Top>「なーんだ、そうだったの?」〜実践ガイド>静かな世界

■静かな世界■


前にも書いた、苦しい感覚のあとにやってくる「世界が明るくなる感覚」「身体が軽くなる感覚」と同じように印象に残っているのは「世界が静かになる感覚」です。 これは、辛い感覚のあとに必ずやってきていたわけではなく、予期せぬときに突然やってくるような感じだったと思います。

学生時代のある時期、パチンコにハマっていたことがありました。パチンコ屋の中は玉の流れる音や音楽でものすごい騒音です。いつものように台に向かっていると、急に周囲が静かになったような不思議な感じがやってきました。はじめは何が起こったのかと思って、まわりを見回してみたりしたのですが、別に騒音がなくなっているわけではありません。店の中の音は同じようにあるのですが、自分の心の中がしんと静まりかえっているような感覚でした。

当時アルバイトをしていたスーパーの店内でも、突然同じような感覚を感じたことがあります。そのときも思わず立ち止まって、あたりをきょろきょろ見回してしまった思い出があります。

この感覚はそれほど頻繁に起こるものではありませんでしたが、意識の変化のプロセスの中では節目節目に感じていた感覚でした。最初の頃は何が起こっているのかわからず、でも、気分はとてもいいので悪いことではないだろう、という程度の認識でした。

今になってわかったことは、それが起こったときというのは思考が止まっていたのだ、ということです。普段、ほとんどの人は心の中で休みなくおしゃべりが続いていて、しかもそのことを意識していません。その状態があたりまえの状態になっているので、おしゃべりが止まったときにどうなるのか、ということを知らなかったのも当然でした。ですから、急にそれが起こったときはとても不思議な感覚だったのでしょう。でも、その意味がわかってくると、この感覚が起こってくるのがとても楽しみになってきました。

心のおしゃべりが止まったとき、自分の内側の一番深い部分とつながることができていたのです。

この感覚はセラピーを受けた後、特にブレスワークの後には非常に深い感覚として感じることが多かったです。

<前へ 次へ>

Top>「なーんだ、そうだったの?」〜実践ガイド>静かな世界
Written by Shinsaku Nakano <shinsaku@mahoroba.ne.jp>
Last Update: 2005/11/04