高田博厚『もう一つの眼』


『もう一つの眼』
高田博厚 著
蝸牛社 昭和51年4月29日

 彫刻家、高田博厚の芸術に関するエッセイ集。高村光太郎や武者小路ら白樺派と親交のあった人で、その人物評が目に入ったので手にとった。光太郎、尾崎喜八(『白樺』全盛期の描写が良い)、梅原龍三郎、柳宗悦のほかに、ロダン、ルオーら西洋の芸術家についての話も載っている。同郷人ということで、宇野重吉についても書いてあったのが嬉しい収穫だった。
 西洋と日本との違いというのが彼をとらえた大きな問題であり、彼が実際にフランスで過ごしてきた日々の重さを文章から強く感じた。人物評だけ読みかじろうとしていたが、その芸術論には教えられるところが多かった。「鉈彫りの美」など、その前に読んだ木喰・円空との連関で読むととても興味深い。たしか高田には武者小路の頭部の彫刻があったはずだが、もう少し作品や文章を見てみたい気になった。


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