朗読劇 『秘 密』  レポート 

2001年のイブに行われた、朗読劇『秘密』。秀幸さんと、豊嶋真千子さんのお二人で上演され、舞台はとても素晴らしいものになりました。ここでは、私の『秘密』観劇のとっても個人的な感想と、会場のアイピット目白へと辿り付くまでの苦難の道のり(笑)を書いて見ました。当日は、このHPに来て下さる方が多数参加して下さった『お花企画』で注文したフラワースタンドもちゃんと届いており、管理人大感激でございました。後日、秀幸さんご本人からお手紙で当HPへいらして下さる皆様宛てにメッセージも戴きました。お花の写真、秀幸さんからのメッセージにつきましてはこちらからどうぞ!

今だ感動の嵐!!ですが…ここはひとつ、冷静になれ自分!という感じでレポートをします!ってももう感情垂れ流し状態になるのは目に見えてますが…(笑)

まずは23日。朝5時起床。前日2時半頃まで眠れなかったというのに(^^;; でもこの時間に起きないと身支度も出来ないんだから仕方がない!(丹波哲郎風に)ってコトでもそもそと起き出して歯磨きしたり顔を洗ったり。そうしていると少しずつ目が覚めてきました。前日用意した荷物をチェックし(それでもカメラを忘れるというおおボケをかましてしまうのですが)、いよいよ出発!…の前にネットに繋いでおこう〜、と、6時50分頃に掲示板の巡回とメールチェックを。終わってから改めて出発。

外に出ると今にも日の出か!?という感じの明るさ。日差しが少しずつ差し込み始める中、駅に向かいました。とんでもなく寒い〜。でもこんなの序の口だよなぁ〜、きっともう雪がスゴイところも沢山あるだろうしな、なんて思いました。駅に着くと、丁度急行が来ていたので乗り込んで着席。休日だからすいてましたやっぱり。約15分程で天王寺に到着。天王寺からは地下鉄御堂筋線で新大阪まで移動。新幹線のホームへ向かい、ここで姉&妹と合流。前日にパーマかけたので「うわ!どこの人かと思った!」とビビられる…とほ〜。合流してからおみやげなど買い込みましたがまだ出発までには時間があったので、カフェに入ってお茶しました。

新幹線のホームへ上がると風が強くて寒い!吹きっさらし状態!
「ぎゃおう〜!寒い〜!」
「日のあたるとこへ行こう!」
と大騒ぎ。関西人はホンマ寒さに弱いです(笑)暫くして9時をまわり、私達が乗る新幹線がホームへと入ってきました。席につき、喋っているとまたとーとつに出発。新幹線ってまもなく発車します〜とかって言わないんですねぇ〜。うーん。なんで?

今回は、「とりあえずちゃんと富士山を見よう!!」と(笑)前回(アンジェリーク・メモワール2001 in 横浜)の反省も含めて静岡に入ったら注意しておかなくちゃ、と妹と言ってたのですが。幸い天気にもめぐまれて、視界もクリアな中、富士山を無事見ることが出来ました!!すっごい!ですねぇ〜!とにかくデカイ!!なんかもう裾野の広さがハンパじゃないです!さすがに日本一だ〜。参りました!写真で見るのとは大違いで、これは見る価値ありだと思いました。一度は見とかないと日本人として損かも知れないな〜みたいな。

