THE ORIGINAL CASTE SOLO
(ザ・オリジナル・キャスト、ソロ)




DIXIE LEE INNES OF THE ORIGINAL CASTE ('72 Bell 6074)
グループ解散後のディクシーによるソロ・アルバムです。バラエティに富んだ作曲家陣にビックリさせられます。カントリー調ですが、全体的に落ち着いたムードのアルバムです。ストリングスのアレンジで、ペリー・ボトキン・ジュニアが参加しています。余談ですが、このジャケット・デザイン、スケッチ・ブックのような紙質に、暖かい黄色と柔らかいロゴが使われており、これは僕が学生時代に同人誌の表紙を作成する際に好んで使っていた手法でして、非常に共感が持てるものなんです。
タイトル 作者 コメント
A-1 Propinquity
(I've Just Begun to Care)
Michael Nesmith モンキーズのメンバー、マイク・ネスミスの曲で、彼らのファンである僕には嬉しい選曲です。パーカッションのおかずが一杯つまっているのも楽しいし、何しろこの傑作曲をディクシーの声で聴けるって言うのが、この上ない喜びです。
A-2 Black Paper Roses Belle Gonzales ディクシーのオーバー・ダビングも聞ける、ポップ志向の強い爽やかで素敵な曲です。シングル・カットもされました。
A-3 Too Much Rain Carole King - Toni Stern なんとキャロル・キングの作品を歌っています。気のせいか、キャロルが歌っているように錯覚したりするほど、やはりキャロル・キングは偉大な感じがします。
A-4 Hymn Gold - Mason - Stookey ピアノをメインにした静かな曲です。ストリングスやパーカッション、エレキ・ギターが効果的に絡み、独特の浮遊感を漂わせます。
A-5 Friends with You Bill Danoff - Taffy Nivert 寂しい感じで始まりますが、カントリー調のギターを中心とした明るいメロディに転調し盛り上がります。
B-1 Four Strong Winds Ian Tyson 落ち着いたメロディーで、深い味わいを持つ曲です。6分近い大作になっており、ディクシーがスキャットで歌う後半も、十分な余韻を残してくれます。
B-2 Seems Like a Long Time Ted Anderson タイトルの繰り返しが印象的なポップ・ソングです。ディクシーのオーバー・ダビングが冴えています。
B-3 The Dolphins Fred Neil フレッド・ニールの作による穏やかなバラードで、6分を超える大作です。A2とのカップリングでシングル・カットもされましたが、その際には後半のスキャット部分がカットされました。
B-4 Sing Children Sing Lesley Duncan 明るく親しみ易いポップ・ソングです。伸びやかに歌うディクシーの歌声はやはり魅力たっぷりです。途中、挿入されるペリー・ボトキン・ジュニアのストリングスや迫力のドラムスも光っています。
B-5 Nous Vivons Ensemble
(We've Got to Stay Together)
Gordon Lightfoot オリジナル・キャストのデビュー曲も、同じくゴードン・ライトフットの曲でした。もしかしたら原点回帰的な気持ちもあったのかもしれません。子どもたちとのアンサンブルで、ラブ&ピースを感じさせます。


SCARLET AND GOLD ('74 Denali SGLP-1001)
カナダの歴史を綴ったアルバムと思われます。全11曲中、7曲をブルース・イネスがプロデュースしており、うち1曲をディクシーが歌っています。レコーディング・スタジオはCenturyUスタジオで、「バック・ホーム」作成前後に収録されたものと思われます。
タイトル 作者 コメント
B-3 Blue Water Marc Jordan 飾らないディクシーのソロ・ナンバーです。これも捨てがたい、美しいバラードです。イントロで、「天使の兵隊」のようにドラムスがマーチを刻むので一瞬ハッとします。



