新・闘わないプログラマ No.333

こっちの話題も


以前、office氏が逮捕された件について駄文を書いたのですが、それならこっちの方もということで、例の47氏が逮捕された件についても思うところを書いてみます。
とは言え、逮捕されたのが先週の月曜日、もう一週間も経っていて旬が過ぎた話題のような気もしなくもないですし、すでにさまざまな意見が言い尽くされていると思いますので、いまさら私ごときが付け加えるほどのことも無いような気もしますが、まあ一応。
とはいえ、私自身この週末は出かけていたもので、金曜日あたりからの動き(特に47氏=金子氏支援の動き)はよく追いかけていなかったりします。大体にして日曜の夜になってこの文章をでっちあげているような状態だったりするわけでして、まあなんと言うか…。

さて私も、その47氏が作ったWinnyという「ファイル交換ソフト」に関しては以前言及したことがあります…いや、あれは単なるオチのネタに使っただけでして、あれで「言及した」などと偉そうに言えるような代物では無かったりしますが。
で、今回のドタバタを野次馬根性で眺めていて気になったのが、「P2Pという将来性のある技術が今回の逮捕によって、云々」とかいう論調です。5月14日の弁護団の声明文にも、

平成16年5月10日の金子勇に対する突然の逮捕は、Winnyというソフトがあたかも著作権違反をするための道具であり、Winnyの開発や頒布が著作権の幇助で有るという誤った理解の元に逮捕に至ったものであります。
しかしながら、Winnyは、P2P型ファイル交換ソフトであり、特定のサーバに負担をかけることなく効率良くファイルを共有化するために開発されており、今後のネットワーク化社会にとって非常に有用なシステムであります。

とあります。いわゆる「P2P」の(一般的な)将来性については私もよくわかってないところはあるのですが、Winny(というP2Pの1つの実装)に関しては、弁護団の言うような「今後のネットワーク化社会にとって非常に有用なシステム」というのはどうもねえ、と思ってしまいます。
少なくとも現状のWinnyネットーワークは、プロトコルをオープンにしない、プログラムのソースをオープンにしないという前提の上に成り立っているわけです。自分もWinnyネットワークに貢献する(データをアップロードする、他者にキャッシュされたデータを提供する)のと引き換えに、その貢献度に応じてダウンロードする権利がもらえるわけすが、この「引き換え」の部分をそのWinnyプログラム自身が行っているわけで、たとえばWinnyをオープンソース化してしまえば、「ダウンロード専用版Winny」(ネットワークに何も貢献しなくてもダウンロードし放題)なんてものも作られてしまうわけです。これではWinnyネットワークは成り立たなくなりますから、プロトコルもソースも非公開にせざるを得ないわけです。
じゃあ、プロトコルやアルゴリズムを公開して、なおかつWinnyのような仕組みを実現することは可能なんだろうか、と考えてみると…私にはいいアイディアが浮かびません ←ダメじゃん。何らかの意味での「サーバー」が存在して、そいつが全体を管理しているような形態だったらなんとかなりそうな気もしますが、Winnyのように中心にサーバーが存在しない、まったくのP2Pだと…。
特定の個人'今回の場合は47氏)が(非公開の)プロトコルを考えて、それに則った(ソースが非公開の)実装(今回の場合はWinny)を作って、それがそれなりに流行ったとしても、それはその「特定の個人」の手のひらでみんなが踊っているだけ、とも言えるわけで、それを「今後のインターネットに欠かせない、云々」みたいに言っても…と思ってしまうのも事実です。

と、まあこんなことを思っていたりするわけですが、こんな話ももうすでに随所で何度も語られているような気もします。でも今回は時間が無かったので、こんなので見逃してください(手抜き)。

[前へ] [次へ]

[Home] [戻る]


mailto:lepton@amy.hi-ho.ne.jp