そうこうしているうちに東京駅へと到着。12時過ぎだったので、チェックインはまだ無理だろうけれどとにかく荷物が重いので預けようと思い、宿泊地の田原町へと向かい、ホテルに荷物を預けました。ここからは姉&妹とは別行動になり、この日お会いしてご一緒させて頂く予定になっていたYannさまの携帯へと連絡。青二プロの事務所を一目見ましょう〜なんて言ってましたので、南青山へ行く予定だったのです。で、Yannさまの宿泊地が青山だったものですから私の方が移動して、銀座線で青山一丁目まで移動。改札を出て携帯で連絡。至近距離で声が聞こえました(笑)で、やっとYann様とお会いできて、自己紹介などしてから「どっかで食事でも…」ということになりました。もうお昼どころか2時近くでしたのでお腹も減ってましたし(^^;; で、パスタなど食べつつおしゃべり。食事を済ませ、いざ南青山へ。イチーズビルを目にした時は感激でした〜。ここに秀幸さんが来られたことがあるのね!この通りを歩かれたことがあるのね!などといろいろ思いがめぐりました。で、Yann様が写真を撮って下さり、ひとしきり眺めたあと、また移動。次の目的地は神楽坂・アオニミュージアムでした。地下鉄を乗り継いで神楽坂駅を出て、ちょっとパニクる私(^^;; 「あれ、確か出てすぐ横断歩道なかったっけ、新潮社の看板があったんじゃ…角の花屋さんが…」…そうです、私は出口をおもいっきり間違えてしまい、ひとつ遠い出口から出てしまったのでした。しかしっ。結構、一度行った所は忘れない私は必死で記憶を辿り、なんとか花屋さんのある角まで来ました(なんつって、実はそんなに距離はないんですけれどね(笑)おおげさ…)。あとはミュージアム目指してひたすら歩き。右手に東映の事務所なんか眺めつつ歩いて、ミュージアムが見えるあたりまで来ると、何やらミュージアムの前は人だかり。私はイヤーな予感が走りました。…その日は、ミュージアムで「零・不死鳥」のトークライブがあったのです。神奈さんと緑川さんがお目当てのお嬢ちゃん方が並んで入場を待っていたのでした(^^;; 「しまったーっ、下調べしておけば良かった!」と大後悔(^^;; 当然ながらチケットがないと入れません。あーあ、しょうがないですね〜、と諦めてYannさまと私は引き上げました。

その日は大塚明夫さんのファンサイトの管理人で、パソ通時代からの結構長いお付き合いになる琉那さんともお会いする予定で、待ち合わせは6時。それまではまだ時間が結構あったので、とりあえず歩き疲れたし、東京駅の近辺で一休み。待ち合わせ場所が東京駅構内の「銀の鈴」だったので近くで休みましょう〜、とカフェに入りました。(しかし東京はどこも料金高い!ジュース一杯で\750もするとは…場所代も含んでるんでしょうけども…それに注文を聞きに来るまでが遅い!注文を告げてからのあの妙な間はなんだ!関西では考えられないことだったので相当面食らいました。注文を言ってから何故一拍間があるんだろう…?すぐ返事が返って来ないと、イラチ(せっかち)な関西モンは「…あの、無視してる?」と思ってしまうのでした。)まぁ、それはさておき(^^;; ここでも二人で秀幸さんの話や声優さん関係のお話でめちゃくちゃ盛り上がり、気付くと結構いい時間になっていたので、琉那さんとの待ち合わせ場所へと向かいました。

銀の鈴へと着いて、6時少し前に琉那さんの携帯へ連絡。「今着きました〜」とのお返事だったので「鈴の横にいます!」と場所を告げて待ちました。琉那さんとはネット上では何度となくお話していましたが、仲良くして頂きはじめて5年くらい経ってからの初対面だったので、結構感慨深いものがあった出会いでした。時間的にもここはごはんを食べつつ、って感じかなということになり、大丸のレストラン街にある中華料理店へと入って注文をして、とりあえず乾杯しましょーか、と飲み物が来た時点で乾杯。ここでは公認サイトさんを管理されている琉那さんからとっても興味深いお話を沢山聞くことが出来ました。やっぱり公認って看板があるといろいろ大変なんだなぁ〜。と実感。琉那さん、頑張ってね!

