初めてのパリ

突然の知らせ

それは 2003年4月14日の朝のこと。 愛車 Twingo の面倒をいつも見てもらっているディーラーの店長から掛かってきた電話が始まりだった。

「わださん、実はですね…」

何だか深刻そうな話し方に聞こえたから、リコールか何かかと思ってしまったが、

「わださんに パリの旅行が当たったんですよ。」

「えーっ?」

「その『えー』なんですよ。それで、参加するかしないかを 14日までに返事しなきゃいけないんですよ。」

何もかも唐突すぎる話である。

この日に分かったのは以下のことだけである。

さあ、弱った。実はこんなキャンペーンに応募した覚えがなかったりする。 多分、クラッチ交換 の修理でもしたときに、 店長さんから 「パリの旅行が当たるとかやっていますんで、名前だけ書いといて下さい」 とか言われて、余り深く考えずに記名してしまったんだろう。 そういえば、 「駄目で元々、運試し…」とかいいながら名前を書いたような気もしてきた。

しかし、全く唐突な話とはいえ、こんな話、辞退するには勿体なさ過ぎる。 だからといって、何れの日程でも最短で 4日は会社を休まなければならない。 行くとしても、実は海外に行った経験が全くないので、 初めての海外旅行に一人で行くのはかなり不安である。 だからといって、そんな長旅に一緒に行けそうな人はちょっとすぐには思い付かない。 取り敢えず、ちょっと考えさせてもらうということで電話を切った。 さぁ、どうしよう。


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