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おめでたき日々

(2002年9月)


2002年9月30日

青空文庫、仮オープンのフォロー

●9月20日からミラー版青空文庫が体裁を新調して試験公開中である。さっそく武者組関係をフォローしてみた。

●大きな追加はなく、有島武郎の「クララの出家」と倉田百三「あわれなる廿日鼠」が抜けていたので、「電子化された白樺派」に追加しておいた。それから以前入力していなかったトルストイ著、森林太郎(鴎外)訳「パアテル・セルギウス」も追加しておいた。これは「神父セルギイ」と現在では読み習わされているようだ。実篤も読んだ作品だが、翻訳の良否はわからない。

●それ以外では、「入力中の作品」ということで、木下利玄「山陰の風景」「山遊び」、岸田劉生「美術上の婦人」、千家元麿「炎天」がリストアップされているのを確認。しかし青空文庫の「入力中」とはボランティアベースのため、一定の期間での完成が保証されているものではない。いつ公開されるかは気長に待つしかない。
●また、著者カードだけ作成されていて、入力中の作品もない著者として、児島喜久雄木村曙木村荘太岸田辰弥を確認。これらの顔ぶれを見ると、どうも著作権が切れたということだけに注目して台帳から抜書きしているように見える。それぞれ一般的に見て「これがなければ」「これを読みたい」という作品が思い当たらないのだが、どうだろう。没年だけに注目した扱いは、どうにも不快でいけない。

実篤と尾長

●つつじヶ丘近辺では尾長(オナガ)をよく見かける。文字通り尾が長く(色は黒)、羽根の一部が青いハトぐらいの大きさの鳥である。調べてみると中部以北の本州で一年じゅう見られる鳥だそうだ(参考:H.Hiraizumi's Birding Page 【野鳥辞典】など)。

●民家近くの大きな木に巣をつくるようで、以前実篤記念館近くの蔵のある旧家の庭でよく見かけた(もうマンションになってしまったが)。
●そこの尾長が代々行っていたわけではないだろうが、実篤の庭にも尾長がよく来たそうだ。実篤は池の鯉に、近所の農家からもらった蚕の繭をやっていたが、中のさなぎは庭に来た尾長にやっていたと書いている。そんなことから、私は尾長を「実篤の鳥」と勝手に決めてしまっている。

●今でも実篤公園には尾長が来ていると思うが、みなさんも尾長を見かけたらそんなことを思い出してもらえるとうれしい。
●昭和30年代まで、調布で蚕を飼っていたというのもすごい話だ。たしかについ最近まで近く(若葉町方面)に桑畑があったが、その名残りと思われる。

2002年9月7日

メールニュースとホームページの役割分担の見直し

●最近ホームページを中心に活動してきたが、これからは「情報」はメールニュース、「感想・意見」はホームページというように内容を分けていきたい。ホームページに情報を細かく載せていくことに時間を割いて、自分なりの考えをまとめることをサボっていることに気づいたからだ。
●これまでメールニュースには最新の速報性の高い情報を載せてきたが(TV番組や展示案内など)、これからは速報性にはこだわらず、白樺派全般に関する話題を提供していきたい。またホームページには、展覧会のレポートやある話題について考えたことなど、自分発の文章を少し時間をかけて書いていきたい。
●結果としてホームページの更新頻度は隔週かそれ以下に落ちるかと思うが、その分メールニュースが充実するはずなので、両方を見ながら引き続き「武者組」を楽しんでいただきたい。

講演会「実篤と光太郎〜自然の発見と思想の成熟」の感想(速報版)

●9月1日(日)に行われた講演会「実篤と光太郎〜自然の発見と思想の成熟」を聴講してきた。その感想を簡単に書いておく(詳しいレポートは別途まとめねばなるまい)。
●講師の米山禎一氏は実篤や光太郎だけではなく、志賀直哉や柳宗悦、平塚らいてうについて研究しておられて、講演の中でそれらも少し紹介された。内容としては、実篤と光太郎の思想形成をたどりながら、その共通点と相違点にふれ、直接的な交渉は少なかったが、根底ではお互いを「真人」として認め合っていたのではないかという話だった。
●用意された資料も17ページにおよぶしっかりしたもので、そのためか予定していた時間を1時間も超過して話を続けられた。じつは講演会の後、実篤記念館を見学する予定だったので、最後の方はかなりジリジリして話を聞いていた。
●パリでの光太郎の「神懸り」、実篤の「頓悟」、平塚らいてうの「見神」など、超越体験に注目した論説は興味深かったが、また自分でもいろいろと勉強しなければと思った。その点で新たなテーマを得た良い機会だったと思う。


●「人間萬歳」展はざっとしか見られなかったが、感想をまとめたので記念館のページに掲載しておく。
「石碑で見る武者小路実篤」に「貯金塚」を追加。来週例大祭。14日からの三連休が中心になりそう。
●明日は読書講座「三つの視角から『お目出たき人』を読む」(第1回)に参加予定。


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