CHINOOK / DIXIE LEE INNES ('77 PLP R-62941)
ディクシーの2枚目のソロ・アルバム。意外にもかなり力の入った作品になっています。時代の流れをうまく読んだ…というより取り入れたアルバムで、アレンジにも幅があり、聴き応えがあります。惜しむらくはどの曲も短すぎること。短く完結している曲はまだしも、フェード・アウトしてしまう曲には思わず「あ〜」と声が出てしまうようながっかりを味わいます。もっと聴きたいのに! それにしても、いつ聴いてもディクシーの声はいいです。活躍の場が余りに少なかったことは、本当に残念でなりません。このアルバムも僕はまだ持っておらず、友人の協力で紹介させていただいております。
タイトル 作者 コメント
A-1 Watch Me Fly Peter F. Clarke - Bruce Innes いきなりソリッドでダンサブルなロック・チューンで始まり、今までのディクシーのイメージを覆されます。この時代といえばディスコ・ブームで、その流れに乗った一曲といえるでしょう。ディクシーのパンチの効いたボーカルは健在で、あらゆるタイプの曲での可能性を感じさせます。シングルとしても発表されました。
A-2 Just A Little Love Peter F. Clarke - Bruce Innes 可愛い感じのポップ・ソングです。ヘレン・レディの「キープ・オン・シンギング」あたりを彷彿とさせる優しい曲です。A1とのカップリングでシングル発売されました。
A-3 You Gotta Shake It for the People Peter F. Clarke - Bruce Innes ファンキーなホーン・セクションで始まるブギ・ウギ・ソングです。このイントロ、僕の世代では「帰ってきたウルトラマン」のサントラを思い起こさせます。ホーン・セクションやピアノがスウィングする楽しい曲で、思わずウキウキしてしまいます。
A-4 Spain Peter F. Clarke - Bruce Innes シングル・カットされたB-2にも通じる、ちょっと哀愁を帯びた、異国情緒あふれる佳曲です。短めにフェード・アウトしてしまうのがなんとも惜しい!
A-5 Rock and Roll Peter F. Clarke - Bruce Innes エコーを利かせたギターをメインにフィーチャした硬めのロックです。これもフェード・アウトが早すぎる〜。最後は少しジャムってみればいいのに。
B-1 When I First Fell in Love Peter F. Clarke - Bruce Innes 優しいコーラスがいい味を出している、オールディーズ調のきれいなバラード。これもどこかで聴いたようなメロディー・ラインで、懐かしさを感じさせます。
B-2 Queen of Colby, Kansas Peter F. Clarke - Bruce Innes シングル・カットされた、哀愁感漂うポップ・ソングです。乾いた感じに仕上がっています。間奏のストリングスのアンサンブルが印象的です。
B-3 Losers Get the Blues Peter F. Clarke - Bruce Innes ディクシーの多重録音で、非常にパワフルなコーラスが聞けます。マイナー調ですが、快活なテンポのポップ・ソングです。
B-4 Sea of City Life Peter F. Clarke - Bruce Innes B2とのカップリングとしても発表されました。ディクシーがしみじみと、そしてのびのびと歌う佳曲です。
B-5 Take It Off Peter F. Clarke - Bruce Innes 粋なピアノが聴き所でしょう。ホーンとストリングスは抑え目ですが、締めの一曲らしく、よくまとまっています。



BEST OF THE MUSIC-TORIALS / BRUCE INNES with Introductions by Terry Spence
('81 Bruce Innes Music 3897)
ブルース・イネスのソロ・アルバムです。とは言っても、これも市販されなかったプロモーション用、放送用音源のようで、レコード・ナンバーも盤面にエッチングされているだけです。ブルース・イネス・ミュージックから配信された、ヒューマン・コメディのアルバムで、全曲ブルースが自作し、ギター1本で弾き語りをしています。また、報道ディレクターのテリー・スペンスが各曲の頭で曲紹介をしています。英語力があれば、こういうアルバムももっと楽しめるのにと、つくづく悔しく思います。
タイトル 作者 コメント
A-1 Canada Turn Around Bruce Innes 争いのないカナダを祈る曲のようです。
A-2 Computer Dating Bruce Innes ブルースが低音で渋く歌います。この時代にしては、一足早くコンピュータの話題を先取りしてるのかな?
A-3 November Sale Bruce Innes このアルバムでは珍しくピアノがフィーチャされています。ハロウィーンからクリスマスにかけての季節を歌ったバラードです。
A-4 Chargex Bruce Innes 調子のよい曲です。Chargexは造語かもしれません。
A-5 Dishwashers Bruce Innes 楽しい皿洗いの歌です。
A-6 Bus Passes Bruce Innes きれいなメロディーの曲ですが、かなり崩して歌っています。途中バスを降りるブザーが挿入されており、ビックリします。
B-1 Harry Truman Bruce Innes - Barry Bowman このアルバムで唯一、共作となっています。個人名がタイトルとなっており、なにやらドラマがありそうです。
B-2 B.C. Tel Bruce Innes タイトルのB.C. Telとは電話会社名のようです。
B-3 Kamakaze Bus Bruce Innes Kamakazeって、もしかして「神風」がなまったもの?
B-4 Drugs Bruce Innes ドラッグについて歌っていて、コカインとか出てきます。しゃっくりするのも面白い趣向です。
B-5 Translators Bruce Innes 言葉の壁、通訳についての歌です。最後のほうでは面白いことになってるようです。
B-6 Baby Claire Bruce Innes この曲のみ、テリーの曲紹介がありません。きれいなクリスマス・ソングです。



