思ツタコト No.36

2000円札に関する考察


しかし、週1回の更新だと、なかなかタイムリーな話題は取り上げられないのですが、2000円札です。もう、この話題は、あちこちでこき下ろされていることと思いますので、何をいまさら、と思われちゃうところがつらいところですけど、しかしまあ地域振興券といい、お笑いのセンスはあるようですね、あの首相。経済効果がほとんど全く期待できない、ってあたりがなかなか……。
ところで、私は経済の方は全くの素人なんでよくわからないのですが、「2000円札を新たに発行すると、自動販売機等の改修のための需要が発生して、経済効果がある」などというような「経済効果」ってどれだけ意味があるのでしょうか。なんか、ただ単に無駄なお金を使わせようとしているだけに過ぎないような……。
たとえば、山奥の誰も通らないようなところに立派な道路を作るとか、誰も使いそうも無い不便なところに空港を作るとか、誰も使わなそうなソフトウェア開発を国家プロジェクトとして支援するとか(あ、これ禁句だっけ?)、確かに需要は発生するけど、でもなんか変な気がするんですよね。
たとえば、将来の経済活動のためのインフラを整備するためにお金を使う、というのならわかるんですけど、2000円札が出来たって、なんの足しにもならないですもん。

ま、そういう政治向きの話はとりあえず置いておいて、2000円札があると便利なんだろうか、などと考えてみます。今まで、札入れの中には1000円札、5000円札、10000円札の3種類が入っていたわけですが(いや5000円札、10000円札は入っていないことも多かったりして…)、これにもう1種類、2000円札が仲間に加わるわけですが、4種類もあると訳がわからなくなりそうですね。
そもそも私、「5」のつくお金が嫌いで、財布に入っていると出来るだけそっちを使うようにしてしまう人間なのですが、「2」などつくお金が出来たら、もっと嫌いになってしまいそうです。そもそもそんなもの必要があるんでしょうか。私なんかは、1円、10円、100円、1000円、10000円、だけで十分に思えるのです。

【問題】
次の数字の組は何を表しているか答えなさい。
1, 5, 10, 50, 100, 500, 1000, 5000, 10000

なんか、小学生のテストのような問題ですけど、こう言う風に数字が並んでいるものを「数列」といいますよね。数列というと、「等差数列」とか「等比数列」なんて言葉も出てきます。
あ、そこ、そこのあなた、いまいやな顔したでしょ? え? 数学が嫌いだったって? 大丈夫、私も嫌いだったから。
等差数列というのは、隣り合った数字の差が必ず同じになる数列のことですけど、等差数列になるような貨幣というのは、ちょっと考えただけで、使えないということが分かります。たとえば、1円玉があって、5円玉があると、次は9円玉で、その次は13円玉で、そのまた次は17円玉……。こりゃ使い物にならんですね。
貨幣の種類という面では、等比数列の方が向いているのです。等比数列というのは、隣り合った数字の比が常に同じになるような数列ですけど、いま「5」の付くお金をのけておくと、1円玉、10円玉、100円玉、1000円札、10000円札、ときれいな等比数列(隣り合った数値の比が10)になります。
ところが、ここに「5」の付くお金が混じると、この綺麗さがとたんに崩れてしまいます。

1円玉─(5倍)─5円玉─(2倍)─10円玉─(5倍)─50円玉─(2倍)─100円玉─(5倍)─500円玉─(2倍)─1000円札─(5倍)─5000円札─(2倍)─10000円札

「5倍」と「2倍」を繰り返す形になり、等比数列とは違うものになってしまいます。
ところが、ここで「2」の付くお金を導入してみましょう。

1000円札─(2倍)─2000円札─(2.5倍)─5000円札─(2倍)─10000円札

先ほどよりは等比数列に近くなりましたね。実は、「1」「2」「5」の繰り返しというのは、等比数列に近いので、案外便利なのです。そういう意味では2000円札というのは結構言いアイディアだったりするのかも知れません。外国でも採用されている場合がかなりありますし。
でもね、私は要らないです。10倍の等比数列で十分だと思っていますから。

そもそも、2倍の等比数列にこだわるのなら、やっぱり「2.5倍」なんていう中途半端は止めるべきではないか、などと思うわけです。え、どうするのか、って? やっぱりこうでしょう。
1円玉、2円玉、4円玉、8円玉、16円玉、32円玉、64円玉、128円玉、256円玉、512円玉、1024円札、2048円札、4096円札、8192円札、16384円札、以上。

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