食事も落ち付いたので場所を変えてもうちょっとお喋りしましょー、ということになって、カフェへと場所変え。ここでは何故か他の声優さんの話が多かったような(笑)あと明夫さんのお写真とかも見せて頂いて「いいなぁ〜」と、Yannさまと二人でひとしきり羨ましがってしまいました(^^;; でも私も年賀状とか持って行ってるし(爆)ニフティにいた頃の話題など、懐かしい話も出てここでもかなりの時間お喋りしてしまいました。

10時半を過ぎて、「明日に備えてそろそろ寝ておかなくては」ということになり、その日は皆宿泊地へと向かうことに。でも三人とも方向バラバラ(笑)琉那さんは高円寺、私は田原町、Yannさまは青山。琉那さんはJRで移動だったので東京駅でお別れでした。次はいつお会い出来るかわからないので寂しかったのですが、「また機会があったら是非お会いしましょう!」とお約束して手を振りました。その後Yannさまと二人で丸の内線を目指して移動。銀座で乗り換えで、私は浅草方面、Yannさまは大手町で乗り換えだったのでその日はそこでお別れ。疲れた〜。ホテルに着いて、お風呂に入って就寝。

さい。いよいよ24日。今日が本番です。上京直前のメールで、Yannさまと二人で何かクリスマスプレゼントをしようと決めていたので、まずはプレゼントを選ぶために再び大丸へ。ちょうどギフトものが沢山取り揃えてある時期なので小物とかいっぱい目に付いたのですが、その中でバースディカクテルをモチーフにした素敵なピンズがありまして、見てみると秀幸さんの誕生月の11月のカクテルは「マティーニ」。キング・オブ・カクテルと呼ばれる超有名なカクテルではありませんか!これはいい!ということで結構即決!って感じで購入。続いて添えるカードを選びに文具が置いてある階へと移動。それぞれカードを選んでメッセージを書くためにブックカフェへと入り、コーヒーを飲みつつカードにメッセージを書きました。次にラッピングを選んでカードとプレゼントを包み、プレゼントは完成。次は花束を用意するためと、昨日の雪辱を果たす為(笑)再び神楽坂へ。花束を注文しておいて、出来上がるまでの間ミュージアムへ向かいました。

しかしっ。オープンするはずの12時を過ぎても開かない…おいおい〜。そんなんでええんかい!とツッコミ倒していると、暫くしてやっとオープン。心の中で「ちゃんと仕事しようぜ!」と叫んでしまいました。店舗としてダメダメでしょう、定刻に開かないなんて。ねぇ?
展示物と写真などを見てまわり、Yannさまはミュージアムは初めてとのことでしたので、貸し出してくれる音声が入ったプレーヤを借りて聞かれてました。展示物は、私が前回来た時とほぼ同じ。そんなに見るものもないので10分ほどでミュージアムを後にしました。神楽坂の駅へ向かい、朝から何も食べていなかったのでマクド(関東ではマックなんですよね?マクドナルドです。「マックゆーたらパソコンちゃうんかい!」などとベタなツッコミを入れたりしましたが…)で大急ぎで食事。その後花束を受け取り目白へと向かいました。結構時間が迫っていたのでタクシーに乗ったのですが、運転手さんが地理に明るくない方だったので迷う(^^;; あう〜、時間がないのに!!と焦ってしまいました。でもなんとかアイピット目白のある通りまで到着。通りに入ると既に豊嶋さんファンと思われる男性陣の列が!きゃ〜っ、もう並んでる!!と慌てて列の最後尾に。並んでいる間にあおなさんとお会い出来てホッとしました。その後隆河さんをはじめ掲示板にいらして下さる方々と次々にお会い出来ました。(すみません〜、短い時間だったのでろくにお話できなくて…舞い上がってて失礼致しました>お会い出来た皆様)

入り口近くを見ると、なんと、外にどーん!!と大きな花輪が!そうです、舞台が決まってから立ち上げた「お花企画」で用意したものがその立派なお花だったのです。私も、申し込んだものの当日までどんなものになるかはさっぱりわからなかったので、正直言って驚きました。記念撮影をしてもらい、ひとしきり感激に浸っていると、「ではそろそろ開場致します〜」のお声が。どきどきもピークに達しつつ中へと入りました。受付で花束をお預けしてから席へと向かい、どのへんに座ろうか迷ったあげく、Yannさまは前からニ列目中央へ、私は左寄りの通路傍の席に座ることに。席に着いてからTAEさま発見!ご挨拶して暫くお喋り。そうしていてもどきどきはなかなかおさまらず、落ち付かないまま時間は過ぎていきました。