SINGLES

写真 発売 レーベル タイトル 作者 コメント
? Sotan S-1005 Come to Me Mel Shaw ナント! ディクシーがディクシー・リー・ストーンと名乗っていた頃のソロ音源です。この曲は60年代らしいシンプルなガール・ポップスで、バディ・ホリー調です。まだまだ幼く、荒削りながら、みずみずしい声を聞かせてくれています。彼女は将来を期待されたガール・シンガーだったということですが、まだブルースとも出会う前のことでしょうから、オリジナル・キャストのリード・シンガーとして歌うことになろうとは夢にも思っていなかったでしょうね。
That's How Sad Things Go - -
'72 Bell 45,230 Black Paper Roses Belle Gonzales ディクシーのソロ・アルバムからのカットで、とても爽やかなカントリー・ポップスです。シングル・ミックスのほうがボーカルが際立っています。
The Dolphins Fred Neil アルバムでは6分に及ぶ大作でしたが、ここでは4分弱に編集されています。フレッド・ニールのペンによる、おだやかな気持ちになれるバラードです。
'72 Bell 45,273 Nous Vivons Ensemble
(We've Got to Stay Together)
Gordon Lightfoot これもディクシーのソロ・アルバムからのカットです。これもアルバムの中では5分を超えていましたが、4分弱に編集されています。子供たちとのアンサンブルが、やさしいディクシーの声と相まって、ラブ&ピースを感じさせます。写真はカナダ盤(BELL 44000x)です。
Propinquity (I've Just Begun to Care) Michael Nesmith モンキーズのメンバー、マイク・ネスミスによるカントリー・ロック。数々のパーカッションを駆使して、聞いて楽しい作品になりました。
'76 Chelsea CH-3050 Back in the Bar Room Again Bruce Innes ディクシー・イネス名義(「リー」がない)で発表されたソロ・シングルです。カナダの放送用LPに収録されているオリキャス盤とほぼ同一のアレンジですが、ストリングスが加えられ、より重厚感が増しています。
- - 僕の持っているプロモ盤は、同一曲がステレオとモノラルで各面に収録されています。市販用のストック・コピーは "I Love the Country" あたりがB面なのかもしれません。
'77 PLP R 6302 Watch Me Fly Peter F. Clarke - Bruce Innes ディクシーの77年のソロ・アルバム "CHINOOK" の1曲目にも収録された、ディスコ調のパワフルな曲です。いままでのディクシーのイメージからすると、ちょっと意外な曲ですが、見事に歌いこなしています。
Just a Little Love Peter F. Clarke - Bruce Innes 可愛い感じのポップ・ソングです。ヘレン・レディの「キープ・オン・シンギング」あたりを彷彿とさせる優しい曲です。
'77 PLP 457705 Queen Of Colby, Kansas Peter F. Clarke - Bruce Innes これもディクシーのアルバムからのカットです。ブルースらしい叙情的な曲作りです。
Sea of City Life Peter F. Clarke - Bruce Innes こちらもA面に負けないくらい叙情的で、いい曲です。


Special Thanks to Yasushi Takamizu & Isao Sasaki