新・闘わないプログラマ No.318

冷えると…


機械というものは、どれでも「動作保証温度」というのがありまして、通常の民生用機器なら説明書にたとえば「10℃〜35℃」とか「-5℃〜40℃」とかいうふうに載っているはずです。現実には動作保証温度を多少外れても動かなくなる事はないわけですが、特に熱に弱い機器などは、あまり高温下では使わない方が無難なのは言うまでもありません。PCなどはその「熱に弱い機器」に該当するわけです。いま私が使っているノートPCの動作保証温度はいくらなんだろう、と説明書を調べてみたところ「使用環境条件 5℃〜35℃」と掲載されていました。

さて、そのノートPCなのですが、ここのところなぜか調子が悪いのです。と言っても立ち上がった状態で使う分には何ら問題が無いのですが、Windows 2000の「休止状態」からの復帰が出来ない、復帰の途中でハングしてしまうことが頻発しました。
そういう場合は仕方が無いので電源を強制的に切って(電源スイッチ長押し)、再起動をして使っていたのですが、再起動さえ出来てしまえば、あとは何ら問題なく使えるので、ずっと、いったい何が原因かわからなかったのです。Windows 2000は普通に起動させるとすごく時間が掛かってしまうので、「休止状態」が使えないのはかなり不便です。いま、このノートPCの起動時間を計ったら、電源スイッチを押してから起動してディスクアクセスが無くなるまで4分15秒もかかってしまっています。
そんなわけで原因がわからず困っていたのですが、昨日、やっと原因らしきものが見つかりました。通常にシャットダウンしていた(休止状態ではなく)そのノートPCを立ち上げたところ、無線LANに繋がらないことが判明。どうにも繋がらないのでデバイスマネージャを見てみると、無線LANインターフェースのデバイスがどこにも見当たらない。「そんなバカな、無線LANインターフェースは本体内蔵だから、無いわけないだろう、もしかしてBIOSの設定で『Disable』になってしまっているのかも」とシャットダウンしてBIOS設定を見てみると、ちゃんと「Enable」になっている。仕方が無いのでもう少し調べてみようと、Windows 2000を再度立ち上げると、今度は「Wireless Embedded Card Model 0504」というのがデバイスマネージャに見えて、問題なく無線LANが使える。
その後、いろいろと検証してみた結果では、PCが冷えている状態では無線LANカードが正常に動作しないようで、電源を入れて少し経つと使えるようになることが判明しました。そういえば、「休止状態」の復帰が失敗するのは、いつもPCが冷えている状態のときだったような…たぶん、復帰のときに「休止状態のときには存在した無線LANインターフェース」が存在してないので、うまく復帰できずにハングするんじゃないかな、と(←状況証拠ばかりで、確証があるわけでは無いのですが「多分そうではないだろうか」ということで)。
しかし、「PCが冷えている状態」と言っても、大して寒くなるわけでもない横浜の、それも家の中に置いておいた場合(室温は15度以上はありそう)でもそうなるので、確実に「動作保証温度」の範囲内なんですけんどねえ。

そういえば、今まで「低温時の動作不良」という故障は結構経験しています。ありがちと言えばありがちな故障のようにも思えますし、ただ単に運が悪いだけなのかも知れませんが、結構それで修理に出した記憶があります…でもって、それでいつも不快な思いもしています。
「不快」とは何ぞや、というと、たとえば少し前に、PC内蔵用のCD-RWドライブがやっぱり低温時の動作不良(低温時にはCD-ROMドライブとしてすら使えない)で、メーカーのサポートセンターに持ち込んだときのことです。「検査をして明日連絡する」とのことだったので置いて帰ったのですが、翌日電話があって、こんなやりとりになってしまいました。

「お預かりしたCD-RWドライブですが、こちらで動作テストをしたところ問題ありませんでした」
「おかしいですね。私が使ったときには、15℃程度以下の低温時に明らかに動作不良を起こすのですが」
「こちらではまったく問題なく動作しましたので、そのままお使いいただいて様子をみていただけますでしょうか」
「どのような動作テストをしました? ちゃんと低温時の動作検証を行いましたか?」
「こちらでの検査基準に基づいて検証しましたが、現象が出ませんでした」
「いや、だから、温度が15℃以下の状態で検証したんですか?」
「いえ、そういう状況はちょっと作れないのでやっていませんけど、でもこちらの基準に基づいてやりましたので、検査に問題はありません」
「だから、低温時にのみ問題になるんですよ。その状況で動作確認をしてもらわないと現象は出ないのですが」
「いま申し上げましたとおり、私どもでは検査のための定められた手順がありまして、それに従って検査を行いました。ですから製品に問題はありません」
「だ・か・ら、低温時の検証はしてないでしょ? なんでそれをやらないで『製品に問題ない』って言えるんですか?」
「当社では、お客様の特別な環境において発生した問題点につきましては、申し訳ありませんが保証の範囲外とさせていただいております」
「特別な環境じゃないって。製品の説明書に『使用環境 5℃〜40℃』と書いてあるけど、室温15℃で問題が発生しているの。どうしてそういう状況でテストもせずに『問題ありませんでした』と言えるわけ?」
「いえ、ですから何度も申し上げているように、当社では、当社の基準に基づいて検査を…」(以下、話がループ)

このときには、仕方が無いので一旦持ち帰って「やっぱりダメです」とサポートセンターに持っていって、を2度ほど繰り返したあとに、代替品を借り出して(これがまた苦労した)、それなら問題なく使えることを説明して、「当社の検査では問題が無かった製品であるにも関わらず『特例』で」(向こうの担当者談)、交換してもらえることになったのですが、非常に苦労してしまいました(←私って、もしかして「クレーマー」?)。
同じようなやりとりは、この会社以外にもした記憶がありまして、まあ修理を行う場所は冬でも暖房が入っているから、低温時の検査が難しいのは確かなのでしょうし、そのあたりのことは理解できないでもないのですが、動作保証温度の範囲内で動作しないのはねえ。今回のノートPCを修理に出しても、また似たような展開になったりするかも知れないことを考えると、気が重いなあ……。

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