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おめでたき日々

(2002年3月)


2002年3月17日

●規模の大小を問わず、展示会の情報はお役に立ちそうなので、これからも見つけたものは載せていきたい。今回トップページに載せた島根県立美術館の「土と炎の詩人 河井寛次郎2」は、展示室3(工芸)で開催されている小規模なもののようだ。同時に他の展示室でも別の展示が行われているので、館蔵品を時代順に展示しているのではないだろうか。webページを見ると今回は「戦後以降の河井ェ次郎の歩みを作品から紹介」ということらしい。

●書店で阿川弘之の『故園黄葉』(講談社文庫)(Amazon)が平積みになっていた。最近の随筆を集めたもので、先ごろ完結した新しい志賀直哉全集の内容見本への推薦文や、伊香保町立徳富蘆花記念文学館で行われた志賀直哉展の感想なども入っている。パラパラと読むのにはおもしろそうだ。1999年2月に単行本で講談社から出ている(Amazon)ので、そちらを図書館から借りてきた。

●桐朋学園があるせいか、仙川の古本屋には「悲劇喜劇」(早川書房)という演劇関係の雑誌が並んでいる。某図書館でバックナンバーを見ていたら、2001年10月号に気になる記事を見つけたので借りてきた。日色ともゑ「『馬鹿一の夢』で」がそれだが、宇野重吉の最後の舞台「馬鹿一の夢」でのエピソードが書かれている。病気で体が動かなくなっても、それを補う演出で馬鹿一を演じ続けた宇野の姿に胸を打たれた。
●同誌には吉永仁郎の戯曲「静かな落日−広津家三代−」が採録されている。広津和郎が主人公ということで読んでみたが、志賀直哉が出てきたのには期待外だったのでびっくり。こんな話し方をするのかなと違和感があったが、誰もその口吻を知らないわけだから再現したり、またそれを期待するのは無理なのだろう。そうおもしろい作品ではなかったが、再現ドラマでさらっと広津和郎らを概観するぐらいのおもしろみはあろうか。

●東京は3月16日に桜の開花宣言をした。観測史上最も早いそうだ。開花から1週間で見ごろと言われているので、すぐに花見の段取りをしなければいけない。私は東北で育ったので春の訪れがほんとうに楽しみだ。中でも桜はとても楽しみにしている。桜の時期になるとゆっくり花を見に行きたくて、うずうずする。
●実篤公園にもりっぱな桜が何本もあり、その満開の頃や花吹雪のさまはとても美しい。仙川駅から実篤公園に入ってくる角にもりっぱな桜があるし、仙川駅前には昨年伐る伐らないで論議を巻き起こした桜が、保存されて今年も春を待っている。実篤公園から狛江市方向に進むと野川沿いに桜並木もある。これもみごとだ。足を伸ばせば、神代植物公園には「神代曙」という珍しい桜も含めて多くの桜があり、酔客抜きでゆっくり桜を楽しめる。
●古歌にいう「たえて桜のなかりせば春のこころはのどけからまし」の心情にて、しばらくは過ごしそうだ。時間をつくれれば、満開の頃に実篤記念館「装幀の世界」展と公園に行ってみたい。

2002年3月10日

●メールマガジン「ミュージアム トピックス」No.205(2002年2月28日、INTERNET MUSEUM発行)に、実篤記念館の3月の催しが紹介されていた。毎号読んでいるが、実篤記念館が登場したときにはちょっとびっくりした。広く宣伝されて盛況になられればよいなと思う。

●神保町に行ったら、岩波ホールで記録映画「−元始、女性は太陽であった− 平塚らいてうの生涯」(2001年/2時間20分/自由工房作品)が上映されることを知った。上映期間は3月23日(土)〜6月上旬。実篤の最初の妻、房子は青鞜社にかかわりがあったし(あまり正統的な関係ではなかったように思うが)、富本憲吉の妻も青鞜関係だ。白樺と平行して時代を切り拓いていった同志的な見方を私はしている。
●ポスターは晩年の写真で、闘士というよりはやさしいおばあちゃんという感じだった。イメージではどうしても「青鞜」創刊のころの激しい印象があるが、長生きしていろいろ活動されたのだと思う。その辺をこの映画で見てみたいと思う。実篤は老人のイメージがあるし(これには新潮社『文学アルバム』で三田誠広が反逆を試みている)、おばあちゃん政治家といえば、私には市川房江がぴったりくる。イメージというのは勝手なものだ。

●年度末ということで忙しく、ホームページの更新やメールニュースの発行がむずかしくなっています。「便りのないのは元気な便り」と思し召して、桜のころまではあたたかく見守ってくださいませ。断片的でも情報発信はしていきたいと思っています。

2002年3月3日

●東京都近代文学博物館の最後の展示「東京文学散歩」を見学してきた。3月17日(日)までだが、見学レポートを登録しておく
●帰りに日本民藝館の前を通ったが工事中だった(〜4月8日)。修復後は大規模な記念展が開かれるようなので期待したい。

修復中の日本民藝館本館修復中の日本民藝館西館

メールニュースで紹介した産経新聞のバーナード・リーチの連載だが、3月1日(金)に終了した。もう少し具体的な作品についてふれてほしかったが、人物紹介が中心の記事だったのだろう。掲載日とタイトルの一覧は以下のとおり。

 
この国に生きて 異邦人物語(41〜46)
バーナード・リーチ(1〜6)イギリス(1887年〜1979年)
【東と西 巡礼の陶工】
  1. 偶然と本能とに導かれて (2002/2/24)
  2. 銅版画が呼んだ「白樺派」 (2002/2/25)
  3. 楽焼に見いだした「一生」 (2002/2/26)
  4. 「美しい用の器を公衆に」 (2002/2/27)
  5. 種まく人から「懸け橋」へ (2002/2/28)
  6. 美を追い求めた祈りの人 (2002/3/1)

●実際の新聞を見るのがいちばんだが、むずかしい場合は同社が提供している「ichimy(イチマイ)」というサービスで、文章だけは見ることができる。私は主にこちらで見ている。見るのための手順を簡単に紹介しておく。

  1. 「ichimy(イチマイ)」(http://www.ichimy.com/) にアクセスする
  2. ユーザ登録(無料)をする
  3. クリッピングのキーワードに「美術」を指定する
  4. クリッピングの結果を見る

●だいぶ前の記事までクリッピング可能なようだが、記事がなくなるおそれもあるので試されるならば早いほうが良いと思う。


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