新・闘わないプログラマ No.71

GUIでカンタン操作


WindowsNT Serverは、UNIXと違って、設定やら操作やらがGUIで簡単に出来るから、操作に専門の技術者が必要が無いので優れている、とマイクロソフトは盛んに宣伝していますけど、まさか、本当にそんなことを信用している人がプロの中にもいるとは、信じられませんでしたが……でも実際にいるんですね、びっくりしました。
いや、職場の別の部署の課長なのですが、なんか知らないけどWindowsNTの信奉者らしくて、UNIXは時代遅れだ、と盛んに言っているのは知っていたのですが、「GUIで設定が出来る」というのが「優れている」って言うんですかねー。「GUIで設定が出来る」というのならまだしも。

部門内で使うスタンドアローン的なサーバーなら、いろんなコマンドやらエディタの使い方といった「専門的な知識」を必要としないGUIによる操作というのも存在価値があるかも知れません。どうせ設定するのは1台だけでしょうし。
ところが大きなシステムで、沢山のサーバーを使うような場合、GUIによる設定は、とたんに厄介になるのは明らかなわけです。たとえば100台のNT Serverがあったとして、それをいちいち、設置してある場所に行って、GUIの設定画面を表示させて、設定を変えていくことを考えれば、その大変さがわかろうというものです。しかも、100台も設定していったら、絶対に1台や2台は設定ミスをしてしまうでしょうし。
これがUNIXのように、基本的には設定がテキストファイルになっている場合だったら、事前に用意してたファイルと置きかえればすむ話しだし、シェルなりawkなりperlなりでスクリプトでも書いて自動的に設定を変えることだって出来る。telnetとかftpとかrshとか使えば、もちろんサーバーを設置してある場所になんか行く必要も無い。センター側から一気に設定変更してしまうことも出来るし、そうするのが普通です。
こんなことは、それなりにこの業界の仕事をやってきた人間なら、常識の範疇に入るようなことだと思っていたのですが……世の中、そうとばかりも言えないようです。

WindowsNTでの、各種の設定の問題点は、一つは操作がGUIで行うのが前提になっているということ、あと、設定がテキストファイルじゃなくレジストリと呼ばれる階層型データベースに登録されること、があります。
これらは、多数のサーバーに対して設定を行う上で、大変な負担になります。また、遠隔地にあるサーバーに対して設定の変更を行うのが非常に面倒、ということもあります。レジストリエディタと呼ばれるレジストリの登録内容を編集するためのプログラムがあって、これを使えば一応は遠隔地のサーバーのレジストリの登録内容を変更する事も可能で、わたしも時々使ってはいますが、これ、いろいろな意味で使いづらい。そもそも、レジストリエディタで設定変更するのは、裏業であって、これでちゃんと設定が出来るという保証も無いですし。
あと、WindowsNTの設定をGUIでやっていて、いつも恐いのが、もとに戻す事が出来ない、もしくは、困難だ、というのがあります。今までの設定変更を全部チャラにしてしまって最初からやり直したい、もしくは、どこをどう変更したのか一覧で知りたい、なんてことがきわめてよくあります。設定がテキストファイルなら、ファイルのバックアップを取っておけば、元に戻すのも簡単ですし、UNIXのdiffみたいなツールを使えば、変更前と変更後で、どう違っているか簡単に調べられるのですが、レジストリの場合にはこれが簡単には行かない(できないわけじゃないですけど)
その点、UNIXの場合は、各種設定は通常は、/etcというディレクトリの下にテキストファイルの形で存在します。これを修正して、プロセスを再立ち上げすればいいですから、非常に楽なわけです。遠隔地にあるサーバーの場合だったら、telnetかなんかでその機械にログインして、エディタで設定ファイルを修正して、プロセスの再立ち上げ、で終わりです。
このあたりは、根本的な設計思想の違いで、いまさらどうこうできるようなものでは無いと思います。WindowsNTもUNIXという「お手本」があったのに、どうしてこんな変な設計になってしまったんでしょうね。もちろん「カンタン操作」という考え方自体は、別に間違っていないとは思います。スタンドアロンのような環境で動いている部門サーバーみたいなやつなら、GUIによる設定もあまり苦にならないでしょうけど、多数のサーバーを使うシステムなんかの場合には……。

などと、文句を散々言っているのは、実は、職場でこれから開発するあるシステムのサーバーにWindowsNTを使う、という話が進んでいて、それと闘っているもので、ついつい話が過激になってしまっていたりするわけですね。
でも、全国各地の支店やら営業所にNTのサーバーを置くようなシステムは止めた方がいいと思うんですけどね……あとあとの運用コストが馬鹿にならないですから。

話は変わりますが、先日発売された「redhad Linux 5.2 日本語版」さっそく買って、入れてみました。それまで使っていたのがTurboLinuxの古い版だったのですが、インストーラとかはよく似ている、というか、ほとんど一緒ですね……まあ、当たり前といえば当たり前ですけど(TurboLinuxはredhatをベースにしている)。
まだよく使っていないので分からないところも多いのですが、OS自体の設定のかなりの部分が「linuxconf」とかいうユーティリティでできるようになっているようですね。ちょっと使って見ただけですけど、これ自体はかなりよくできているようで、/etcの下の設定ファイルをエディタで直さなくても、これを使えばほとんどのことが出来てしまうようです。やっぱり、設定はGUIでやるのが一番だよなー、などと今まで言った事をぜーんぶ棚に上げておいて、支離滅裂なことを思ったりしています ←ここまでの話はいったいなんだんたんだ ←いや、もちろんこれは個人的に使う場合はGUIによる設定もいいもんだな、というだけですが。

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