新・闘わないプログラマ No.285

高級


ソニーが、「QUALIA(クオリア)」とかいうブランドで、いまいちよくわからん位置付けの製品を出すみたいですね。ソニーマーケティング株式会社のプレスリリース(2003年6月10日付)によれば、

感動価値の創造を目指す、人の心に訴えるモノづくりから生まれた
ソニーの “QUALIA(クオリア)” 4機種 発売

なんだそうですが、何を言っているのか私のような低級な人間にはよくわかりません。プレスリリース下の方を見てみると、

今回発売する各商品は、“人の心に訴えるモノづくり”を、技術・デザイン・設計・製造に 渡るあらゆる面で最大限に追求し、その販売・サービスなどまでを通じて“感動価値”の創造 を目指していくものです。
(中略)
弊社は、QUALIA商品の市場導入を通じて、人に感動与え、心に訴えるマーケティング& セールス活動を追求しながら、市場創造とお客様との新たなコミュニケーションの確立を 目指します。

やっぱり全然わかりません。ま、でも「人の心に訴えるモノづくり」なんだそうですから、その成果である商品を見ればはどんなものか解るかも知れない、と思い見てみると、

高い…。今ってもしかしてバブル期だったりしますか? まさか、給料が少ないのは私だけで、みんないっぱい貰っているんですか? もしかしてこれ、金額が一桁間違ってません?
無理すればなんとか手が出ないでもないのは「小型デジタルスチルカメラ 380,000円」くらいだなあ。レンズ交換式の一眼デジカメなんかはこのくらいするし、性能がよければこの値段はまあ納得が行くかも知れないなあ。どれどれ、どんなデジカメなんだろう、と見てみると…38万なんですか? これ。いやもちろん、スペックに表れない部分での、描写性とか操作性とか、そういうものはあるかも知れないですが。単純に「こっちのカメラはCCDが300万画素で、そっちのカメラはCCDが400万画素だから、そっちの400万画素のカメラの方がきれいに撮れる」などとは言い切れませんしね。単純にCCDの画素数という「カタログスペック」で画質が決まるわけじゃないですから。そういう意味では、38万円のこのデジカメも「もしかしたら…」という可能性も無くは無いですが、でもこの小ささだと、あまり期待を持てなさそうですね。このサイズだとレンズだってそれほどいいものが使えないように思えますし…どうせなら、はったりでCarl Zeissのレンズでも使えばよかったのに、と思いました。
まあ、このデジカメの38万が「高い!」と言う私のような貧乏人は、そもそもこのQUALIAとかいうブランドの購買層には初めから入っていないんでしょうから、メーカ側から見たらどうでもいいことなのかも知れません。私だって、文句をつけているわけじゃなくて、ネタにして遊んでいるだけですから…。
ただ、こういう商品が果たして商売になるのかどうか、というのは興味のあるところではあります。デジカメのような技術革新の激しい商品で、いかに高級感を出して「持つ喜び」みたいなものを持たせようとしても、あっという間に機能・性能面で陳腐化してしまうので、所有者の、その「持つ喜び」が持続するものだろうか、と思ったりします。数年でもっと高性能のものに買い換えるのが一般的な商品で、高級感だけで同等機能の製品の10倍の金額を出す人がどれだけいるんだろうなあ、と。
これが、技術革新がある程度済んだ、銀塩(フィルム)カメラの世界だったら分からなくもないですし、実際そういう商品は今までいくらでも出ています。中にはカメラのボディとレンズに金箔を張った金ピカの一眼レフカメラなんてのもありますし、初めから100本だけ作るためにコスト度外視で設計して製造されたレンズとかもあります。

いずれにしても、こんな商品が出せるのもSONYだからこそ、とも言えますね。どことは言いませんが、他社がこんな商品を出しても笑いものになるだけでしょう。そこは、それ「SONY」のブランドイメージのなせる技、とも言えます。
でも、昔のSONYと言えば技術力・先進性・独創性に裏打ちされたブランドイメージがあったと思うのですが、今はどうなんでしょ? VAIOというPCは売れているみたいですが、これに先進性・独創性みたいなものは、私は見出せないんですよね。「PCを使ってこんなことが出来るんですよ」という提案をし、新たな需要を掘り起こしてきた、という面では評価できると思います。しかし、結局は既存の技術を組み合わせてPCの中に放り込んで「SONY」「VAIO」というブランドで包み込んだだけ、とも言えるんじゃないかな、と思います。

ううむ、あまりコンピュータと縁の無い話が多くなってしまったですね。そうそう、ブランドイメージと言えば「Apple」、今はどうなのか、と言われると…まあ、その、ねえ。そういえば、数年前に、Apple創立20周年記念Macintoshなんてのが発売されましたね、日本では確か888,000円という法外な値段。あれ、結構売れ残ったみたいで最後は投売りされていたような…。

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