我が家の実篤作品展


 「我が家の実篤作品展」、このタイトルから想像していたものは、家にある実篤の書画とか、実篤にかいてもらったもののエピソードとか、もっとほのぼのとした、かなり小さなものだった。
 それが、結果として、かもしれないが、いつもとあまり変わりのない展示になっていたように感じた。展示に貸し出してくださった(あるいは寄贈してくださった)もののレベルが高かったからかもしれない。まあ、同じような昔話ばかりがパネルになって壁面を飾るというのも、展示としては成立しないと思うが、今回は約60点の展示品のうち、1/3が個人蔵という珍しい展示だっただけに、バラエティに富んだものをちょっと期待していた。
 行く前の、こじんまりとした「お宝自慢」のような一種座りの悪い展示だったらどうしようという心配が、回避されたのがありがたくもあり、反面肩透かしにあったような気もしたりした。そのせいかあまり印象に残ったものがなかったか、会場でとったメモの中から紹介すべきものがない。読み返してみても、これまで知らなかった細かな事実が書き留めてあるだけで、あくまでも展示品・一次資料こそ紹介すべきだろう。しかし展示説明をそのまま引き写しても能がないし(そもそも説明文は記念館の著作物である)展示品リストも同様と考えるので、残念ながら内容については割愛させていただく。

 記念館の休憩コーナーから見える梅が三本とも満開だった。紅い大きな花をしっかりと咲かせていた。東の村から贈られたものらしい。幹がしっかりしていて、枝も力強くずんぐりとしている。記念館の人の心遣いか、野鳥用にみかんを半分に切ったものが枝に刺してあった。
 金曜日に東京は春一番が吹いて、その吹き返しでとても寒くなった土曜日。そのせいかニジマスが一匹も見当たらない。他に隠れる場所もないだろうにと思うが、ざっと見渡した限りでは一匹も見つからなかった。

(1997年2月22日見学)




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