新・闘わないプログラマ No.197

画像処理


通勤途中って暇なわけで、ついつい電車内の広告などに目が行ってしまうのですけど、最近、広告写真などに、明らかに不自然な写真を見かけることが多くなってきました。「不自然」とはどういうことか、と言いますと、どんな技術を駆使して撮影しようがそんな写真を撮ることは不可能だ、というようなものです。
まあ、昔から合成写真なんていう手はよく用いられているわけで、背景は屋外なのに、そこに写っているおねえさん(←じゃなくてもいいけど)に対するライティングは明らかにスタジオで撮られたものじゃねーかよ、とかそういうやつ。まあ、こんなのは、誰でもよくよく観察すれば、明らかに背景に対しておねえさん(←じゃなくても可)が浮いているのが分かるし、それこそ下手な合成写真だと、おねえさん(←じゃなくてもいいってば)に当っている光の方向と背景の光の方向が違っていて(影の付き方を見れば分かる)、おいおい、太陽が二つあるのかよー、と突っ込みたくなるのもあったりするわけです。まあ、表現手法として合成写真というテクニックを使うこともあるわけで、それが一概に悪いと言っているわけではありません。
あと、芝生がやたら毒々しい緑色をしている写真(←建売住宅の広告だったかな?)、「芝生ってこんな緑色の絵の具を塗ったような色してたっけ?」と思いつつよくよく見てみると、芝生の中にあるコンクリート製の側溝も緑色になっていて、あのさあ、そこのコンクリートって、周りの芝生と全く同じ緑色してるのかいな、とか、これまた突っ込みたくなったりします。

まあ、この辺は割と分かりやすい例なのですけど、他に、最近よく見かけるのに、写真自体は明らかに広角レンズで撮った人物写真なのに、背景が不自然なほどボケている、ってのがあります。
ご存知ない方のために簡単に説明しておきますけど、レンズには焦点距離ってのがあって、その値が小さいレンズが「広角レンズ」、大きいレンズが「望遠レンズ」と呼ばれています。広角レンズは、その名のとおり広い範囲を写すことができるレンズですし、望遠レンズは狭い範囲しか写すことが出来ないかわりに被写体を拡大して見ることが出来るわけです。
で、そのレンズの性質上、広角レンズで撮った写真は遠近感が強調されます(遠くのものがより遠く見える)し、望遠レンズでは逆に遠近感が圧縮されます。ですから、それなりに慣れた人が見れば、その写真がどの程度の焦点距離のレンズで撮った写真かだいたいわかる、ということになるのですね。
あと、レンズの性質として、望遠レンズはピントの合っていない部分は盛大にボケるのに対して、広角レンズはピントの合っていない部分もあまりボケません。まあ、実際には、これに絞り値が絡んでくるのですけど、まあ一般的な傾向としてはそういうことになります。
とにかく広角レンズでたとえばおねえさん(←じゃなくてもいいのに)を撮ったとしても、背景はそれほどボケません ←絞り値が小さければ多少はボケますけどね。でも、目の前の広告写真は明らかに広角レンズで撮っている(遠近感でだいたいわかる)のに、背景はあたかも超望遠レンズで撮ったようにボケボケ。ううむ、こんな写真を撮るためには28mm F0.1とか、そーゆーむちゃくちゃなレンズでも無いと撮れんぞ。というわけで…
「あー、Photoshopでいじった写真、見ーっけ」

もう10年くらい前になりますけど、私がそのときMacintoshを買った理由と言うのが、このAdobe Photoshopを使いたかったからに他ならないわけですけど、実際のところ、私自身、このPhotoshopが活用できるようになってきたのはここ数年のことでしょうか。
いや別に、昔のPhotoshopは使い物にならなかった、とかそういうわけではなく(そもそも、いまでもversion 4を使っているし)、昔からかなり完成度の高いソフトでした。
じゃ、何が問題だったか、というと、結局はハードウェアの方の性能が追いついていなかった、ということですね。遅いCPU(68040 25MHz)、少ないメモリ(16MB)、少ないディスク(240MB)、貧弱なビデオ回路(VRAM 2MB)のMacintosh、フィルムスキャナや写真画質のプリンタは個人で買うには高価すぎて手が出ず。
それが今はいい時代になりましたねえ、私が今までに掛けてきたお金の10分の1以下でほとんどの機材が揃ってしまいますし。当時と比較してほとんど安くなっていないのって、Photoshopの値段くらいか? ←Photoshopは相変わらず高いですねえ。

まあ、私の場合、写真は完全にシロートなんで、Photoshopを駆使していろいろと画像処理をやってなんとか見れる写真に仕立て上げる、なんてことをやっているわけですけど…って、あれ? よくよく考えてみたら実際に使っているPhotoshopの機能ってそんなに多くないような。一番役に立つといえば、スタンプツールかなあ。後ろに邪魔なおっさんとかが写っていたらスタンプツールで消してまえー、っていう利用法。
まあ、他にも、暗めの写真を明るくしたり、眠い写真のコントラストを上げたり、くすんだ色の写真の彩度を上げたり、ピンボケぎみの写真にアンシャープマスクをかけたり、といろいろな手法を駆使して、なんとか見られる写真に仕上げようと努力しているわけですが。
こういうことをやるには、Photoshopなどのフォトレタッチソフトはかなり便利なツールなわけでして、ついついそれに頼ってしまう傾向にあるわけですが、それより写真撮影のウデを上げるほうが先決ではないか、などと思ったりもするわけでして。
先日、道東の方に行って、まあ多少写真を撮って来たわけですが…ロクな写真がない。いかにPhotoshopと言えど、無い物を作り出すことは出来ない。

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