新・闘わないプログラマ No.205

認識


「あのさあ。買ったCD-Rが認識しないんだけど、何で?」

こんなメールを貰った私にいったい何が出来るというのでしょうか? 「買ったCD-Rが認識しない」? はあ…。
まあ、なにやら知らないですけど、とにかくCD-Rが使えない模様。とは言え、いったい何がどう使えないのか、状況が全く不明。メールだといろいろと聞き返すのは面倒だしなあ。「何がどうなっているのか、もうちょっと詳しく状況を説明せよ」ってなことを言ったって、あいつのことだから、どうせ「だからCD-Rを買ったの! でもいろいろやってみたけど、どうやっても認識しないんだよ!」ってな返事が返ってくるのは目に見えているし。
ううむ、やっぱり電話で聞くしか無いかなあ。でもこっちから電話するのも癪だよなあ。さて、どうしたものか…。
仕方ない、可能性のある状況を挙げて見ようか。

いくらでも可能性が出てくるなあ。こんなのメールで聞こうとしたら、フローチャートにでもして「以下の問いに答えよ」ってな感じにしないと対処方法すら分からんよなあ。ああ面倒くさい。どうしたものか…。

それはそれとして、「認識」って言葉、流行っているんですか? なんか随所で見かけるんですけど。「○○が認識しません」「やっと○○が認識しました」とか。Googleで「が認識しない」で検索したら4300件、「が認識しません」で検索したら651件。多いと言うべきか、少ないと言うべきか。
そもそも「CD-Rが認識しません」ってヘンですよね。「CD-Rが認識されません」もしくは「OSがCD-Rドライブを認識しません」って言うならともかく。あれ? でもそうでもないのかな? 「○○が認識しません」の「が」は主語を表す助詞ではない、という考え方もあるか。日本語の文法はよくわからん。
でもって、この言葉、別に専門用語でも技術用語でも無いから、人それぞれ、自分の判断というか思い込みで連発するもんだから、いったいどういう状況でその言葉が使われているのか全く分からない、という事態にいたることもしばしば。
特に、いわゆる初心者の人の場合、この言葉をかなり広い意味で使う傾向があるというか、なぜなんでしょ。とにかく自分の思い通りに動かないのを、全部「認識しない」の一言で片付けちゃったりして。
いや別に、この「認識」って言葉、使っちゃいけないとは思いませんけど、もう少し状況を限定して、その言葉がいったい何を意味するのか、ということが明らかな場面にのみ使って欲しいなあ、とか思ったりもするわけです。もしかして、初心者向けのパソコン雑誌なるもので、この言葉が沢山使われていて、それを見た人が無制限に使い始めて…などというパターンなのでは、と勘ぐってしまう私ですが ←いや、その種の雑誌はほとんど目を通したことが無いので、よくは分かりませんが。

ところで最初のお話、フローチャートにしたメールを書くのは手間ばかりかかって面倒なだけなので、何か納得の行かないものを感じながら、しぶしぶ電話した私。
「あ、あれ? 解決した。もういいや。ありがと」
ううむ、私のこの苦悩(?)はいったいなんだったんだ。この行き場の無い怒りは…。ええい、ここでネタにしてやれ。

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