来た意味」が皆目分からなくなってしまったのでした。母親が出産前に病気をして、医者は子ども(=私)が生まれる確率をかなり低く見積もり、母体優先、子どもは諦めるよう再三言ったのだそうです。母親も出産後、臨死体験をしたとも。
でもその話の落ちが「せっかく生まれて来たのだから部活動等せず勉強だけしてなさい!子どものくせに、親の言う事を黙って聞いていればいいのよ!!」
・・・一体何の為に生まれて来たんでしょうねぇ?・・・部活?入りましたよ勿論(笑)

話を戻して。そんな家族は、一人っ子の私を『箱入り』ならぬ、しっかり蓋をした『缶詰め』と公言してはばかりませんでした。全ての一人っ子がそうではないと思いますが・・・缶に入れられたまま転がされている感じで、出る事が出来ない。缶の中身が腐ろうがなくなってしまおうがどうって事ないんじゃないかと思っていた、と話しました。ただ、今は結婚して家族(同居人さん)がいるからそんな事は出来ない・・・自分や、殊に同居人さんがいなくなってしまう事は大きな恐怖でした。
「・・・缶に詰められていたら、からだに気持ちがのっかって丸くなったり、からだにいろいろなものがくっついてしまっても仕方ないかも知れませんねぇ」と中野さん。この時、私の肩は丸まって胸は押さえられ、立派な猫背状態になっている事に気がついたのでした。
・・・今回のカウンセリングはいろいろな話題が出たのと、あとのセラピーの中で起こった出来事の印象が大きく、実のところ、これ以上に詳しく思い出せないのです・・・ごめんなさい。

ブレスワークも3回目になるとからだも慣れてくるのでしょうか、始まってすぐに耳がキン!となって痺れ始めました。そして、お腹、太ももの前面、肩、首。痺れでからだが丸まってきました。網の上であぶられているスルメになった感じ。過去2回のブレスワークよりも、痺れの感じ方が1番不快だった気がします。からだに口や鼻が丸め込まれて息が出来なくなりそうでした。中野さんから「全身で呼吸をするように動かしてみて」と声かけがあったので、これ以上からだを丸め込まれないように、動いてみたら今度はからだが大きく仰け反り始めました・・・そういやスルメも焼き過ぎると反って来ますよね(笑)からだが動きたい方向に向かうままにしていると、反って丸まって・・・を繰り返し、うつ伏せになったところで動きは止まりました。

暫くすると、目の前にイメージが見えて来ました。建築物のようにかっちりした構造ではなく、ゼリーや寒天のようにぶよぶよした、天井の低い空間にいました。私以外、なにもないところ。深い藍色の世界。居心地は、悪くない。でも・・・何か違和感がある。
「お腹から声を出して『嫌だ』と言ってみましょう」
私は「いやだいやだやだやだぁ・・・」と言い続け、足や手を犬かきのようにばたばたさせているうちに藍色の空間から本格的に出たくなって来ました。でもパンチしてもキックしてもぶよぶよした空間はそれを跳ね返します。中に埋まっていれば良い、と言わんばかりに。「他に言いたい言葉があれば言ってみてください」・・・出るの。ここはいいところ。だけど出て行かなきゃ。からだをこの空間から出さなければいけないと思い、言いました。
「行くの!一緒に行くの!」

言った瞬間、藍色の空間は、天井の高い白っぽいグレーに変わりました。ちょうど、床に寝転んで天井を見上げている感じ。すると私のからだから何か−黒いいびつな星形のものが外れて空中に舞っていきました。いや、こちらが黒いいびつな星形のものに落とされて床についてしまった気もしなくもないのですが・・・あの黒い星は、別にあってもなくてもいいのだけれど、ずーっと一緒にいたものだ、と感じました。拾わなきゃ、と手を伸ばすと、黒い星は私の目の前で左に螺旋を描きながら上昇し、ぐずぐずぐず・・・と崩れて粉々に散って行ってしまったのでした。
星が、なくなった。なくなった・・・ない、ない、ない!!!
声を上げて泣きました。寂しくて寂しくて・・・

無くしたものはしょうがない。あたまのなかではそう思っても、涙が溢れて止まらなくなりました。お別れ・・・と思うと辛くてたまりません。泣き続けているとふと、「あの星はいつか帰ってくるんじゃないか」と思いました。今の私に必要無いから離れて行っただけで、また必要になったら帰ってくる。そう思うと不思議と納得できたのでした。その時まで、待っていよう。あたまもこころもからだも、みんな一緒に待っていよう。そう思いました。

セッションはそろそろ終盤。意識をからだに戻して行きます。グレーだった世界はどんどん明るくなり真っ白になりました。これだけ明るい世界だと、あの黒い星も、たとえ壊れていなくても、見えなくなってしまうだろうな、とぼんやり思いました。そして、自分はこの白い世界にいても大丈夫なんだ、とも。また涙が出ました。

ブレスワークが終わり、ワタシは自分にくっついていた黒い星がなくなった、黒い星がなんなのか今は分からないけれど、戻ってくるまで待ちます、と言いました。「待つ事はとても大事な事ですよ」と中野さん。
ブレスワークを始める前のワタシはせっかち、関西弁で言うところの「いらち」で、すぐに答えのでない事は大嫌いでした。それを待とうと思えた・・・この3回のセッションで、随分と自分の中身が変わって来た気がしていました。缶の蓋を吹っ飛ばして新しい世界を眺めている感じ。
いろいろな話をしているうちに、ワタシは肩に違和感を感じて話を止めました。・・・やっぱり。肩が丸まっていたのです。「始めのセッションの頃より随分ましになっていますよ。気がつくようになったと言う事は、治ります」との事。
病院に堂々と行けるようになるように、それと、自分の中への旅をもう少し続けて大きくなって行けたら嬉しいな・・・と思いつつ、次回の予約を入れ、帰路につきました。

あの青い空間は缶の中で、黒い星は缶の蓋だったのかも知れません。(となると蓋が帰って来てもらっては困るのですが)黒い星の正体もいつか知りたいと今は思います。


<2回目へ 4回目へ>

Written by Shinsaku Nakano <shinsaku@mahoroba.ne.jp>
Last Update: 2005/01/01