新・闘わないプログラマ No.231

しがらみ


仕事で何かシステム構築をするとして、ハードウェアやソフトウェアの購入やら、その他諸々で、いろいろなメーカやら業者を使うわけですが、このときどの業者を使うのか、どのメーカの製品を購入するのか、という選択基準は、必ずしも性能やら機能やら技術力やら費用やら、そういう合理的な基準で選んでいるか、というと必ずしもそういうわけではありません。
よくありがちな例としては、そのシステムの大本の発注元であるユーザ企業からの要請、というのがあります。特にそのシステムの発注元が大手企業の場合には、例えば「ウチは○○グループ(財閥系)なので、どうしても同じ○○グループである○○○の製品を使ってくれ」というようなことを要求される場合があります。
また別の例では、自分のとこの会社の系列企業を納入業者にする、ということもありますね。
一応、各メーカやら業者を公平に扱ったように見せかけて、実は選定する上でさまざまな資料を作る段階で、本命業者に有利になるような比較検討項目のみを載せたり、実際にはあまり重要じゃない比較項目(それはもちろん本命が有利な項目)をさも重要そうに見せかけて、最終的に本命業者を選定しても不自然じゃないようにすることもあります。あまりいいことでは無いとは思いますが、実際にはよくある話です。

さて、先日経験したのも似たようなケースでした。
お客さん(A社)の系列会社に、コンピュータ関連機器の取扱いや、コンピュータやネットワークの工事を請け負っている会社(B社)がありまして、機器の導入や設定、工事等は全部そこを通してやってくれ、という案件です。
で、その指定されたB社の営業とやりとりしたのですが…あまりに酷い。もう、向こうは自分のところが仕事を取れることは確定していると思っているので、なんと言ったらいいか、全てにおいていいかげん。だいたいこっちからメールを送っても読まれた形跡は無いし、かと言って電話をしても9割以上の確率で不在、折り返し電話を欲しいと伝えても掛かってきたためし無し。
見積書の作成を依頼しても、向こうが約束した期日に必ず遅れる、内容はこちらの要望をほとんど反映していない、見積書の宛名の会社名を間違える、挙句の果てに、他社に送る見積書が送られてきたことが3度ばかり…。
こっちとしてもまともに仕事にならないので、そのB社の営業の上司に言って、担当者を替えてもらおうと思ったのですが、B社とつきあいのある社内の人にそのB社の評判を聞いてみると、「担当営業を替えたってだめだよー、あそこは。もう『A社からの指定でうちを使うことになってるんだから、自分たちは仕事から外されることは無い』と信じきっていて、完全にナメてるんだよ。担当を替えたって無理無理」ということで、諦めました。
とにかく見積書を作ってもらうだけで言語に絶する苦労(←それはさすがに言い過ぎ)をして、なんとか機器の納入まで到達したのですが…またまた問題発生。納入された機器のソフトウェアが見積書と異なっていることが発覚。ううむ、さすがB社。ここでも期待に背かずやってくれるわ、とB社にクレームを入れると…「いえ、間違ってません」。
そんなバカな、といろいろ調べてみたところ、見積書にあった「品名:xxxxxxxx 注文番号:yyyyyy」という件のソフトウェアの「注文番号:yyyyyy」の部分が間違っていたことが判明。こちらは見積書の品名の部分しか確認していなく、B社は発注のときに注文番号だけで発注したために発生したトラブルでした。
でもって、B社の言い分は、「おたくがそのソフトウェアの注文番号を確かめずにうちに発注したから、そちらが思っていた製品が納入されなかった責任はすべてそちらにある」と言って、自分のところ(B社)には一切責任が無い、これで発生する追加費用も負担する意思は無い、と言い出しました。
いやまあ、こちらも見積書に書いてある品名と価格は何度も確認した(B社のことだから、何があるかわからん、ということで)のですが、注文番号は盲点でした。でも、こちらの手元には「品名:xxxxxxxx」の注文番号が何なのか、それを書いてある資料は無いんですけどね。製造元に電話して聞く、とかすれば分からんこともないとは思うのですが…なぜこっちがそこまで調べにゃならんのかいな、と。

その後もB社の担当者は、「そんなにクレームを入れてくるようならA社に言いつける」とか、「損害はあなた個人が弁償したらどうですか」とか、「うちはあんたのところとは取引したくないんだけど」とか、もう言いたい放題。
こちらとしては、見積書に書かれている品名の製品を、これまた書かれている数量だけ、ちゃんと納品してくれれば別に文句を言う筋合いもないのですけど…。あ、いやいや、メーカ直じゃなくて余計な業者が途中に入るから、そこでマージンはあるし、話が通じにくいし、あまりいいことはないんですけどね。
というわけで、B社さんと取引したくないのはこっちの方なんですけど…。

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