「開演5分前です。」のアナウンスが流れ、心臓はもうフル回転。掌の汗をぎゅっと握り締め、何度も深呼吸をして待ちました。

やがて…ピアノの旋律が流れ、場内が暗転。暗闇の中、二人の人影がマイクの前に移動されて、そして客席をじっと見つめられました。スポットが点灯し、光の中に秀幸さんのお姿が見えた瞬間…

涙があふれました。ずっとずっと会いたくて、でも手が届かなくて。憧れ続けたその人が…今私の座っているこの席から1メートル足らずのところに立っていらっしゃる。そう思うと視界が滲んで…嗚咽を漏らさないように口元を押さえ、必死で我慢しました。いつもTVやビデオ、CDから聞こえてくる、あの柔らかくお優しい、いくら愛しても愛し尽くせない愛しいお声が、距離が近いために、スピーカから流れる声よりも肉声のほうがより沢山私の耳に入ってきて、今までの、秀幸さんへの思いが胸の中をぐるぐると駆け巡りました。冒頭のシーンではそんな思いが溢れてしまい、ちゃんとお話を聞けていなかったかも知れません。

舞台に立たれた秀幸さんの服装ですが、スウェード地の茶色のジャケットに白のタートルネックのセーター、そしてグレーのスラックス。茶のメンズシューズといったいでたち。凄くステキでした!紳士服関係の仕事をしていた私は「あ、襟にステッチが!仕立てがいいなぁ〜。うーん、袖は四ッ釦ね、スタンダードなヨーロピアンだわ、スラックスもちゃんとプレスきいてる、生地も良さげだな〜」なんて思ったり。

ストーリーについては、詳しく書くのはマズイと思いますので説明は避けます。原作を読んでいないので、脚色がどんな感じになされているのかわかんないですが。ちゃんと原作もチェックしなければ。
舞台に立たれている秀幸さんをじっと見つめていた私ですが、距離が近いのでもう…!すごいのひとことというか。台本をめくる手の甲の血管とか、頬に落ちる睫の影とか、セリフが声として発声されるまでの、溜めのあいだの唇の動きとか、息を吸い込む音とか…額に光る汗、髪の一本一本まで!眼鏡を押し上げる仕草や、場面の転換の時、マイクから半歩ほど下がる動作も…何もかもがつぶさに私の目に飛び込んでくるのです。もう、片時も目が離せない!っていう感じで、瞬きする間も惜しいくらい。

そして…1回めの上演が終了し、一旦退場された秀幸さんと豊嶋さんがカーテンコールで再び登場なさいました。会場いっぱいに広がる拍手。私も、いつまでも拍手していたい気持ちでした。まずお二人で礼をされ、その後豊嶋さんが秀幸さんに向かって手を指し示し、秀幸さんが一礼されました。その後秀幸さんが豊嶋さんを指し示し、豊嶋さんに拍手を送られ、場内の拍手は更に大きくなったのでした。

終わってからYannさまに抱き付いてわーっと泣いてしまいました。Yannさまごめんね(^^;; もう、今までの思いがその場で堰を切って溢れてしまって、止められませんでした。ずっと会いたかったから。その思いがこんなにも、強かったんだと自分でも驚くくらい。涙を一生懸命ぬぐって、なんとか泣き止まなくちゃって思っているのになかなか止まらなくて…2回目の公演が始まるまでに、チケットをお渡ししなくちゃならなかったし、お花企画絡みでお会いしなくちゃならない方もいらっしゃったから、早く立ち直らなくちゃ!と必死でこらえて…やっと開場の外へと向かいました。

