全寮制教育に終止符
「英国式」今は希望者減
父母、OB会撤回申し入れ
廃校は決定的
戦後発足した唯一の公立全寮制普通科高校「都立秋川高校」の平成11年度の新入生の募集を停止することを都教育庁が決定しました。これに対し母校の父母会、OB会が反発し、1月17日に母校に都教育庁高校教育課長らを招き廃校決定の撤回を申し入れることを決めましたが、教育庁側は「廃校決定はくつがえられない」としており、都立秋川高校の廃校は決定的となった。
全日制都立高校が統合ではなく、廃校になって消えるのは極めて異例の事。
(全寮制都立高校は秋川高校しかないので異例で当り前ですよね)
跡地に福祉、体育系の高校を設立。
教育庁の計画では平成10年度(今年)の入学生を最後に募集を打ち切り、最後の生徒(34期)が卒業する平成13年度に廃校とし、跡地に新たに福祉、体育系の高校を設立するというもの。昨年11月に教育庁から秋川高校に対し正式に提示があった。
(秋川高は体育系だったのでは?)
秋川高校は昭和40年、主に海外帰国子弟や転勤族の子弟の教育を目的に設立。当時は両親が都から転勤しているか、転勤の可能性が高いことを条件に受験資格が与えられたが、入学希望者減少したため、44年度からは環境が勉学に適さない家庭の子弟などにも門戸を開放。その後、寮内で喫煙や暴力事件が起こるようになり学力も年々低下、入学しても中途退学する生徒が相次ぐようになった。
(昭和44年度以降からは最悪の高校のようです)
入学希望者の減少
学校では第2体育館の建設、寮の改築など設備面での充実を図り、校長はじめ教員が中学高に出向いて生徒募集を行うなど都立高としては異例の募集活動を行ってきたが、入学希望者は年々減少する一方だった。
入学年度 |
定 員 |
卒業/現在 |
S.39 1期 |
240人 |
236人 |
S.54 15期 |
240人 |
191人 |
H.6 30期 |
160人 |
|
H.7 31期 |
120人 |
79人 |
H.8 32期 |
120人 |
73人 |
H.9 33期 |
80人 |
53人 |
全寮制という特殊事情から、各寮に浴場があり、そのためのボイラー設備、大食堂、厨房、給水塔など他高に比べ予算も多くとられており、改善の必要があるとの指摘もだされていた。
(先生達が先輩・後輩間の呼び出しを改善しようと浴場別の寮を立て直したのが裏目に出たみたいです。)
先生方のコメント
宗方先生の話し:「全寮制教育には良いところがたくさんある。廃校にするなら、なぜ、秋川のケースは失敗したのかを検討する必要があるのでは?」
初代校長の話し:「大変残念だ。全寮制教育が失敗したというのではなく、社会からの要求がなくなったということではないか。当初は質のいい生徒が集まり、理想に近い形でスタートしたのだが...」
「産経新聞(平成10年1月8日)朝刊より」
都立秋川高廃校、保護者会も承認
戦後発足した唯一の公立全寮制普通科高校「都立秋川高校」の廃校問題で、同高の保護者会はこのほど理事会を開き、圧倒的多数で廃校を承認した。すでに高校自体も廃校を承認しており、同高は都教育庁の方針通り、平成13年3月をもって廃校となる。
(圧倒的多数と言うのは驚きでした。)
理事会では「応募者が極端に減少している現状では、このまま学校教育を継続することは不可能」との意見が大勢を占め、25対1で廃校を承認した。理事会はさらに都教育庁に対し以下の要望をすることにした。
1.現在、および今年入学する生徒に対し、全力を挙げて教育を行う。
2.学校名の存続に配慮する。
3.全寮制高校があったことを記念碑として残す。
(記念碑に向かって昔を思うほど淋しいものはないと思いませんか?)
都教育庁は平成13年3月に同高を廃校とし、跡地に新たに福祉・体育系の高校を設立する計画を立てている。
「産経新聞(平成10年1月29日)より」
教育庁が平成8年1月に「都立高校の見直し」を検討している内容のホームページが見つかりました。主に都立高校の在り方について議論されてて、これから先は特色を持った専門分野の高校を設立すべきと言った内容になっています。(高校改革推進計画と言うらしい)
都立秋川高校についても現状調査や学校関係者から意見を聞いた上決定すると記載されていましたが、体育・福祉系高校に転換することになり平成8年11月に事実上の廃校が決定となりました。
高校改革推進計画による平成11年度募集停止予定高校は他に、羽田高校・羽田工業高校・城北高校・化学工業高校、
ちなみに平成10年度募集停止実施高校は江東工業高校(機械科)・多摩高校奥多摩分校、
平成10年度学級減実施高校は城北高校(6)→(4)・池袋商業高校(6)→(5)・都立大学附属高校(2)→(1)・五日市高校(普通科)(1)(商業科)(1)→(普通科・商業科)(1)となっています。()内数字は学級数を示しています。
追加情報
平成10年6月27日に秋川高校へ行って綿田教頭先生より話しを伺ってきました。
新学校設立に伴い、メインストリートや新玉成寮、新体育館を除いて建直しが決定されました。体育系・福祉系学校の詳細や寮をどのように利用するか等は今年9月頃に決定される予定。教頭先生は「大々的に変わる訳ではない」と冷静な意見でしたが、昭和60年度以前の卒業生から見ればメインストリート以外はすべて変わってしまうので寂しいばかりです。
平成10年7月に作成された体育・福祉高校(仮称)基本計画検討委員会の検討状況を御覧下さい。
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