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おめでたき日々

(2001年2月)



2001年2月25日

●3月27日のダイヤ改正で、仙川駅に橋本行きの快速が停車するようになる。このニュースは、フランク商会さんの「仙川掲示板」で教えてもらい、京王電鉄ホームページで確認した。最近新しい店が増えた仙川だが、これでまた便利になりそうだ。

●「文學界」3月号の本多秋五追悼文(小川国夫)は、個人的な交流についてのみ書かれていて、思想や論文へのコメントはなかった。残念。

2001年2月18日

「文學界」3月号(文藝春秋)の「白樺たちの大正八年」(関川夏央)を見てみると、「新しき村」の話に戻っていた。第二新しき村(宮崎にあったのですよ)設立の経緯など載っていたので、おもしろく読むことができた。
 しかしながらこの手の文章は読みやすく書かれているだけに、読み方には注意すべきだ。関川氏の文章は研究論文ではない。いちいち出典を明記していては文章として読みにくくなるから割愛している。調べて書いていることはわかるが、鵜呑みにしないと言うか、それらはポインタとしての利用にとどめ、必要に応じて一次資料にあたるべきだ。

●同誌の「その場所に文学ありて 高田博厚展」(田中眞澄)では、昨年11月に群馬県前橋市の煥乎堂で開かれた高田博厚彫刻展の様子が書かれていた。白樺派の人格主義との関係などが書かれていたが、高田は「白樺」の人々とは親しかったが、アウトサイダーだったと思う。的確な批判を残しているし、またそれは人生の大半をフランスで過ごしたということにもよるのではないかと思う。
 有島武郎も内在的な批判者と言われるが、それは彼のアメリカ留学が大きいのではないかと思う(他に年齢・世代的なギャップも指摘されているが)。武郎、有島生馬、梅原龍三郎、高田というグループと、実篤、志賀直哉、岸田劉生、千家元麿というグループを見比べたとき、それらの肌触りの違いを決するのは「洋行」という体験の差なのかもしれないと思った。「白樺」はゴッホやロダンなど西洋の芸術を日本に紹介したと言われるが、意外と西洋とは距離があったりするのではないだろうか。

Webで目次を見てから気付いたが、同誌には小川国夫の「本多さんと私 追悼・本多秋五」という文章が載っていたようだ。また立読みに行かなければ。

●文春文庫の新刊「にっぽん心中考」(佐藤清彦)には、やはり有島武郎の記事があった。それは予想の範囲内だったが、そのすぐ次の章の冒頭に、高山樗牛の「天に星、地に花、人に情」ということばを見つけた。実篤は色紙によく「天に星、地に花、人に愛」(最後だけ違う)と書いたが、その元ネタだろうか。よく読むと、続けて「死は美しい」「情死は更に美しい」ということが書いてあって、とても驚いた。今度樗牛のオリジナルを探さないといけない。

●もうひとつ立読みネタ。

洋泉社の「新書y」の新刊「この思想家のどこを読むのか 福沢諭吉から丸山真男まで」(加地伸行・小浜逸郎・佐伯啓思・西部邁 ほか)では、内村鑑三を山折哲雄が論じていた。
 それによると、明治維新で武士階級がなくなり、武士の子・内村鑑三は「何者でもなくなった」。それを回復しようと自分は何かを探して苦闘し、キリスト教を通じて自己発見を実現した。一般に言われている2つのJの相克は存在せず、ジーザス=自己発見=日本人(ジャパン)再発見と連なっているという。また、有島武郎や志賀直哉ら弟子の接近と離反の悲劇が描かれ、内村自らは弟子を求めていないのに集まり、彼らは失望して内村のもとを去る。弟子をとるに値しないと自ら宣言し、皆同列な無協会運動を始めるとあった。内村の最終的な境地を、回心=自然回帰=自己回復と山折は見ているが、神道系の彼の見方に近すぎると感じるものの、新しい内村像が提示されていると思う。
●なおWebで検索したところ、「正論」1998年4月号(産経新聞社)に「シリーズ/日本の思想家=論 第二回 内村鑑三の『二つのJ』 山折哲雄」とあり、これが元の原稿かもしれない。

2001年2月11日

「盆栽」メンテナンス中。メールニュースの紹介記事が少し古くなっていたので直したり(今よりメールマガジンが一般的でなかった頃の文章のため、くどくなっていた)、一部の文章のレイアウトをいじったり、2000年分のメールニュースを移動したりした。

●先日のオークションで話題になった岸田劉生「毛糸肩掛せる麗子肖像」は、住建美術館(広島県佐伯郡)で今年4月24日からの「ベストセレクション展I」で公開されるそうだ。ホームページは女鹿平(めがひら)温泉のサイトにあるので注意。

2001年2月4日

●メールニュースで連載していた「電子化された白樺派」を1つのページにまとめた。リスト化して情報も追加したので、だいぶ見やすくなったと思う。誤りや新情報があれば、ぜひ教えてほしい。

●高松市美術館の「マティスとモデルたち展」の情報はトップページに掲載したが、もう1つの展覧会情報は直接白樺派には関係ないので、こちらに載せておく。これは白樺派の作品の展覧会ではなく、白樺に近かった細川護立のコレクションの展示である。重要文化財の菱田春草「落葉」「黒き猫」や横山大観の名品などが展示されるそうだ。

細川コレクションと日本の版画 熊本県立美術館(熊本市) 1月18日(木)〜2月25日(日)

●フレッシュアイで検索してみると、柏そごう・美術画廊(タワー館9階)の「武者小路実篤作品展」(1月5日(金)〜9日(火))というのも出てきた。意外とあちらこちらでおもしろい催しがあるのかもしれない。


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