外へ出ると、もう既に2回目の上演の為に並んでいる方々がいらして、私とYannさまも慌てて並びました。2度めはやっぱり最前列に座りたいなと思っていたので(^^;; そうして並んでいると携帯が鳴り、たっぴーさまにお会いできました。同じ大阪からいらした彼女は1回めの上演のみでお帰りになるので、ほんとにちょっとだけしかお話出来なくて残念だったのですが、少しだけでもお話できて良かったです。そのあとかさねさまともお会いできました。豊嶋さんグッズの販売の為と、開場が住宅街なのであまり行列が出来てもマズイとスタッフの方々が思われたのか、開場の時間よりかなり早かったのですがロビーへの入場が始まり、私とYannさまはロビーの奥で待つことに。そうしているとリナさまやアヤさまにもお会い出来ました。1回目の上演の時にお会い出来た方々も含めて掲示板のメンバーで入場までお話することが出来て、管理人は幸せでございました(^^)

入場が始まる時、ロビーに入ってしまっていて最初に外で並んでいた順番がややこしくなってしまい、結局入り口近くの人から入場…だから整理券配っておけばいいのになぁ、なんて思いながら入場。最前列に座る!と心に決めていた私は、ポジション的には秀幸さんの斜め前になってしまうけれども、ある「野望」(笑)を胸に抱いていたので、Yannさまのお誘いを振りきって最前列、中央のブロックの左から2番目の席につくことにしました。着席してからは、携帯の画面の時計をじっと見つめたり、すがるような視線をYannさまに送ったり(^^;; とにかく落ち付かなくて、すごく長く感じられました。その時、「この上演が終わったら帰るんだな」と思ってちょっと寂しくなったり。いろんな思いがぐるぐると巡っていました。

そして5分前。携帯の電源を切ってポケットにしまいました。ふうっと深呼吸。これで最後。とにかく落ち付こう。落ち付いて見よう。そう心の中で呟きました。

上演中は1回目と同じく驚きの連続。2回めの方が熱演だった気がします。豊嶋さんも何度も涙されていましたし、秀幸さんも早い段階で汗をかかれてて、見ている私もなんだか力が入りました。そして1回目同様、目の前に秀幸さんのお姿があって、声が聞こえて…台本をめくる小さなペーパーノイズまでもが聞こえたりして、本当に圧倒され続けたのでした。

「殴らせてもらうよ…2発。」

ラスト近くの秀幸さんのセリフ。ああ、もうすぐ終わってしまうんだ、そう思うと凄く寂しかったです。でも、その寂しさを一生懸命押さえました。上演前からずっと迷っていたことを、実行するべきか、やっぱりやめようか、その迷いにケリを着けなければならなかったからです。

やがて舞台は終了。鳴り止まない拍手の中、一旦退場したお二人が再び舞台に立たれました。お一人ずつへの拍手が終わり、お二人で礼をされる…

どうしよう、どうしよう!!何度も胸の中で叫びました。でも、ここで諦めて後悔なんかしたくない!もう2度とお会いできないかも知れない!私はここにいます、って、秀幸さんに知って欲しい!その、ずっと抱いてきた思いが、他の迷いを凌駕していました。

「なんのために一番前に座ったんだ!この為にでしょう!?諦めるな!」

勇気を振り絞り、私は用意したプレゼントを持って立ち上がりました。秀幸さんは、すぐに私に気付いてくださり、プレゼントの包みを受け取ってくださいました。…最高の笑顔で。何も…一言も言えない私に向かって笑いかけてくださったのです。そして…信じられないことが起きたのでした。

「ありがとう。」
好きで、どうしようもなく大好きで、ずっと心の支えで、聞くたびに幸せになれるあのお声で、秀幸さんはそう言って下さいました。その時、あの瞬間だけは、私だけにそう言って下さったんだって思うと、もうそれだけで、ほんとにここで全てが終わっても構わないとさえ思いました。でも、それだけじゃなかったんです。

秀幸さんは笑って…そして、左手を、私に向かって差し出して下さいました。
一瞬、何が起こったのかわからなくて、「うそだ!」ってどこかで叫んでる自分がいました。

でも現実だったんですね。
私が出した右手を、秀幸さんはご自分の掌で包んでくださったのです。
温かくて、大きくて…私の手なんてすっぽりと覆ってしまう掌。右手に秀幸さんの体温が伝わって、そして…私の体温も秀幸さんに伝わっていきました。男の人の手は、こんなにも優しい温かさなんだ、ううん、秀幸さんの手だから、きっとこんなに…。

