「スペースまほろば」のトップページ言葉の森

扉が開く


最近はブログでもいろいろな文章を書いています。「心の癒しと意識の目覚めのために」もご覧下さい。

あれっ?何かいつもと世界が違うぞ?って思う瞬間がある。いつもに比べて世界が明るく見えたり、世界全体が静かになったように感じられたりする。歩いているときなら、不思議と背筋が伸びて、背が高くなったように感じたり、足の裏をしっかり意識したりすることもある。

そんな感覚を感じるようになったばかりのころは、びっくりすることも多かった。

学生時代、パチンコにハマっていた頃があった。開店から閉店まで打ち続けていたこともあったなー。パチンコ屋といえば、あの騒音。騒々しいことこの上ない場所だけど、ある日、いつものように玉の行方を追い続けていると、突然、自分が静寂の世界にいることに気がついた。ん???

いやいや、たしかに玉の流れる音、フィーバーを知らせるファンファーレ、店内の音には何の変化もないのだけれど、何かが違う。

また、そのころスーパーの○イエーでアルバイトをしていたのだけれど、棚の横にしゃがみこんで商品の補充をしていたとき、突然その感覚がやってきた。びっくりしたわたしは思わず立ち上がって店内を見渡した。

会社勤めをするようになってからは、職場の蛍光灯を替えたのかな、と思ったくらい、部屋が明るくなって、驚いたこともあった。

これはいったいなんだろう。新しい世界への扉が開く瞬間。そこまで大げさな言い方でなくとも、何か、まだよくわからない未知の世界への通路がちょっとだけ開いて、その向こう側をちらっと見たような感覚。

「至高体験」という考え方をひろめたマズローによれば、多くの人が大なり小なり同じ様な体験をしているのだけれど、それまでつちかわれてきた合理的な思考の枠組みでは捕えられない体験なので、それをしっかりと意識することが出来ないらしい。

わたしもそう思う。その体験をしっかり受け止めるということは、それまで自分の頭の中にあった「世界」や「自分」についての基本的な枠組みを一度壊してしまうことになるのだ。それはある意味での「死」。死ぬのは怖い。

しかし、自分を深く知るためには、そして、本当の意味での「癒し」を求めるのならば、このプロセスは避けられないのだ。

【まほろば通信】vol.23掲載1999/09/02)


言葉の森
トップページ
Written by Shinsaku Nakano <shinsaku@mahoroba.ne.jp>
Last Update: 2001/06/10