新・闘わないプログラマ No.466

充電


エネループという電池があります。三洋が1年ほど前から発売しているニッケル水素充電池の商品名です。
ニッケル水素電池は、ほんの数年くらい前までは各種携帯機器用充電地として非常によく使われていましたが、よく知られているように、

という欠点があります。たとえばデジカメの電池としてニッケル水素電池を使うときのことを考えてみます。継ぎ足し充電をするとメモリ効果により見かけの容量が減ってしまいますから、それは避けて、できるかぎり使い切ってから充電する必要があります。となると、最低でも2組以上の電池を用意しておいて、使い切ったら別の満充電されている電池と交換する、ということになるでしょう。
ところが、ニッケル水素電池には「自己放電が多い」という欠点もあります。すると「満充電されている電池と交換する」とは言っても、その電池を充電したのがたとえば1ヶ月くらい前だったすると、その間にかなり放電されてしまっています。デジカメを頻繁に使うのでしたら問題にはならないでしょうけど、たとえば、私のように月に一・二度使う程度の場合、次に使うときには電池がかなり自己放電されてしまっていたりするのです。
じゃあ、自己放電した分を使う前に補っておけばいいじゃん、と毎度デジカメを持ち出す前夜に充電しようとしてもそれは面倒ですし、またそれは継ぎ足し充電になってしまいメモリ効果が出てきてしまいまうという問題もあります。メモリ効果を起こさないようにするために一旦完全に放電を行ってから充電するという手があって、それを自動的に行う充電器もありますが、こんなことを毎度毎度やっていると時間もかかりますし、だいたいにして電池自体の寿命が短くなってしまいます。
このようにニッケル水素電池は非常に扱いづらい電池だったわけですが、自己放電・メモリ効果という欠点をかなり軽減したのが、このエネループという製品です。そういう意味では画期的な製品ということが言えると思います。
が、しかし、この製品、出てくるのが10年くらい遅かったような気がします。ニッケル水素電池にはいま挙げたような欠点があったため、世の中の携帯用機器のうち消費電力の多いものは、リチウムイオン電池を使うようになってしまいました。
私も、この製品が発表された当初、「おお、これはすごい電池だ。さっそく買って使ってみよう」と思ったものの「はて? ではいったいこの電池、買って何に使ええばいいんだ?」と思ってしまいました。いま、家で単3・単4などの電池を利用している機器のほとんどはリモコンです。あとは時計とか、とにかく大して電気を消費しない機器ばかりです。このような低消費電力の機器にニッケル水素電池を使ったところでいいことは何もありません。「1000回の充電に耐える」というエネループを、年に1回電池を交換するリモコンに使ったって、エネループの寿命が来るまで1000年もかかってしまいますし。

……って、今回はこんな話をするはずではありませんでした。「充電」とは言ってもそういう話ではなくてですね、今年の5月くらいに「今年はこの後充電期間にするぞ、原稿書きの内職は(雑誌連載の残りの分以外は)今年はもうやらないぞ」と宣言しました。
そんなわけで、本当は次の内職は来年1月以降にする予定だったのですが、諸事情により1ヶ月繰り上げてこの12月からまた始めることになってしまいました。で、気付いたらこの週末から12月なんですよね。月日が経つのは早い、というか、ううむ困ったぞ、というか。
だいたいにして「充電期間」宣言をしておいて、本当に充電したのか、自己放電しまくりだったんじゃないのか、その上メモリ効果で充電できる量がめちゃめちゃ減ってしまっているんじゃないか、とかそういう疑問もあったりして、そもそも何を充電していたのか、いま振り返ってみると……あはは。
などとごちゃごちゃと言っていても仕方ないので、机に座って書き始めようとしたのですが、ダメです、体が「原稿書きモード」になりません。やっぱり「充電」と称して遊び呆けていたのがよくなかったようです。さて、どうしましょ。

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