新・闘わないプログラマ No.66

給仕人


世の中に「サーバー」と呼ばれるものがあります。何を言っているのだ、と言われそうですが、ただ単にそういうものがある、という事実を記述したに過ぎません :-)
インターネットの世界では、皆様もお馴染みの、WWWサーバー、メールサーバー、ニュースサーバー、ネームサーバー、等々がありますし、他にも、データベースサーバー、ファイルサーバー、プリントサーバー、コーヒーサーバー……ん、ちょっと違うな、とにかくいろんな「サーバー」があるわけです。
で、このサーバーというやつ、物理的な「もの」を現していると思いがちで、実際にそういうふうに誤解している人も結構いたりするのですが、実際には、ある種の「機能」を現しているのです。たとえばWWWサーバーというのは、クライアント(ユーザーエージェント)からHTTPというプロトコルを使って要求された情報をクライアントに渡す、という機能を持っている(実際の機能はそれだけじゃないですけど……って書いておかないと突っ込まれる危険があるので、一応断っておきます :-))わけです。
で、こういった機能は基本的にはソフトウェアで実現されていますから、それらは物理的な「もの」(ハードウェア)とは原則として無関係なわけです。

世の中に「サーバー機」と呼ばれるものがあります。何を言っているのだ、と言われそうですが、ただ単にそういうものがある、という事実を記述したに過ぎません :-)
私はテレビって、ほとんど全くと言っていいほど見ないのですが、先日なんかの拍子にテレビをつけたときに、某社のサーバー機の広告をやっていました。「当社のサーバー機を入れれば、オフィスは薔薇色」みたいなお気楽な内容でしたけど、相変わらずこんなことやってるんですね、昔から変わっていないというか、なんというか。
SIS(「Strategic Information System」でしたっけ??)って言葉が流行ったときには、「当社のSISを導入すれば、御社の経営は薔薇色」とか言っていたような気が。経営者が「SIS、一つ下さい」っていう笑い話もありましたっけ。
ああ、いつものころなれど、また話が逸れてしまった。軌道修正します。
上にも書いたように「サーバー」っていうのは「機能」を指していますから、特定のハードウェアとは関係がないわけで、サーバー機能を実現するソフトウェアが動きさえすれば、どんなハードウェアだっていいわけです。話が抽象的で分かりづらいかも知れませんから、例を挙げます。仮に、WWWサーバーを立てたいとします。WWWサーバーを実現するソフトウェアは沢山ありますが、フリーUNIX+Apacheという組み合わせならソフト代はタダですね。これが動くという条件のハードウェアと行ったら、もうかなり古いPC(CPUが486あたり)でも全然問題がありません。もちろん、そのWWWサーバーにどれだけのアクセスがあるかによっては、もっと高性能のCPUを積んだPCである必要があるかも知れませんが、とにかくWWWサーバーを動かすだけなら、普通のPCで問題が無かったりします。
ところが、世の中(特に偉い人の中)には、「サーバーを立てる」→「サーバー機が必要」と思っている人も多かったりします。これも、メーカーのたゆまぬ努力(宣伝&洗脳)の賜物ではないでしょうか :-p
ところで「サーバー機」とは何物なのでしょうか。基本的には、サーバーに向いているコンピュータということになるのでしょうが、今、テレビ・新聞・雑誌などでよく宣伝しているのは、WindowsNTが動作するPCサーバーと呼ばれているものです。これの特徴を一言でいうと「普通のPCと同性能で、値段が10倍するパソコン」ということになります :-p
いや、もちろん冗談も入っていますけど、あながち嘘とも言いきれないです。サーバー機は、通常のPCと比較して、性能や信頼性が高い、と言われていますが、性能については、今時のPCは凄い性能を持っていますから、サーバー機だからといって特筆すべきほどのこともあまりなかったりします。まあ、マルチプロセッサやクラスタリングをやるとなればPCサーバーの方が有利でしょうけど、でもそれならUNIX機にしてしまう方がいいですし、普通はそうします。
信頼性については、さすがに通常のPCよりは高かったり、あと、メンテナンスが簡単だったりしますから、この点ではサーバー機の方が優れていることが多いです。でも、これだって物は考えようで、予備機を置いておいて障害に対処するつもりなら、安いPCを使ってもいいことも多いです。

というわけで、私自身、仕事でWindowsNTをサーバーに使う場合なんかに、あんまりサーバー機を入れよう、という気が起きません……もちろん、どうしてもそっちのほうがいい場合というのもありますが、何せ値段が高い。
ところが、これには思わぬ伏兵がいたりします。何かのシステムで使うためにコンピュータを入れた場合、通常はメーカーと保守契約というのを結びます。何かが壊れるたびに費用が発生する、という状況は、事前に予算を組めない、という問題があって、それなら保守契約で年間一定の金額を払って、それで保守してもらう方が、金銭的な面ではやりやすい。しかも、保守契約を結ぶことによって、24時間保守、なんてことも出来るようになるので、まあ、大概の場合は保守契約を結びます。
それでもまあ、我々が勤務しているところに設置してある機器なら、保守契約が無くても、我々が予備機から部品を取って交換する、なんてことが出来なくもないですが、全国に散らばっている客先に設置してある機器ともなれば、そんなことは言っていられません。
ということで、保守契約を結ぶわけですけど、もちろん自社のPCしかその対象にしてくれませんが、それも安いPCだと、自社のPCであっても保守契約の対象にしてくれなかったりします。すぐに壊れるので、保守契約なんか結んだらもとが取れないのではないか、などと勘ぐってしまいます。というわけで、泣く泣くサーバー機を導入せざるを得ない、なんてこともあったりします。
しかもしかも、導入したサーバー機には、自社の純正部品以外のものが入っていると保守しない、とも……まあ、保守する側からしたら勝手にへんなボードとか入れられていたら困る、というのも分からなくも無いですが。でもさあ、その「純正部品」のメモリとかハードディスクとかLANインターフェースの値段を見るとねぇ、秋葉原とかで買うのの十倍以上はするもんなあ。まあ、メーカー側としては、本体価格は安くして(でも高いけど)、こういう所で儲けを出しているんでしょうね。なかなかうまい商売をしているというか、なんというか。

server n. 仕える人、給仕人、侍者、(スポーツで)サーブする人

[前へ] [次へ]

[Home] [戻る]


mailto:lepton@amy.hi-ho.ne.jp