新・闘わないプログラマ No.317

eBook


何と言う呼び方が一番一般的なのかわかりませんが、いわゆる「電子書籍」というのがあります。あちこちでいろいろな試みが模索されている状態のようで、まだまだ「紙の書籍」と比較して利便性も普及度もまったく敵わないというのが現状でしょうか。私も、今までのところ紙になっていない形の書籍を読もうとは思いません。
とは言え、たまに電車の中でPDAを使って何か小説のようなものを読んでいる人をたまに見かけることはあります。私自身は、いまのところPDAを持ち歩く必要性をあまり感じてないので、それでどれだけ読めるのかはわかりませんが、やっぱり紙の本に比べるとまだまだなんだろうなあ、とは感じています。確かに、たとえば「青空文庫」とPDAを組み合わせれば、無料で(いやPDAの費用はかかるか…)昔の名作が読めるのは魅力ですが……あれ? でもそういう「名作」ってほとんど読んだことないかも知れない私。
他には、「ΣBook」という電子書籍に特化したものもありましが、規格を見るとどうもあまり発展性が無いように見えて、どうなんでしょうね、あれ。本を開くのと似たような使い方が親しみやすい、とも言えるかもしれませんが。あと、名前がアレだったり。

さて、前置きが長くなりましたが、拙著「アホでマヌケなプログラミング」電子書籍化されまして、先日発売されたようです。
これは、Adobe Reader 6.0(←「Acrobat Reader」の名前がバージョン6.0からこの名前に変更になったらしい)にある「eBook」の機能を使ったものです。基本的には、アクティベーション(後述)したAdobe Reader 6.0のインストールされているPCを使って、インターネット経由でeBookを販売しているサイトからダウンロードする形態です。ダウンロードしたeBookのファイルは、別のPCに持っていっても見ることができないようになっています。Adobe Readerのマニュアルを読むとPDAには持って行って読めそうな感じがするのですが、PDAを持ってないのでそのあたりは確認できませんでした。
で、そのAdobe Readerのアクティベーションという作業ですが、これが結構面倒くさい。まず最初にマイクロソフトの「.NET passport」とやらを取得する必要があります。この.NET passportとやら、名前は聞いたことがあったような無かったような、というわけでマイクロソフトのサイトで調べてみました。が、いまいちよくわからないですね、これ。シングルサインインを行うための基盤らしいのですが、どうなんでしょう、これ。
などと疑問を持ちつつも、とにかく私も内容確認をしないといけないので、試しに.NET Passportの取得から、Adobe Readerのアクティベーション、そしてeBookのダウンロードまでやってみることにしました。まず.NET passportとやらを取得して、次にAdobe Readerのアクティベーションを行います。なんだかよくわからないような操作をしてよくわからない表示が出て、どうやらアクティベーションが完了したようです。と言っても、Adobe Readerのどこをどう見ればアクティベーションが完了しているのか、またどの.NET passportのIDでアクティベーションしたのか、その辺がいまだよくわかっていません。

ダウンロードしたeBookファイルは、一見普通のPDFファイルのように見えます。しかし、試しに別のPCのAdobe Reader(アクティベーションしていない)で開いたところ、「ちゃんとアクティベーションしてがら見やがれ、ゴルァ」と怒られてしまいました(あたりまえ)。
まあ、こんなややこしい事をしないといけないのは、もちろん「著作権保護」というのがその理由の大半を占めているわけですが、しかしまあなんというか、もう少しなんとかならなかったものなのでしょうか。書店に行くこともなく、夜中であろうが休みであるろうが、24時間いつでも購入でき、すぐに読むことができる書籍、と言う意味では確かに便利かもしれません(通販だって、書籍を入手するまでには1日以上必要ですから)。
しかし、別のPCで見ることもできないですし、壊れてしまって別のPCに移行する場合には、ダウンロードしたeBookのファイルのバックアップが必要なのはもちろん、その他に面倒な「再アクティベーション」という作業も必要になるらしいです。調べてみたところ、Adobe Readerを開発しているAdobe Systemsのサポートに電話して「アクティベーションのリセット」をお願いする必要があるみたいです。そのときに「なぜアクティベーションのリセットが必要になったか」を電話口で説明する必要があるようで、いかにしてサポートセンターのおねえさん(じゃないかも)を言いくるめるか考えないといけない、というのも「なんだかなあ」と言う感じです。

さて、ダウンロードしたeBookの読みやすさについてですが、基本的にはAdobe Reader(Acrobat Reader)で文書を読むのと同じですので、ご想像いただけることと思います。eBookであることの利点は、制限があるとは言え、印刷できること(「アホでマヌケなプログラミング」では1日20ページまで、という設定になっています)、クリップボードにコピーできること(1日20回まで)、本文中の注釈番号をクリックすると注釈のページに飛ぶこと(要するにリンクされている)、などでしょうか。
これらが利点と考えられるのであれば、eBook版を購入するのがいいかと思います。値段は紙の書籍より出血大サービスの1割引(←おい)で買えますし。ただ、私がもし買うなら紙の書籍の方を買うだろうなあ、と思ってしまいます、いろいろな意味で……って、いいのかな、著者がこんなこと書いて。

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