しっかりと私の手を握り締めて下さった秀幸さんの姿が、幕間に入っていかれるまで、ずっと拍手で送り…。私は席に座り込んでしまいました。右手が震えていました。左手で、右手を押さえても、震えが止まりません。暫く立てなくて…でも、その時私はやらなくちゃ、と思ったことがあったのです。

ある程度お客さんが退場して、2列目中央に座っていたYannさまのところまで行って、私はYannさまの手を握り締めました。そしてまた泣いてしまったのでした。秀幸さんの握ってくださった手で、皆様と握手したいって、そう思ったのです。

あの時握手して下さった皆様、ごめんね、突然できっと驚かれたと思います。でもどうしてもしておきたかったんです。本当に、こうして勇気を振り絞れたのも、ここまで来れたのも皆様のおかげだったから。本当に感謝しています。

感動が覚めやらぬ中、外へ出ると、もうすっかり日も暮れて、薄闇に浮かぶアイピット目白の建物と、そして皆様と一緒に贈ったお花を見上げました。Yannさまがお花の写真を撮ってくださり、その後目白通りでは隆河さまのダンナ様が掲示板にいらして下さる皆様と一緒の写真を撮ってくださいました。後ろ髪を引かれつつ駅に向かう途中もどきどきは収まらず、皆様とお話させて戴きながらじゃないと卒倒してたかも知れません(^^;;

あの時ご一緒して下さった皆様、本当に有難うございました。本当に楽しいひとときになりました。それから、Yannさま、いろいろとご迷惑をおかけしてしまって本当にごめんなさい。23日は一緒に行動して下さってとっても感謝しています。貴方がいなければ多分、一人で不安でしょうがなかったと思います。きっとプレゼントも贈れなかったと思うし、緊張ばかりで何も出来ないままに終わってしまっていたことでしょう。緊張も不安も、そして喜びも共有してくれて、本当に有難うございました。
そして琉那さん。お会いできて感無量でした。貴方が「声優ぱらだいす」の「田中秀幸掲示板」を教えてくれていたから、私はこうしてサイトを作って管理して、沢山の秀幸さんのファンの方々と交流することが出来たのです。あの掲示板を見ていなかったら、きっとサイトを作るなんて私には出来なかったと思います。

そして…新世紀の、最初のクリスマスイブ、私の人生で最大の、最良の、最高のプレゼントを下さった、田中秀幸さま。貴方を好きになって、貴方に会えて、こんなに嬉しくて幸せなことは他にありません。息がつまりそうな苦しい思いをすることもありました。私は大阪、貴方は東京。距離は果てしなく遠く感じ、その距離に押しつぶされそうになったり、もっともっと貴方を早く知っていれば、と、戻らぬ時間を悔やんでみたり。でも、そんな苦しさも寂しさも哀しみも、貴方に会えて、すべて消えていきました。この瞬間の為に、今までの時間を重ねてきた、そんな気がしてなりません。100万回、ありがとうと言ってもきっと足りないくらい、感謝の気持ちでいっぱいです。舞台の上での貴方の表情、動作、そしてお声、優しい瞳。真剣な眼差し。そして…私に言って下さった「ありがとう」の言葉と、温かい掌。全て忘れません。忘れられません。

家に戻り、こうして文章を綴っていると、イブのあの夢のようなひとときが、鮮明に蘇ります。もう、過ぎてしまった、終わってしまったんだなと思うと寂しくなります。今の私は、あの時あの場所にいた私に激しく嫉妬しています。…けれど。

今の私には、大切な、そしてとても素敵であたたかい思い出があります。この煌く思い出をずっと抱いていれば、この先どんなつらい事があっても大丈夫。そう確信できます。

大好きです。ずっとずっと。万感の思いをこめて。

2001.12.26. サラリ