新・闘わないプログラマ No.72

いい商売してる


先日、あるシステムで使用しているクライアント・パソコンのメモリーを増設することになりました。今まで64MBだったのを、あと64MB増設して、128MBにするというものでした。台数が約60台、同じビルの2フロアにその60台が設置されています。
これらのパソコンはすべてあるメーカーの製品で統一されており、保守もそのメーカーの関連会社である保守業者とハードウェア・ソフトウェアを含めて保守契約を結んでいます。このあたりはいつものことで、こうやっておかないと、パソコンが故障した場合なんかに迅速に修理等ができませんので、そうしているわけです。
で、件のメモリー増設ですが、契約した保守業者の言い分では「メーカー純正の部品で、しかも、うちが増設作業を行わないと、後の面倒は見ないよ」などと言うわけですね。まあ、向こうの主張にも一理あるわけで(サードベンダーの部品の保守なんかできないわけですしね)、それはそれで仕方が無い事なのかも知れませんが、そのメモリー増設の見積りを見て、絶句しました。
いま時、64MBのDIMMが10万円近くするのはまあ、よしとしましょう、なんてったって「純正部品」なんだから ←これでも「出精値引」後の金額 ←それでも秋葉原価格の10倍。
なんといっても凄いのが「設置調整費」なる項目。60台のパソコンにメモリーを増設するのに、エンジニアが20人日(要するに20人のエンジニアが「設置調整」なる作業に1日かける、ということ)。つまり、えーとその、なんだ、1人のエンジニアが1日3台のパソコンにしかメモリーを増設出来ない、ってこと??
増設対象のパソコンは、前にも書きましたが、同じビルの2フロアに集中して設置されていて、移動の手間ってほとんど無いんですけどねー、それでも1日3台しかメモリー増設できないの??
で、その設置調整費、1人日で10万円くらいだったから、締めて200万円。そんとき、私はマジで思いましたけど「あ、あの、それ私にやらせて。100万円でいいから」1台10分として、60台だと10時間、非常に重労働なのは確かだけど、なんとか1日で終わるんじゃないかな、などと計算してしまいました。同じパソコン、私も中を覗いてみたことがあるのですが、別にメモリースロットが奥の方にあって、面倒だ、とかそういうことはなかったはずだから、1台10分というのは、無理ではないと思う。1日働いて100万円……魅力的だ(^^;)
「いや、ウチはプロとしての仕事をしていますから」と、件のメーカーの営業の人は言うのでありますが、そーか、プロとしての仕事ねえ。んじゃさあ、このあいだ頼んだ○×ってソフトの設定変更、サルにでも分かるように全部の画面ハードコピーを付けたマニュアルを渡したはずなんだけど、頼んだ100台のパソコンのうち30台も設定ミスするのが「プロの仕事」なのねー。そーいや、ディスク増設を頼んだときにも、既存のディスクをフォーマットしてデータを全部消してしまったのもやっぱり「プロの仕事」なんだー。さらにさらに、LANのケーブルを違うHUBに接続してブロードキャストストームを発生させちゃったときも、ちゃんとケーブルとハブの色分けをしていて間違わないようにしていたのに、それでも間違っちゃうのも「プロの仕事」だったりするわけねー。

今のように、コンピュータの値段が下がってくると、こういった方面ででも儲けないとやってゆけないのかも知れないな、とは思うのですけど。パソコンだって、本体は安くしておいて、メモリーやらハードディスクやらの、いわゆる「純正部品」の値段を高くしておいて、そっちで利益を上げる、というのも仕方が無いのかも知れません。保守契約を結ぶとなると、どうしても純正部品を使わざるを得ませんから。
まあ、それは分かっているのですが、でも、もうちょっとちゃんと「プロの仕事」をしろよ > 某メーカー系の保守業者 :-p

「プロの仕事」といえば、最近は私自身はあまり付き合いが無いのでよく知らないのですが、IBMはちゃんとしてましたね、当時(10年くらい前ですけど)は。腐ってもIBM、というか。
ただ、値段は高かったですね、とくにメインフレーム関係のエンジニアは。確か1時間で5万円くらい取った、と記憶しています。
何年か前に、IBMのメインフレームのプリンタ(バカでっかいやつ)を移設する作業をやったのですが、IBMのエンジニアと、電気工事の人と、それから私が立ち会ってやったのですが、そんとき、電気工事の人が、IBMのエンジニアの人をからかっていました。
「あんたらいいよな、1時間5万円だって? 我々なんか、1日でもそれより少ないよ。やっぱり、天下のIBMは違うよなー」
いやもちろん「1時間5万円」が、全部そのエンジニアの懐に入るわけじゃないことはみんな知っていて言っているわけですけどね。でも、いまから考えると、メインフレーム系の料金体系って、みんな異常に高かったような気もします……そうやって儲けていたんでしょうけど。

まあ、なんのかんの言っても、ハードウェアやソフトウェアそのものの値段はかなり低くなっちゃっていますから、サポートやら保守やらで利益を上げる、というやりかた(「ビジネスも出る」……じゃない「ビジネスモデル」なんて言ったりするようですが、なんか恥ずかしいので、私は使わない :-p 余談ですけど「ビジネス」って付く言葉、なんか全部、恥ずかしいというか、うさんくさいというか、そう思ってしまうのです)自体は正しい方向のように思います。
けどねえ、某保守業者のような「プロの仕事」は勘弁してほしいものです。

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